完全無敵!やる気が無さすぎる勇者の物語

Leiren Storathijs

王までの道・1〜信頼下げし者〜

本来この騎士団の階級は、このようになっている。

新兵→訓練兵→二等兵→一等兵までが下階級。

下等兵→中等兵→上等兵が中の下階級。

下級兵→中級兵→上級兵→特等兵までが、中階級。特等兵のみ、上級兵から登る際、遊軍に入りたいか、選べる階級。

分隊長→大分隊長→隊長以降が、上階級。ここからは、凄まじい功績が必要となる。

軍隊長→軍指揮隊長→近衛兵又は、近衛兵隊長。近衛兵とは、王を護衛する兵の事で、軍指揮隊長でもかなりの信頼が無ければ、選抜されない。

騎士副団長→騎士団長は、軍隊長以降の階級から、王が直接選抜する特別な階級。

そして、いつしか王が病などで死んだ場合、副団長と団長の全兵からの信頼から王が多数決で決められる。

そう、王になるには、普通にやれば100年は普通に掛かる……まぁ、普通にやればなんて言いかたしているが、流石にここで時空改変なんてしないさ、やっぱり筋を通さないと面白く無いでしょ。と言うわけで……

道場破りもとい、騎士団破りじゃゴラァ!!

んで今は、一等兵に居ると……なんか分隊長までは、いつでも自由に昇格試験受けられるらしいけど……駄目だ……イベント潰しになっちまう……いや、どんなイベントであろうが潰れちまうんだがな……やっぱりな……こう、1年は掛けたいよな?

しっかり筋を通して、一番上まで登る!その為には信頼が必要だな!

騎士団の信頼ってどうやって手に入れるんだ……?

「って訳なんだけどさ、いい方法ある?」

「信頼?んなもん、いつか起こる戦場で窮地に入ったら英雄じみた事やれば良いんじゃね?」

「いや、それじゃあ遅い。もっと確実に得る方法は無いか?」

「確実に?じゃあ、後輩の悩みや困った事を片っ端から解決するのはどうだ?一気にでは無いが個人の信頼は得られると思うぞ」

「オーケー!なるほどな!!」

んじゃあ、後輩っていうか、二等兵辺りに片っ端から話聞いてみるか……

「おいそこのお前。何か困ってる事なーい?」

「え……なんですか先輩。急に困ってる事無いなんて聞かれても……あ、じゃあこれから昼飯なんで、このメモ通り買ってきてもらえませんか?」

パシリかよ!こいつ先輩に良くお遣いなんて頼めるな!

「おう!良いぜ!なんならついでに一緒に昼食おうぜ!」

「いや、遠慮しておきます。俺、一人が好きなんで」

「お?そ、そうか?なら行ってくるわ……瞬間移……いや普通に売店行くか……」

売店・・・

「いらっしゃい!」

「あぁ、メモ持ってきたんだけど、これ全部くれ」

「お、これは騎士団の兄ちゃんが良く買うやつじゃねぇか。なんだい?お遣いでも頼まれたのか?」

「まぁ、そういう事だ」

あれ?あいつまだ二等兵だよな?新兵、訓練、二等と登って来て、推測時間は、半月くらいだよな?それでもう常連の店なんて持ってんのか……そりゃ、毎日買う昼飯がここだったら可笑しくも無いが……この昼飯さぁ……

塩おにぎり1個って……何処でも売ってる!食堂でも借りれば作れる!買うなら弁当持ってこい!そして好みが滅茶苦茶シンプルかよ!!!

