お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

午後の買い物デート




 「りょうちゃん、ちょっとお出かけしない?」
 昼食を食べ終えて僕と春香は2人でリビングのソファーに座りくつろいでいた。すると春香が僕に提案をしてきた。夕食の材料とかかな…と思いながら僕はいいよ。どこに行くの?と春香に尋ねた。
 「えっとね…ちょっと遠いけど、まゆちゃんがバイトしてる本屋さんに用事があるの…レポートの資料でまゆちゃんに本を取り寄せてもらったから受け取りたいんだけど、レポートが明日までだから今日中に受け取らないといけないの…」
 「そっか、わかった。じゃあ、行こうか」
 「うん!」
 僕と春香は出かける準備をしてアパートを出て駅に向かう。駅まで春香と手を繋いで歩き、電車に乗る。途中で電車の乗り換えをしてまゆ先輩がバイトしている本屋さんがあるショッピングセンターの最寄駅に到着して電車から降りる。車だと数十分で到着するのに、電車だと1時間以上かかるのが謎だ。
 「りょうちゃん、手繋いでいい?」
 「うん。いいよ」
 電車から降りると僕と春香は手を繋いで駅を出てショッピングセンターに入る。ショッピングセンターの中に入り、入り口近くのエスカレーターに乗り2階に上がり、春香と手を繋いで本屋さんに向かう。
 「あ、りょうちゃん、春香ちゃん、いらっしゃい」
 本屋さんに入るとバイト中のまゆ先輩が笑顔で出迎えてくれた。本の品出し作業をしていたみたいだ。僕と春香を笑顔で出迎えてくれたまゆ先輩だったが、僕と春香が手を繋いでいるのを見て少しだけ不満そうな顔をして頬を膨らませて僕をじとーっと見つめてくる。きっと今度手を繋いでと要求しているのだろう。僕が察したようにして頷くとまゆ先輩は満足そうな表情をする。かわいい…
 「春香ちゃんが注文してくれた本取りに来てくれたんだよね?」
 「うん」
 「じゃあ、レジまでお願いします」
 まゆ先輩は笑顔で対応してくれてレジまで案内してくれる。レジで少々お待ちください。と言い、店の奥に入って、一冊の本を持って戻ってきた。
 「こちらでお間違いはないでしょうか?」
 「うん。大丈夫。ありがとう」
 まゆ先輩に春香が答えるとまゆ先輩がそのままレジでお会計をしてくれた。
 「春香ちゃん、今からレポートするの?」
 「うん。そうだよ。まゆちゃんはもう終わった?」
 「まだだよ。もう少しでバイト終わるから帰ってやるよ」
 「もうすぐバイト終わるの?」
 「うん。あと30分くらいで上がる予定だよ」
 「じゃあ、一緒にレポートやらない?その間に夕食の材料とか買い出し行ってくるからさ、夜ご飯も一緒に食べようよ」
 「いいの?」
 「うん!」
 お会計をして、本をカバーに包みながらまゆ先輩と春香はそんなやり取りをしていた。
 「りょうちゃん、まゆ、今日お邪魔していい?」
 「うん。いいよ」
 「じゃあ、バイト終わったら春香ちゃんに連絡するね」
 「うん。わかった」
 春香はまゆ先輩からお釣りを受け取って返事をする。
 「ありがとうございました」
 まゆ先輩に見送られて僕と春香は本屋さんを出る。その後、春香と夕食の材料を買い出しする。
 「まだ、ちょっと時間ありそうだね。ねえ、アイス食べよ」
 「うん。いいよ」
 僕は春香と一緒にフードコートにあるアイスクリームのチェーン店でアイスクリームを注文する。僕はオレンジ味で春香はバニラ味のアイスクリームを注文した。カップに入れられた球状のアイスクリームを受け取って空いていた席に座り僕と春香はアイスクリームを食べる。店内は結構空調が効いていて少し寒かったのでちょっとだけ震えながらアイスクリームを食べていた。
 「オレンジ味美味しそうだね…」
 「うん。美味しいよ。少し食べる?」
 「うん!」
 春香は笑顔で返事をして口を少し開く。僕に食べさせて欲しいのだろう。僕はスプーンで自分のアイスクリームをすくい、春香の口に運ぶ。すると、春香はパクリとスプーンを口に加えて味わうようにアイスクリームを食べた。
 「うん!美味しい!りょうちゃん、お返しにバニラ味少し食べて、こっちもすごく美味しいから」
 春香はそう言い自分のアイスクリームをスプーンに乗せて僕の口の前に運んでくれる。僕は春香のスプーンを口に加えてアイスクリームを食べた。すごくメジャーな味だが、安定的な美味しさがある。
 「うん。美味しい」
 「だよね」
 そんなカップルみたいなやりとりをしたり、おしゃべりをしながらゆっくりとアイスクリームを食べていた。ちょうど、食べ終わったくらいのタイミングでまゆ先輩からバイト終わったよ。と連絡が入ったので、僕と春香はアイスクリームのカップとスプーンをゴミ箱に片付けて、まゆ先輩が待ってくれている場所に向かう。
 まゆ先輩と合流して、僕と春香はまゆ先輩の車に乗せてもらう。まゆ先輩に案内されて社員用の駐車場に入るのは少しドキドキした。
 3人でまゆ先輩の車に乗って、まゆ先輩の運転で一旦まゆ先輩の家により、まゆ先輩はバイト着から着替えて、パソコンなどの荷物を持ってきた。着替えも持ってきていたので、多分今日もお泊まりコースだろう。
 まゆ先輩の家を出発して、アパートまで向かうがやはり電車よりも、車の方が圧倒的に早かった。僕も車の免許取ろうかな…と考えながら僕はまゆ先輩の車から降りるのだった。







コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品