転生バーテンは生き残る
55話 衝撃
森の中は音が響く
4人の足音や吐息、衣擦れ。
落ち葉や枯れ草、木々の波打つ音。
そして獣や鳥の出す音。
薄明かりの木漏れ日の中4人は周囲を警戒しながらも前に進む。
アリスの夕飯には十分な量を確保しつつも多少の収穫がある方が良い。
辺りは徐々に陰っていった。もうそろそろ戻ろうかとガイツが振り向き、念のためルドルフに周辺を索敵してもらった時それは起こった。
「ガイツ、こっちを囲みながら何かが近づいてくる!数は5」
「フォレストウルフか!各自臨戦体勢!アリスとルドルフは木の上から支援!カイト、2人でこの木を守るぞ!」
近くにあった広葉樹の枝に2人を押し上げガイツは木を守るように大剣を構えた。
今まで気付かなかったのになんとなくではあるが気配を感じる。ガイツが構えている方に3つ、ガイツの後ろに2匹つ。ぼやっとした何かが。木の裏に回りつつ近くにあった枝を拾い、鉈に手をかけつつ前方左側の気配に枝を投げつける。「キャウン」という鳴き声が聞こえると同時に右の気配が低木の木陰から走り出してきた。
体長1mほどの若草色の毛の狼が飛びかかってくる。左前足の大きく肥大した1本の爪を大きく振り回すそれを右にかわしつつ右手に持ち直した鉈で首筋から前足にかけてを叩くとグシャッと肉が潰れるような音とともに突き立った場所から赤い血を飛ばしながら左手に流れ落ちていく。
と、今度は重たい音を立てて崩れ落ちた個体の奥からもう一体のフォレストウルフが駆けてくるのが見える。間を置かず飛びかかってきたフォレストウルフが首をひねり首筋に向け口を大きく開けたところに受け止めようと鉈を口めがけて振るうと気付いたフォレストウルフが鉈を噛むが、奥歯や顎、頬を砕き裂きつつ鉈が喉元に突き立ち勢いが止まる。どくどくと血が鼓動とともに流れながらも右足の爪が振るわれるのを左腕の防具で防ぎつつ鉈を抜き、右前足首を持ちくぐり抜け、空いた首に鉈を叩き込んだ。かくっと膝が抜けるように力が抜け、そのまま2匹目のフォレストウルフが地面に倒れ伏した。
それぞれの首にナイフを突き立てとどめを刺して後方を見ると上下2つに割かれたフォレストウルフ以外の2匹が距離を開けつつガイツを囲んでおり、それを上からルドルフが魔法で狙っているのだが避けられているようだ。ガイツもあの体格でとても素早くは動けないだろうとは思いつつ、ナイフを軽く布で拭きしまい、鉈を持ち替え右手にダーツを1本取り出した。
「ガイツ!」
言った直後にダーツを左の個体の顔に投げつける。
ひゅんと鋭く飛んだその矢はフォレストウルフの目に吸い込まれる様に突き立った。
キャウンッと怯んだその隙にガイツが大振りの大剣を振り下ろす。
グシャッと切ったと言うより叩き潰したかの様な音とともにフォレストウルフは地に沈んだ。
あと1匹。
握り直したナイフと鉈を手に走る。ルドルフの土魔法がフォレストウルフの腹部に伸び上がるがこれを後ろに飛びすさる。が、空中では回避できないそこに鉈を振るう。
フォレストウルフの首筋に伸びた鉈の入りが浅い。と同時にもう一歩前へ。返す刀で振り上げた鉈は腹部を大きく切り裂いた。
割かれた腹部から内臓を垂らし、血を撒きながらもまだ立ち上がろうととするフォレストウルフにガイツが大剣でとどめを刺した。
「なんとかなったな。カイトサンキュー。」
「やっぱりそのダーツ?小型の矢は便利だね。投げナイフも考えてみるか。」
「私も欲しい。」
「…とりあえず早く片して帰ろう?なんか疲れた。」
フォレストウルフをマジックバッグに収納し帰路につく。
