転生バーテンは生き残る
37話
 のそり、のそりと小さき猛獣が近寄ってくる。
 それに気がついたのかガイツとルドルフがギクッと一瞬にして身を固めるが、メルヴィルさんだけ気付かない。そもそもこんなところで真後ろから猛獣が近づいてくるなんて誰が想像出来ようか。
「ご注文を伺いに来ましたメルちゃん♪」
 ドスの効いた声。さっきメルヴィルさんにしがみついてた時のあの可愛らしい声帯はどこへ置いてきたのか。
「あらムース、そうねえ、みんな何にするか決めた?あと今日のおすすめを教えて?」
「今日のおすすめはモツの煮込みとホーンラビットの香草焼き、それから量はないけどホーンボアのブラッドソーセジ。時間早いからまだあるけど数量限定だよ♪」
 なん…だと!?メルヴィルさんだけ気が付いてないのか!?だがしかしここで流されて言えずにいれば気になって仕方なかったホーンボアを食べられない!
「貴方達はどうする?」
「僕はメルヴィルさんに任せるよ。」
 冷や汗をかきながらもなんとか耐えるルドルフ。
「オレは…肉。あとはメルヴィルに任せた。あとエール。」
 がくっ。
 ガイツー ︎
「俺は、ブラッド、ソーセジ、が、食べ、たい。あとは、わからないけど、エール、ってお酒?俺も、飲んで、いいの?」
 耐えろ!耐えるんだ!美味い飯が待っている!
「当たり前じゃない?成人しているんだから。ああ、カイトは東の生まれだったわね。成人年齢とか違うのかしら?この国は成人は16歳からよ。じゃあカイトはブラッドソーセジね。じゃあムース注文いいかしら?」
「うん♪」
「ブラッドソーセジ2つとホーンラビットの香草焼き2つ、あとモツ煮込み1つとパンとサラダ、そしてエールを4人分お願いね。」
「はーい。ブラッドソーセジ2、香草焼き2、モツ煮1、パンとサラダとエールが4ね。すぐ持ってくるわ♪」
「よろしくね。」
 メルヴィルさんがムースさんを見送る。
「アンタたち、急に変になってどうしたのよ?」
「メルヴィルさんはなんで耐えられるの?ムースさんのあのプレッシャーに。」
 意を決して聞いてみる。
「え?威圧なんかしてた?」
「メルヴィルと来る時のムースはいつもあんなだ。気にするな。」
「ガイツ立ち直りはやっ!」
「僕も初めてだよあんな威圧。ムースさんて凄いね。まあメルヴィルさんの周囲のハエを蹴散らそうとしてのことなんだろうけど。」
「「あーなるほど。」」
「え?なんだ?ハエなんていたか?」
「これは1度あの子話し合う必要があるわね。ちょっとムースと話してくるわ。」
 そう言うとメルヴィルさんは立ち上がり、カウンター奥に入っていった。
 かたや幼馴染の男の子が好きだけど言えない女の子。そしてその幼馴染が大好きで取られたくない女の子。そんな感情に気付かない鈍感な幼馴染の男の子。若いっていいわー。おじさんキュンキュンするわー。
 そんな感情に浸っているとムース母が次々に料理や酒を運んでくる。
「なあルドルフ、どういうことだ?」
「ガイツ、それは自分で気付くべき事だよ。そして気付いたら誠意を見せなければならない。そんな事だよ。」
「そ、そうなのか?」
「ガイツ、ルドルフの言う通りだよ。そして傍から見れば羨ましがられる事だ。色々がんばって悩みたまえ。」
 道のりはまだまだ遠そうだ。外野がアレコレ言っても本人の意思が大事なんだからそれを乱すようなことを俺はするつもりはない。
 料理が出揃う頃メルヴィルさんは帰ってきた。
 それに気がついたのかガイツとルドルフがギクッと一瞬にして身を固めるが、メルヴィルさんだけ気付かない。そもそもこんなところで真後ろから猛獣が近づいてくるなんて誰が想像出来ようか。
「ご注文を伺いに来ましたメルちゃん♪」
 ドスの効いた声。さっきメルヴィルさんにしがみついてた時のあの可愛らしい声帯はどこへ置いてきたのか。
「あらムース、そうねえ、みんな何にするか決めた?あと今日のおすすめを教えて?」
「今日のおすすめはモツの煮込みとホーンラビットの香草焼き、それから量はないけどホーンボアのブラッドソーセジ。時間早いからまだあるけど数量限定だよ♪」
 なん…だと!?メルヴィルさんだけ気が付いてないのか!?だがしかしここで流されて言えずにいれば気になって仕方なかったホーンボアを食べられない!
「貴方達はどうする?」
「僕はメルヴィルさんに任せるよ。」
 冷や汗をかきながらもなんとか耐えるルドルフ。
「オレは…肉。あとはメルヴィルに任せた。あとエール。」
 がくっ。
 ガイツー ︎
「俺は、ブラッド、ソーセジ、が、食べ、たい。あとは、わからないけど、エール、ってお酒?俺も、飲んで、いいの?」
 耐えろ!耐えるんだ!美味い飯が待っている!
「当たり前じゃない?成人しているんだから。ああ、カイトは東の生まれだったわね。成人年齢とか違うのかしら?この国は成人は16歳からよ。じゃあカイトはブラッドソーセジね。じゃあムース注文いいかしら?」
「うん♪」
「ブラッドソーセジ2つとホーンラビットの香草焼き2つ、あとモツ煮込み1つとパンとサラダ、そしてエールを4人分お願いね。」
「はーい。ブラッドソーセジ2、香草焼き2、モツ煮1、パンとサラダとエールが4ね。すぐ持ってくるわ♪」
「よろしくね。」
 メルヴィルさんがムースさんを見送る。
「アンタたち、急に変になってどうしたのよ?」
「メルヴィルさんはなんで耐えられるの?ムースさんのあのプレッシャーに。」
 意を決して聞いてみる。
「え?威圧なんかしてた?」
「メルヴィルと来る時のムースはいつもあんなだ。気にするな。」
「ガイツ立ち直りはやっ!」
「僕も初めてだよあんな威圧。ムースさんて凄いね。まあメルヴィルさんの周囲のハエを蹴散らそうとしてのことなんだろうけど。」
「「あーなるほど。」」
「え?なんだ?ハエなんていたか?」
「これは1度あの子話し合う必要があるわね。ちょっとムースと話してくるわ。」
 そう言うとメルヴィルさんは立ち上がり、カウンター奥に入っていった。
 かたや幼馴染の男の子が好きだけど言えない女の子。そしてその幼馴染が大好きで取られたくない女の子。そんな感情に気付かない鈍感な幼馴染の男の子。若いっていいわー。おじさんキュンキュンするわー。
 そんな感情に浸っているとムース母が次々に料理や酒を運んでくる。
「なあルドルフ、どういうことだ?」
「ガイツ、それは自分で気付くべき事だよ。そして気付いたら誠意を見せなければならない。そんな事だよ。」
「そ、そうなのか?」
「ガイツ、ルドルフの言う通りだよ。そして傍から見れば羨ましがられる事だ。色々がんばって悩みたまえ。」
 道のりはまだまだ遠そうだ。外野がアレコレ言っても本人の意思が大事なんだからそれを乱すようなことを俺はするつもりはない。
 料理が出揃う頃メルヴィルさんは帰ってきた。
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