618事件 まとめ

島倉大大主

ネコネコ大百科2

618あれやこれや

〇618七不思議
某巨大掲示板及び、SNSで流布している618事件に関する噂のうち
根強く流れ続けている七つの総称。
このうち二つは、実際に動画で確認されており、噂でも何でもないのだが
不思議であり、インパクトが絶大ということで、まとめて語られる。
……まあ、他の七不思議候補にインパクトが無いのが本当の所ではあるのだが。

1:下半身ゾンビ
下半身だけのゾンビが徘徊している、という噂。
この下半身ゾンビは、猛スピードで追ってくるのが特徴である。
追いつかれると、強烈な蹴りで失神させられる、とも言われ
ゾンビの群れの斥候の役割をしているとも言われている。

これは遡ると六月十八日に某巨大掲示板で書き込みを確認できる。
懐かしの学校妖怪、テケテケなどから着想を得たデマという説が大勢を占める。

2:牛に乗った少女
東京各所で小型の牛に乗った少女が移動している、という噂。

これは、目撃情報、動画、写真と証拠が豊富であり
一緒にしばらく移動したという証言もある。

創作物においては
妖怪である『件』と同様、凶兆として描かれる場合が多い。

また、都内の動物園から逃げ出した牛と、道に迷った少女が意気投合した
というメルヘン過ぎる設定も散見されるが――これは結構いい線を行っているのではないだろうか?

3:巨大ザメ
水路や川に落ちたゾンビが、巨大な何かに捕食されるのを目撃した、という噂。また、巨大なサメの背びれを目撃したという噂。

東京湾自体にサメはいるし、外洋に繋がっているわけだから
巨大ザメが湾に入ってくる可能性はゼロではないが、積極的にゾンビを襲うかどうかは、非常に疑わしい。

とはいえ、人気のある噂であり
言ってしまえば、『ロマン枠』である。


4:ずっと追ってくるドローン
東京都内を移動中に、ずっと追ってくるドローンがいる、という噂。
その追跡は都内を出ても、途切れる事は無い。

実際に動画配信者が違法に飛ばしたドローンは多数あったし
その中には、特定の個人を追跡している動画もある。
だが、ドローンの性能を知っているならば、長距離長時間の追跡が困難なのはすぐにわかるはずである。

だからこそ、不思議なのであるが
どちらかと言えば被害妄想の類じゃね? とも思うが
まあ、『ロマン枠』である。


5:武装集団
618事件の最中、都内に武装した集団が出現。避難する人を補助する為に、ゾンビに実弾を発砲した、という噂。

これは、牛に乗った少女同様、目撃情報、写真、動画、回収された薬莢、壁に残る弾痕等の確たる証拠が存在する。

だからこそ、逆に不思議なのである。
ここは日本である。
一体どこ所属の集団なのか?

ちなみに、集団の中に、兎の着ぐるみを着た人物が一人おり
これの戦闘力が異様に高い――という、アメリカのバニーマンの都市伝説をモチーフにした噂もあるのだが

恐ろしい事にこちらも実在する。
この兎は徒手空拳でゾンビを蹴散らすのである。
まあ、着ぐるみの手では重火器が扱えないからなのだろうが……。

二次創作においては、お約束の『カレーライスのぼり』を装備していることが多い。
中身は、美少女、肩車をした幼女達、声は綺麗ないかつい女……というように、女性として描かれることが多い。
実際に兎が女性の声で喋ったのを聞いた、という証言もネット上にはあるが、果たして?

6:巨大な虫(ギガンティック・ゾンビ・ワーム GZW グズゥ)
死亡したゾンビの体から、巨大な虫が這い出てきた、という噂。

一部で主張されている、ゾンビの原因=寄生虫説からの発想
もしくは、体の中が空になった熟成ゾンビの遺骸からの発想と思われる。

虫の動きはそんなに早くない、という割には写真等の証拠が全く無いので、完全なガセだと思われるが、他の七不思議よりも冷遇されており
人気が無い。

七月下旬にSNS上に投稿された
『さなぎを見つけた』という『ねつ造写真による報告』が、トドメだったように思われる。

とはいえ、618を題材にしたゲームでは大人気であり
海外のインディーズゲームでもGZWグズゥとして今日も誰かの脳みそを啜っている。

7:ゾンビが寄ってこない車
某メーカーのえんじ色の軽自動車はゾンビが寄ってこない、とされる噂

某アイドルが618事件の後に、「私の車にはゾンビが寄ってこなかったんです」という発言をしたのが元ネタだと思われる。

地味に賛同者が多い噂であるが、動画等による証拠は未だに見つかっていない。

少数ながら、えんじ色=ゾンビの内臓をぬりたくった色、として
そういうカモフラージュを施した車が都内を走っているのを見た、という
噂もあると言えばある……まあ、618の時に都内を走っていた、という時点で噂としてはちょっとアレなのだが。




