転生バーテンは生き残る

海夏季コエル

21話

「重い。そりゃ重いよね。河原からの帰りに蛇背負って帰るのも重かったんだから。少しは減ったとはいえこいつ太ももサイズが5mだからね。ある程度引きずってもいいよね。杖必要だけど杖も重いってどゆこと?。まだ河原にすらつかない。あー荷物は減らすべきだった。…いやいやいやいやポジティブに考えよう!はじめはきつくてもいずれは慣れるはず!トレーニング!いやこれは訓練!ベア様がおっしゃってる!あれ?叱咤激励が聞こえる?あははっ。」

拠点を去って1時間。軽装ならもう河原についてる頃。荷物がそれ相応に重いことにやっと気が付いた。このゴツゴツとした岩場を延々歩くのにこの重装備。ない。

追加で30分ほど歩きやっと河原へたどり着く。

荷物を乱暴に降ろし、川にダイブする。

バシャン
「ボコボコボコボコ…。」

…浮かない。いや体は浮いている。が、手足は沈む。深さ4〜50cmで溺死とか笑えない。

体を縮め起き上がる。

「はーっスッキリした!」

1時間半の苦行から解放され、それはそれは素晴らしい体の軽さだった。手足に重りをつけていたことも忘れ、ここでその巨大な蛇と遭遇したことも忘れるほど。

だが男は振り返ると同時に思い出し、警戒する。そこには生々しい昨日倒した蛇の血痕が残っていた。

さっき水中には少なくとも見える範囲には蛇はいなかった。いたとしても林の中だろう。木の上に居たら怖いのでそれも警戒する。

だが同程度の大きさの蛇ならばもう対処法はあるんだ。1.杖で押さえつけナタで叩っ斬る。2.飛び跳ねてきたら避けながら叩き斬る。3逃げる。よし完璧!

そう言いながらも荷物に駆け寄る。周辺を警戒しながらも休憩を取ることにした。荷物を減らすためにナイフと鉈のベルトを締め、鉈を片手に林に近づく。少し入ったところで枝や枯れ草を拾う。

拾い集めること数分荷物のもとにもどる。軽く石をどけ穴を掘り石を積み上げ釜を作る。その両脇に先端が斜めにクロスするように2本ずつ枝を刺す。同士がクロスした部分をツルの皮で縛り、釜で火を起こす。枯れ草、小枝、枝の順。ジッポで切り出したフェザースティックに火を灯し、枯れ草に火を移す。枝に火がついたのを見て削った串に切り出した蛇肉を刺し、クロスした枝の上にかける。後はクルクル回すだけ。

食事休憩が終わると掘った釜を埋め戻し、また荷物を担ぐ。腰のナイフと鉈にはもう慣れた。でもこの蛇は重い。

今日はどれだけ下れるだろうか?気合い入れてまた川を下る。

それから2時間ほどが過ぎ、視界が変化していった。

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