転生バーテンは生き残る
22話 月
河原から2時間。急に視界が開ける。徐々に川の幅は広がり、激しかった川の流れは緩やかになっていく。そして川の両方の崖が急に低くなっていったのだ。背伸びすれば上の景色が見えるほどに。まだまだ河岸の崖は低くなって行く。それに連れ大きな岩場も減っていき、そこから1時間も歩くとついに崖と歩く河岸との段差は膝下ほどとなっていった。
そうなると迷いが出る。このまま川縁に歩き続けるか、それとも一段上に登るか。もう日も暮れてきており、雲が茜色に染まっている。
やっぱり森は怖いけど、火を焚かなければならないし、そのためには枝が必要だ。森がある分集めやすいだろう。それに拠点は水面よりなるべく高い方がいい。川幅が広いとはいえこれだけ削られているということは鉄砲水もあるのだろう。
そう考えた男は登りやすそうなところから崖上に登る。久々の土の上。歩きやすい。
登った近くの木に蛇を掛け、鞄を置いて枝を探す。
さすが森、枝も多く太いものも多い。早々に拾い終え、河原の石を集め土を掘り、釜を作り焚き火をする。だがこの近くには屋根はない。木の枝を束ね、ツルで巻き、近くの木の幹に引っ張ったツルを巻きつける。即席の屋根が完成だ。
このツルも長く使っているがそろそろ新しくツルを手に入れたい。できればロープが欲しいところだがサバイバルでは難しいか。
蛇ばかりでも飽きるし、夕飯は焼いたウサギ肉の燻製とライム半分にしよう。
そう思い立ち、串を作り、肉を刺し、串を地面に突き刺す。煙に燻されたウサギの肉は黄金色に艶があり乾燥していたが、焼いて食べてみると柔らかく、油の甘みががじんわり染み出してきた。
美味い。
その後ライムの果汁を絞ったり、ライムの川を絞ったりしてウサギの肉は無くなった。絞ったライムの絞りかすごと食べ、すっかり満腹。明日の計画を立てる。
今は食料を消費しつつも前に進まなければ。必ずどこかに人のいる形跡があるはずだ。少しずつでも進められれば何かしら見つかるだろう。
今日も食後に空を見上げる。星空を見上げて和んでいたが、ハッとする。
月が3つ?大きいのは白と赤。少し小さいがその2つと少し距離を開け青い月。見た目は地球から見る月に近い。
「月が…3つ?」
地球から見える衛星は唯一月だけだったはず。それならここはどこなんだ…。それとも衛星が増えたのか…。でもそれなら重力が変わるはず。ここで飛び跳ねたりもしたけれどそう変なことにはなってない筈だ。
急いでケータイを取り出すが、電波はない。圏外だ。
呼吸が出来、気分も悪くなってない。最悪は地球に近い環境の違う星に居る可能性…か。衛星が増えた可能性を信じたい。
でもどこかで諦めている自分がいた。初めからおかしいおかしいとは思っていた。ツノの生えたウサギや巨大蛇、それらの中にある宝石に似た謎の石。見慣れない植物もたくさんあった。
「何故だろう?故郷を諦めきれないのは。目から汗が流れてる。あっちはあっちで楽しかったのかな。」
おもむろにタバコとジッポを取り出し、口にくわえて火をつける。
体は疲れていたはずなのにその日はなかなか寝付けなかった。
そうなると迷いが出る。このまま川縁に歩き続けるか、それとも一段上に登るか。もう日も暮れてきており、雲が茜色に染まっている。
やっぱり森は怖いけど、火を焚かなければならないし、そのためには枝が必要だ。森がある分集めやすいだろう。それに拠点は水面よりなるべく高い方がいい。川幅が広いとはいえこれだけ削られているということは鉄砲水もあるのだろう。
そう考えた男は登りやすそうなところから崖上に登る。久々の土の上。歩きやすい。
登った近くの木に蛇を掛け、鞄を置いて枝を探す。
さすが森、枝も多く太いものも多い。早々に拾い終え、河原の石を集め土を掘り、釜を作り焚き火をする。だがこの近くには屋根はない。木の枝を束ね、ツルで巻き、近くの木の幹に引っ張ったツルを巻きつける。即席の屋根が完成だ。
このツルも長く使っているがそろそろ新しくツルを手に入れたい。できればロープが欲しいところだがサバイバルでは難しいか。
蛇ばかりでも飽きるし、夕飯は焼いたウサギ肉の燻製とライム半分にしよう。
そう思い立ち、串を作り、肉を刺し、串を地面に突き刺す。煙に燻されたウサギの肉は黄金色に艶があり乾燥していたが、焼いて食べてみると柔らかく、油の甘みががじんわり染み出してきた。
美味い。
その後ライムの果汁を絞ったり、ライムの川を絞ったりしてウサギの肉は無くなった。絞ったライムの絞りかすごと食べ、すっかり満腹。明日の計画を立てる。
今は食料を消費しつつも前に進まなければ。必ずどこかに人のいる形跡があるはずだ。少しずつでも進められれば何かしら見つかるだろう。
今日も食後に空を見上げる。星空を見上げて和んでいたが、ハッとする。
月が3つ?大きいのは白と赤。少し小さいがその2つと少し距離を開け青い月。見た目は地球から見る月に近い。
「月が…3つ?」
地球から見える衛星は唯一月だけだったはず。それならここはどこなんだ…。それとも衛星が増えたのか…。でもそれなら重力が変わるはず。ここで飛び跳ねたりもしたけれどそう変なことにはなってない筈だ。
急いでケータイを取り出すが、電波はない。圏外だ。
呼吸が出来、気分も悪くなってない。最悪は地球に近い環境の違う星に居る可能性…か。衛星が増えた可能性を信じたい。
でもどこかで諦めている自分がいた。初めからおかしいおかしいとは思っていた。ツノの生えたウサギや巨大蛇、それらの中にある宝石に似た謎の石。見慣れない植物もたくさんあった。
「何故だろう?故郷を諦めきれないのは。目から汗が流れてる。あっちはあっちで楽しかったのかな。」
おもむろにタバコとジッポを取り出し、口にくわえて火をつける。
体は疲れていたはずなのにその日はなかなか寝付けなかった。
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