行きと同じく隊列を組み、周囲を警戒しながら4人は森を出ようとしていた。
遠くからガサガサと音がする。
自然と4人の足は止まり音のする方へと身構える。
誰だ?そう思ったのは何故だろうか。
「ルドルフ!索敵!」
「…!2体!前のは後ろの大きい存在に追われてるみたいだよ!」
「やり過ごすか?」
「いや…前を走っているのは人だ!」
「なんだって!?ほんとかカイト?」
「いやなんとなくそう思った。」
「ルドルフ!最短の合流地点はどこだ?」
「このまま行けば僕たちがちょうど森を出たところあたり!」
「みんな!アリスは回復準備!他は戦闘準備しながら急ぐぞ!」
そう言うとガイツが走り、ルドルフ、アリス、そして自分がそれに続いて走り出す。
徐々にしばらく走ると急に視界が開け、森を抜ける。
見上げた西の空は紅く、頭上の雲がその赤さを受け止めていた。
森から少し離れ森を見守り警戒していると急にその時はきた。ドンっ!と言う音とともに吹き飛ばされるように人影が木々と一緒に宙を舞う。
咄嗟に体が動いていた。吹き飛ばされた人影の予想落下点めがけ走る。
「カイト!」
呼ばれたがあのまま落ちたらあの子は受け身も取れずに落ちる。すまん!愚痴は後で聞く!
一瞬が何分にも感じる。
脚が重い。遅い。もっと早く。あの子を助ける為にももっと!あと少し!飛べっ!
落下ギリギリ人影を抱きしめるとそのままスライディング。ケツが痛い。
「おいっ!大丈夫か!?」
ぐったりはしてるが息はある。その場に寝かせてその子が飛ばされてきた方を見る。
10メートルくらい森から離れているだろうか。飛ばされたのが待ち構えてる近くで良かった。だけどアレはなんだ?
目線の先には大きな赤い目をした1体の獣が居た。
4人の足音や吐息、衣擦れ。
落ち葉や枯れ草、木々の波打つ音。
そして獣や鳥の出す音。
薄明かりの木漏れ日の中4人は周囲を警戒しながらも前に進む。
アリスの夕飯には十分な量を確保しつつも多少の収穫がある方が良い。
辺りは徐々に陰っていった。もうそろそろ戻ろうかとガイツが振り向き、念のためルドルフに周辺を索敵してもらった時それは起こった。
「ガイツ、こっちを囲みながら何かが近づいてくる!数は5」
「フォレストウルフか!各自臨戦体勢!アリスとルドルフは木の上から支援!カイト、2人でこの木を守るぞ!」
近くにあった広葉樹の枝に2人を押し上げガイツは木を守るように大剣を構えた。
今まで気付かなかったのになんとなくではあるが気配を感じる。ガイツが構えている方に3つ、ガイツの後ろに2匹つ。ぼやっとした何かが。木の裏に回りつつ近くにあった枝を拾い、鉈に手をかけつつ前方左側の気配に枝を投げつける。「キャウン」という鳴き声が聞こえると同時に右の気配が低木の木陰から走り出してきた。
体長1mほどの若草色の毛の狼が飛びかかってくる。左前足の大きく肥大した1本の爪を大きく振り回すそれを右にかわしつつ右手に持ち直した鉈で首筋から前足にかけてを叩くとグシャッと肉が潰れるような音とともに突き立った場所から赤い血を飛ばしながら左手に流れ落ちていく。
と、今度は重たい音を立てて崩れ落ちた個体の奥からもう一体のフォレストウルフが駆けてくるのが見える。間を置かず飛びかかってきたフォレストウルフが首をひねり首筋に向け口を大きく開けたところに受け止めようと鉈を口めがけて振るうと気付いたフォレストウルフが鉈を噛むが、奥歯や顎、頬を砕き裂きつつ鉈が喉元に突き立ち勢いが止まる。どくどくと血が鼓動とともに流れながらも右足の爪が振るわれるのを左腕の防具で防ぎつつ鉈を抜き、右前足首を持ちくぐり抜け、空いた首に鉈を叩き込んだ。かくっと膝が抜けるように力が抜け、そのまま2匹目のフォレストウルフが地面に倒れ伏した。