〇『HIYODORIゾンビ』『ヒヨドリ』『HYD』

六月十八日、正午近く、某所で屋外コンサートを開いていたアインバンド所属のアイドルグループ、HIYODORIがコンサート中にゾンビの大群が現われた。
すし詰め状態の会場は大混乱となり、感染者が多数発生する惨劇に発展。
その際、HIYODORIメンバー十二人のうち、

芦屋きみどり子 
赤町ふわみ 
紫藤とっこ 

の三人が感染してしまう。
目撃情報によれば、彼女達は拘束されバスに押しこめられたとのことであるが、その後の経緯は全く不明のまま、七月二十二日に感染後逝去したという報告が公式ページに掲載された。

この経緯の全くわからない不可解な発表に対し、HIYODORI三人を題材にした『主に成人向けのイラスト・漫画』が激増。大半は鬱展開のものであるので、検索の際は閲覧注意である。

しかし、これは618事件後に少なからず明るみに出た
所謂『ゾンビ監禁事件』及び『ゾンビに対する凌辱行為』よりも先に発表されたものが殆どであり、それについて卵が先か鶏が先かという議論は未だに尽きない。



〇『イケメンゾンビ』『イケゾン』『ケゾ』

読んで字のごとく、イケメンであるゾンビをイラスト化したもの。
特定の写真をモデルにするのではなく、完全に創作上のイケメンに限定される。

元ネタは618事件から半年後、某SNS上で外国人が始めたコンテストである。
これは世界中のウェブ上に掲載されているゾンビの写真の中から
選りすぐりの美男子ゾンビに賞を与えるという企画であったが、非難が殺到して立ち消えになった。

だが、企画自体のインパクトは絶大で、類似企画が『適当な文言』を大上段に構えて、乱発されることになった。

ちなみに日本においては、美少女ゾンビのイラストが618事件の最中からアップされていたので、『その企画に関しては、非難の声がそれほど上がらなかった』という、世界的に見ても実に奇特な状況である。

予断ではあるが、イラスト製作者は女性よりも男性が多い……らしい。



〇『彼女は生物としての本能が欠けてるんじゃないかな』『ホンノウカケル』『ホンカケ!』

某国の女性歌手が、自身の動画配信チャンネルのライブ配信中に

「愛を持って接すれば彼らだってわかってくれる。だって人間なんだもの」

という歴史的は迷言を発し、いきなり拘束されているゾンビにハグをした。ゾンビは興奮し、拘束されたまま彼女に噛みつき、彼女は数分後にゾンビ化。駆けつけた警察官に射殺されるという事件が起きた。

一夜明け、CNNの街頭取材の際に
10歳くらいの白人少年が、『事件をどう思うか』という質問に対して発した応え。

世界各国で評判となり、日本では『ホンノウカケルくん』として
大人気となり、イラストから漫画まで二次創作が大量に作成された。

また、玄分社発刊の四コマ漫画『ろっぴゃくじゅうはち』(作:いいのりあおのり)ではレギュラーキャラとして、彼をモデルにしたカケルくんが登場。『死者にも生者にも等しく毒を吐く少年』と公式ページにて紹介されている。


〇『私の曲を聞け!』

ウェブ上のイラストにおいて、ゾンビに対した自衛隊員が放つキメ台詞。

元ネタは某アニメ。618に関連付けられた理由は諸説あるが
某巨大掲示板の軍事版の
「自衛隊の六方面作戦には、何故か中央音楽隊も投入された件について」というスレッドであるという説も捨てがたい。
ちなみに自衛隊における音楽隊は日々、通常の共通訓練等も行っている。


〇『黒い骨ブラックボーン

618事件の二ヶ月後である、八月の大型同人即売会で発表された同人ゲーム。横スクロールのアクションゲームで、複雑に絡み合ったマップと極悪とも言える難易度、敵を倒した際に浴びた帰り血がずっと残る……等のシステムが評判になった。

また、一片の救いも無いストーリーに、プレイ後に自殺した人間がいるという噂がネットを駈け廻り、DL販売を取りやめるサイトも現れた。

内容は、ゾンビパンデミック状態の東京から脱出する、というありきたりなものである……最初は。

ところが中盤、某所にて『ゾンビウィルス予防薬』という、誰がどう考えたって怪しさ大爆発の薬品を、無理やり注射されたところから、展開が激変。
夕日がいつまでも沈まない、『永遠の夕方の東京』を彷徨う主人公は
ゾンビ、狂人、そして事件を背後で操る異形達との戦いを余儀なくされていく。

ここよりネタバレ





タイトルの『黒い骨』は、地上世界の復権を狙う邪神の胸骨であり
主人公が投与された薬品は、それを磨り潰したものであった。
邪神の思惑通り、全身に穢れた血を大量に浴びた主人公は生贄となり
邪神が降臨した東京はついに夜になる。
だが、邪神は突然苦しみだし、その体を突き破って、
『巨大な主人公に似た何か』が這い出してきたところでゲームは終了する。

登場人物が、乳児から、老人、そしてラスボスの邪神まで、もれなく死亡するという展開は、「鬱を通り越して壮快だ」との意見もある。

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