まぁ、人間昼飯って食っても食わなくても良いって言われている訳だし……おにぎり1個でもあいつには十分なのかねぇ……

騎士団兵舎・・・

「おう、買って来たぜ」

「ありがとうございます。また頼んでも良いですか?」

「却下だ!!てめぇ、塩おにぎり1個でお遣いとか先輩舐めてんじゃねぇぞ?」

「はて?塩おにぎり1個を買いに行かせる事が何処に馬鹿にしている所があるのでしょうか?貴方が最初に困っている事が無いか?と聞いて来たんですよね?」

「っち……面倒くせぇ……まぁ、良い。次は、マジで困った事があったら俺に言え」

「分かりました……」

さて!次だ次!そうだな……そういやこの騎士団って男ばっかりじゃあねぇんだよな。しっかり女も居て、っと言っても流石に訓練場所は男女分けられて居ると……まぁ、お悩み解決の為なら入っても良いでしょ……別に男子禁制って訳でもねぇし。

女子専用兵舎・・・

んー、座って休憩しているやつは、さっきみたいに、ろくな悩みじゃ無いと思うし、訓練中でも声掛けてみるか?

「おいそこお前!なんか困ってる事なーい?」

「ん……なんです?此処、女子専用兵舎なんですけど……いきなり声掛けたと思ったら困ってる事聞くんですか?セクハラでしょうか?」

はぁ〜?声掛けただけでセクハラとか、こいつ自意識過剰過ぎじゃね?こういうやつは大体ブスと言う男の偏見があるが……別にこいつはそこまで悪くはねぇんだよなぁ……

「あのーさっきから何黙ってるんですか?」

「んん?お前、訓練中だろ?困っているかどうか知らんが、俺が稽古してやろうか?別にやましい事は思ってねぇ……強くなりてぇんなら、俺は本気でやるぜ?」

「やましい事とか言っている時点で怪しいんですが……」

ああああああ!!面倒くせぇ女だな!!こちとら、そう変に思われねぇ様に言葉選んでんのによ!

こうなったらマジで訓練してやるという姿勢を見せねぇとな。

木刀を構えると足元から軽く衝撃波発生する。

「へっ、いい加減マジになったらどうだぁ?」

「はぁ……仕方がないですね……そこまでやりたいんなら少しなら付き合ってあげますよ」

「ははん?少しぃ?お前一体何のために騎士団に入ったんだ?まさか、民を守りたーいとか、家族を守りたーいとか下らねえ理由じゃあねえだろうなぁ?」

こういうやつは、ちょっと煽ってやれば少しは変化があるはずだ。

「……当たり前でしょう……意味なく騎士団に入る人なんて居ませんよ」

「あっそ……ま、俺はてめぇが何を思おうが興味無えけどな。俺の理由は……この国の王になる為だからな!!」

すると、場の空気が一気に冷める。

「ねぇ……今の聞いた?王になる為だって!」

「こいつ馬鹿じゃね?マジでウケるんだけど!」

「……そう?私も思うわ……貴方、相当馬鹿の様ね……ちょっと訓練のやる気冷めちゃったんだけど……」

あっちゃあ〜周りから聞こえる女どもの罵倒がキツイぜ……だが……俺は訓練を止めるなど一言も言ってない……こいつが騎士団に入った理由はどうせもっと深いんだろうけど……その油断こそが命取りになるって事を教えねぇとなぁ?

「良く分かったな!でもあんまり俺を馬鹿にしない方が良いぜ?てめぇの思っている通り……俺の馬鹿力は凄まじいぜ!!」

一気に間合いを詰めてからの〜木刀で下から抉る様にこいつの腹をホームラン!!

「ふぐおえ"ぇっ!?」

一気に壁までふき飛ぶ。

いやぁ!気持ちいい!ありゃ、肋骨数本逝ったかなぁ?

案の定、女子専用兵舎は一気に騒然とする。

「うぐっ……ゲホっげほっ!」

「ちょ、大丈夫!?」

「いやぁ、済まんね。稽古って言ったのについついカッと来ちまったわぁ……あっはははは!!盛大に笑ってやるぜ!」

すると、吹き飛ばされた女に集まる女どもは俺に凄まじい殺意の視線を指す。

「ってい……最低!この屑!今すぐ此処から出て行けっ!!」

「言われなくとも出て行きますよ!こんな雑魚の集まりだとは知らなくてねぇ……?ま、精々足掻くと良い!はーっはっはっは!」

よし、完璧だ。これで信頼がだだ下がりだァ……。

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