それぞれの首にナイフを突き立てとどめを刺して後方を見ると上下2つに割かれたフォレストウルフ以外の2匹が距離を開けつつガイツを囲んでおり、それを上からルドルフが魔法で狙っているのだが避けられているようだ。ガイツもあの体格でとても素早くは動けないだろうとは思いつつ、ナイフを軽く布で拭きしまい、鉈を持ち替え右手にダーツを1本取り出した。
「ガイツ!」
言った直後にダーツを左の個体の顔に投げつける。
ひゅんと鋭く飛んだその矢はフォレストウルフの目に吸い込まれる様に突き立った。
キャウンッと怯んだその隙にガイツが大振りの大剣を振り下ろす。
グシャッと切ったと言うより叩き潰したかの様な音とともにフォレストウルフは地に沈んだ。
あと1匹。
握り直したナイフと鉈を手に走る。ルドルフの土魔法がフォレストウルフの腹部に伸び上がるがこれを後ろに飛びすさる。が、空中では回避できないそこに鉈を振るう。
フォレストウルフの首筋に伸びた鉈の入りが浅い。と同時にもう一歩前へ。返す刀で振り上げた鉈は腹部を大きく切り裂いた。
割かれた腹部から内臓を垂らし、血を撒きながらもまだ立ち上がろうととするフォレストウルフにガイツが大剣でとどめを刺した。
「なんとかなったな。カイトサンキュー。」
「やっぱりそのダーツ?小型の矢は便利だね。投げナイフも考えてみるか。」
「私も欲しい。」
「…とりあえず早く片して帰ろう?なんか疲れた。」
フォレストウルフをマジックバッグに収納し帰路につく。
行きと同じく隊列を組み、周囲を警戒しながら4人は森を出ようとしていた。
遠くからガサガサと音がする。
自然と4人の足は止まり音のする方へと身構える。
誰だ?そう思ったのは何故だろうか。
「ルドルフ!索敵!」
「…!2体!前のは後ろの大きい存在に追われてるみたいだよ!」
「やり過ごすか?」
「いや…前を走っているのは人だ!」
「なんだって!?ほんとかカイト?」
「いやなんとなくそう思った。」
「ルドルフ!最短の合流地点はどこだ?」
「このまま行けば僕たちがちょうど森を出たところあたり!」
「みんな!アリスは回復準備!他は戦闘準備しながら急ぐぞ!」
そう言うとガイツが走り、ルドルフ、アリス、そして自分がそれに続いて走り出す。
徐々にしばらく走ると急に視界が開け、森を抜ける。
見上げた西の空は紅く、頭上の雲がその赤さを受け止めていた。
森から少し離れ森を見守り警戒していると急にその時はきた。ドンっ!と言う音とともに吹き飛ばされるように人影が木々と一緒に宙を舞う。
咄嗟に体が動いていた。吹き飛ばされた人影の予想落下点めがけ走る。
「カイト!」
呼ばれたがあのまま落ちたらあの子は受け身も取れずに落ちる。すまん!愚痴は後で聞く!
一瞬が何分にも感じる。
脚が重い。遅い。もっと早く。あの子を助ける為にももっと!あと少し!飛べっ!
落下ギリギリ人影を抱きしめるとそのままスライディング。ケツが痛い。
「おいっ!大丈夫か!?」
ぐったりはしてるが息はある。その場に寝かせてその子が飛ばされてきた方を見る。
10メートルくらい森から離れているだろうか。飛ばされたのが待ち構えてる近くで良かった。だけどアレはなんだ?
目線の先には大きな赤い目をした1体の獣が居た。
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