お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

別々の昼食





 「りょうちゃん今何してるのかな…」
 朝、起きたらすでにりょうちゃんはいなかった。私は少し寂しいなと思いながら一人で朝食を食べて、洗濯をしてリビングの掃除をする。りょうちゃんがいたらいろいろ手伝ってくれたり楽しいのに一人だとただの作業という感じがしてつまらなかった。
 掃除などがひと段落して私はさっきからりょうちゃんとのLINEのトーク画面とまゆちゃんとのLINEのトーク画面を行き来している。りょうちゃんやまゆちゃんに今何してるのか聞きたいって思いがあったが私にはできなかった。
 私はもやもやしながら昼食の準備をして一人で昼食を食べた。最近まではこれが普通だったのに今は一人でごはんを食べるのがとても寂しかった。

 まゆ先輩がおすすめしてくれたお店は海鮮系の飲食店だった。店内に入り2人用のテーブル席に案内されてお茶とおしぼりをいただく。まゆ先輩が椅子の席に座ったため僕は向かい側のソファー席に座る。
 まゆ先輩がメニューをテーブルの上で開いて僕に見せてくれた。
 「まゆはもう頼むもの決まってるから好きに見てくれていいよ」
 「ありがとうございます。ちなみにまゆ先輩は何にするんですか?」
 始めて来たお店なので何がおすすめかわからない僕はまゆ先輩に尋ねた。するとまゆ先輩はメニューのページを少しめくり、これにするよ。と指を指して教えてくれた。まゆ先輩が注文しようとしていたのはマグロとサーモンの海鮮丼だった。マグロとサーモンのお刺身にイクラが乗っかっている美味しそうな海鮮丼にミニサラダと味噌汁がついてくるセットらしい。
 「まゆはこれにするけどランチセットもおすすめだよ。まゆ的には結構量があるからまゆは頼まないけど一回頼んだ時は美味しかったよ」
 まゆ先輩はそう言いながらランチセットのページを開いてくれる。ランチセットはまゆ先輩が注文する海鮮丼と海老の天ぷらうどんのセットだった。美味しそうだったので僕はランチセットにすることにした。注文の際に温かいうどんか冷たいうどんかを尋ねられて僕は冷たいうどんを注文した。
 しばらくまゆ先輩と話をしていると注文した料理が運ばれてくる。運ばれて来た料理をまゆ先輩はスマホのカメラで撮影していた。せっかくだし僕も便乗して運ばれてきた料理をスマホのカメラで撮影しておいた。
 「あ、せっかくだしさ、買い物に来た記念に2人で写真撮らない?」
 「え、いいですけど、今ですか?」
 「うん」
 まゆ先輩はそう言いながら立ち上がりソファー席に座る僕の横に座ってスマホのカメラを内側カメラに設定して2人が画面に収まるように手を伸ばす。
 「ほら、りょうちゃん笑って」
 まゆ先輩にそう言われて僕は笑顔を作る。まゆ先輩がピースしていたので僕もまゆ先輩に合わせてピースをするとまゆ先輩はスマホのシャッターを押す。そして、撮れた写真を確認して、いい感じ!と言いながら僕に見せてくれる。僕もいいですね!と言うとまゆ先輩はじゃあ、あとで送るね。と言って自分の席へ戻っていった。
 「じゃあ、いただきます」
 「いただきます」
 まゆ先輩が手を合わせていただきますと言った後、僕もいただきますと言う。さっそく食べようとしたら割り箸がなかったため机の端を見ると割り箸が置いてあった。僕は割り箸を2つ取り1つをまゆ先輩に渡す。
 「ありがとう」
 「いえいえ」
 まゆ先輩の笑顔かわいいなぁと思いながら僕は割り箸を割り海鮮丼に醤油をかけてさっそく海鮮丼をいただく。
 「めちゃくちゃ美味しいですね」
 「だよね。まゆ、めっちゃ好きでバイト終わりとかにたまに食べに来るんだよね」
 「そうなんですね。まゆ先輩のバイト先の本屋さん後で行ってみたいです」
 「いいよ。じゃあ、食べ終わったら行こうか」
 「はい」
 そんなやり取りをしながら僕とまゆ先輩は昼食を楽しむ。すごいどうでもいい話をしたりしていると気づいたら食べ終えていた。その後、少しお茶を飲みながら話をしてそろそろ出ようかとまゆ先輩に言われたのではい。と返事をしながら僕は立ち上がった。僕が財布を鞄から取り出そうとしている間にまゆ先輩は伝票を持ってレジに向かってしまった。僕は慌てて後を追い財布からお金を取り出す。
 「りょうちゃん、だめ、今日はまゆの奢りだからお金しまって」
 「いえいえ、こんな遠い場所までわざわざ連れてきていただいたのに奢られるわけにはいきませんよ。お願いですから昼食代くらい出させてください」
 「まゆの買い物に付き合ってもらってるんだからまゆが車運転するのも昼食代出すのも当然だよ」
 「いやいや、お願いだから受け取ってください」
 僕はそう言いながら僕とまゆ先輩の分の食事代をまゆ先輩に渡そうとするがまゆ先輩は断固拒否してお会計を済ませる。
 「まゆ先輩、本当に申し訳なさすぎるので受け取ってください」
 「だめ、今日はまゆの奢りだから、そんなに申し訳ないと思うなら今度、まゆをご飯に誘ってその時におごってよ」
 「分かりました…じゃあ、次は絶対僕が出しますからね」
 「うん。じゃあ、本屋さん行こうか」
 「はい」
 僕とまゆ先輩はお店を出て本屋さんに向かった。




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