お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

幼馴染みの彼女と誕生日デート





 僕と春香は手を繋いで真っ暗な田んぼ道を歩いた。しばらく歩いて駅に到着して電車に乗って数駅、都会…とまではいかないが、お店なども充実している田舎の発展しているエリアに到着した。田んぼ道とは違い、お店や家の光、車や看板などのライトでかなり明るい街の道を春香と2人きりで手を繋いで歩いた。無論、僕も春香もきちんと左手の薬指にお揃いのリングを付けている。誰がどう見ても僕と春香のことをカップルだと思うだろう。そうやってリア充オーラ全開で街の道を歩くのは少し恥ずかしかったが、春香の幸せそうな表情を見たら恥ずかしさなんて忘れてしまった。手を繋いで一緒に歩いてこんな幸せそうな表情をしてくれる春香を見て、春香にこのままずっと幸せそうな表情をしていて欲しい。と僕は思った。春香のことが本当に大好きだから…悲しそうな表情で泣いたりしないでずっとこうして幸せそうに笑っていて欲しい。春香にずっと幸せそうな表情で笑っていてもらう為にも、僕は春香を幸せにしてあげないといけない。
 春香と街の道を歩いて10分ほどすると目的地に到着した。まゆ先輩やりっちゃんさんから聞いた。お洒落な雰囲気のお店だ。そこそこのお値段はするが、学生でも手の届く範囲の値段代で店内の雰囲気は良好、料理は美味しいし写真映えするので女子会やお祝いの席、デートなどで地元や下宿の大学生から人気のお店らしい。春香も噂は聞いたことがあったらしいが来るのは初めて!とお店の前に着いた時に嬉しそうな表情をしていた。実は数日前にりっちゃんさんに頼んで春香にこの店の話をしてもらい。春香にこの店に来たい。という風に思ってもらえるように誘導してもらった。来たい。と思っていたお店にサプライズで連れてかれたら喜んでくれるかな…と思ったから仕込みをしておいたのだ。実際、仕込みの効果は充分に得られたみたいだ。
 すごくお洒落な店内を案内されて席に案内される店内は少し薄暗く、案内された席はカーテンがつけられていて他の席から様子が見られないようになっていた。ソファーはかなりふかふかで座り心地がいい。他の席から見られていないなら…と春香は僕の向かい側ではなく僕の隣に座った。周りの席からは見られないとはいえ店員さんからは見られるんですよ…たぶん店員さんは僕と春香のことをバカップルとか思うんだろうな……
 「春香、せっかくの誕生日だしお酒とか飲んでみる?」
 「うーん。興味はあるけど…今日はやめとく。せっかくりょうちゃんが準備してくれてたのに酔って記憶ないとかなったら嫌だしさ…」
 「そっか、わかった」
 春香の言葉を聞いて嬉しく思いながら僕はベルを押して店員さんを呼び、僕と春香が頼みたい料理を注文する。このお店は複数の料理を何人でシェアしてたくさんの種類の料理を楽しんでもらおうというコンセプトみたいだ。1つ1つの量はあまり多くはないのでいっぱい頼んだら料金が中々のお値段になるらしい。たしかに、こういうタイプのお店は学生とかに人気が出そうだな。と思うが、料理一品一品も中々の値段だった。
 料理を注文して、まず最初にオレンジジュースが2つ運ばれてきた。さっそく春香と乾杯してオレンジジュースで喉を潤す。
 そして、少し雑談していると生ハムのシーザーサラダが運ばれてきた。取り皿にサラダを分けあって僕と春香は食事を始めた。サラダはドレッシングがとても絶品でこのドレッシングめっちゃ美味しいね。と僕が言うと春香はドレッシングの味を分析し始めていた。そのうちドレッシング再現してみたよ。とか言われそうだな…サラダを食べていると山盛りポテトに蟹クリームコロッケ、竜田揚げなどの一品物が届いた。どれもかなり美味しいが、ポテトはかなり癖になる。カリカリの食感で味付けがしっかりされていて無限に食べられそうな気がした。一品物を食べていると、生ハムのピザ、きのこづくしのクリームパスタ、チーズリゾットが運ばれてきて取り皿にシェアをする。チーズリゾットを口に運び美味しい。と僕が言うと春香が私にも食べさせて、と言い口を開く。ちゃんとシェアしたのに口を開いて食べたいな。と言うことは食べさせてとお願いしているのだろう。僕はスプーンにリゾットを乗せて、熱いので軽く息をかけて少し冷ましてから春香の口に運ぶ。すると春香はすごく幸せそうな表情で美味しい。と言ってくれた。そんな春香を見て僕も幸せな気持ちになれた。
 そうしていると今度は春香がスプーンにリゾットを乗せてふーふーとあざといくらいに可愛く息を吹きかけてリゾットを冷ましてから僕にはい。あーん。とリゾットが乗ったスプーンを向けてきた。僕は春香の可愛さに悶えながらリゾットを口にする。
 「さっきよりも美味しい…」
 「え…そう?えへへ…なんか嬉しいな……」
 僕の言葉を聞いて春香は照れるような表情で返してくれた。かわいい。ていうか、これ、完全にバカップルだよね…まあ、いいや、バカップルとか好きに言ってくれ、幸せならなんだっていいや。と思いながら幸せな食事の時間を2人で楽しんだ。
 たしかに、一品一品の量は少なかったが、その分たくさんの種類の料理を食べられた。どの料理もすごく美味しく。すごく満足できた。これでお値段がもう少し財布に優しかったら尚良かった。バイトちゃんと頑張らないとな…と思いながらも春香と僕は幸せな気持ちでお店を出るのだった。





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