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レイ

5,盗賊とヴァンパイア

出発してはや3日。ずっと歩きっぱなしだ。元々のレベルと同じステータスだけれど1000だったことからするにどのモンスターも正直弱い。
レベルにして大体200ほど...
「はぁ」
このため息も何度目か...暇で暇で仕方がない。

だから、と言っては何だがこんなものに出会うなんてまったくもって予想できなかった。
(普通に索敵スキルに注意していれば避けることもできたのに)

−遡ること10分ほど前−

私はひたすらに歩いていた。そしてなんとなしに索敵スキルを確認した時には既に囲まれた後だった。
「なぁ、嬢ちゃん。暇そうだなぁ?そんなに暇なら俺達が良いとこに連れてってやるよ。」
ニヤニヤしながら1人の男が茂みから現れた。
体格はゴツく身長は180と言ったところか。私は150弱なので見上げないと顔が見えない。
すると続々と私の周りの茂みから他の男達が出てくる。
「この先に林道りんどうがあってな、そこで馬車が止めてあんだよ。付いてきてくれるよなぁ?」
フードなどはなく顔が丸見え。
(女子おんなこどもは格好の餌か。街に着くまでに顔の隠せる外套がいとうか何か作っとかないとなぁ)
そんなことを考えつつ無言で頷き後をついて行くことにする。馬車があると言っていたのでまとめて倒して馬車を使わせてもらおうと思ったのだ。
しばらく歩くと細い道に出て馬車が一台置いてあった。その馬車の後ろには布のかかった荷台のようなものがくっついていて、中は檻のようなものが布の間から見えていた。
「さぁて、良いとこに連れて行ってやる代わりに俺達に良いことをしてくれよ。」
気持ち悪い。ニヤニヤと気持ちの悪い笑みを浮かべて男達がにじり寄ってくる。
ざっと30人くらいいる。
私はインベントリから刀を取り出す。
【アイテム:よいの月】
「アースウォール」
ワンワード詠唱で盗賊を逃さないようにする。
【スキル:詠唱省略LV10】があるけど慣れもあるのでワンワードでやったのだ。
「?!テメェら気をつけろ!こいつは魔法使いだ!しかも運のねぇことにワードオーミッターだ!」
「ワードオーミッター」知らない単語が出てきた。でも、「ワード」は分かる詠唱のことだろう。そして「オーミッター」は、確か英語でオーミット(omit)省くという意味の単語があったはずだ。つまり詠唱省略を持ってる人ってことかな?
「くっそぅ。魔法なんて使えるやつほとんどいねーのに!」
「逆に考えろ!それだけ高く売れるってことだ。それに剣を持ってるってことは魔力はそんなにないって事だ。そうポンポン撃てやしねーよ。」
「確かに...それに上玉だしな。じゅるり」
キモいが、ちょっと待てよ?魔法使いが珍しい?なるほど、納得した。魔法対策がされてないのが引っかかっていたのだ。魔法耐性のある防具をつけておらず不思議に思っていたのだが魔法対策をしてないんじゃなくて、する必要が無かったって事だ。
(スッキリした。よし、やるか。)
刀を鞘に納めた状態でテンポ良く殴っていく。あと残り10人を切った時

ガシャン!

何か金属の音がして見てみると、先ほどの檻が開いていてその側には1人の盗賊がいる。彼が開けたらしい。そして...そのまま絶命した。中から現れたのは...
【ヴァンパイアLV268】
随分と高い。あれで私を倒すつもりらしい。森の奥でもそうそう見れないレベルだ。ヴァンパイアは血を吸い、操り、武器として使う。さらに霧化やコウモリに変身する能力まで身に付けることができる。このレベルなら全て持っているだろう。ただし、日光に対してダメージを受けその日の光のもとでは血を操ることも、霧化することもできない。だが彼の思惑とは違い無理矢理霧化し日光を遮ると、日光に消されるよりも早く盗賊から血を奪いエネルギーを得ていた。いっそ見事とすら言える光景に私は呆然と見ていた。ハッとして我に返った時には盗賊もあと3人まで減っていた。魔法攻撃を無詠唱で放つ。【魔法:サン・レイ】だ。
太陽の下であったためあっけなくHPを消し飛ばし絶命させる。しかし、盗賊は残り1人になりその1人も助からない状態にあった。手足を無くしており非常にグロテスクな状態で横たわっている。
「早く、は、早く、殺してくれ!がはっ、はぁはぁはぁ。うっ、こっ、殺して..」
私は、無言で刀を抜き首をはねた...。
(誰も死なせる気無かったのに...)
胸がひどく傷んだ。

『【称号:白の神】の権能により現在撃破した、ヒューマン、ヴァンパイアが第2種族として選択できるようになりました。以前のデータにより、ハイヒューマンが第2種族として選択できるようになりました。』

久々に聞いた声は耳には入ってこなかった。

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