転生バーテンは生き残る

海夏季コエル

20話

ナタは刃先が重くなるよう峰の方にいくに従って厚くし、切っ先にいくに従って幅広くなるよう作ってみたが少し重いものになってしまった。でも振れない程ではない。遠心力と重さでよく切れるだろう。

ナタは刃渡り30cm、幅根元4cm、切っ先5cm、なかご10cm程だろうか、グリップも片手用だが少し長くなっている。

制作時間は約2時間といったところか。

ついでに多少まだ臭うが、少しは乾いていた蛇の皮で鞘とベルトを作ってみた。裁縫セットがここにきて役立つ。だが糸は細いし皮もなめしたわけじゃないので一時しのぎ。蛇の皮はもったいない気もするがむき出しで持つわけにもいかない。

結晶の残りはあと3本半とちょっと。ちょっとの部分は端材を丸めて火にくべた分だ。1本は手持ちで杖代わりにするとしてあと2本半はどうするか。背負うとなかなかの重量だ。だが残していくのももったいない。最悪隠すのがいいだろう。

半分と少しの結晶は両手両足首に巻くことにした。少し重いが負荷になり、普段の運動不足解消になるかもしれない。取れば体が軽くなり、少しいじればメリケンサックみたいになるだろう。

少し手足が重くなるとどうなるか試しに動いてみる。そこまで不自由はない。ナイフとナタはベルトで腰に巻き、結晶棒を持ってみる。

まだ大丈夫。

そこに蛇とウサギの肉、そして革鞄を持ってみる。

蛇って重いんだな…。大事な食料だ。持って行かないわけがない。これ以上となると難しい。最悪また取りに戻ればいい。無理は禁物だ。体を壊したら意味がない。これが限界だろう。

一旦蛇を降ろし、ほかに忘れたものがないか見回す。

槌やなんやかんやは革鞄に入れた。水も補充した。ウサギと蛇の内臓は埋めた。後は結晶棒を隠すだけか。さてどこに隠そうか滝壺はナシ。川の中はアリだけど、流されないような場所に埋めよう。

荷物を全て降ろし、パンイチになり、目立つ木の生えた岩の下に穴を掘る。30cm程掘ったところで、

石ばかりだがここなら少し石が増えても見分けがつかないだろう。

そう思い2本の結晶棒を手にし穴へ入れる。石を積み上げ平にし、その上に近くにあった大きな石を置く。探しに来た時目印になるだろう。

川から上がり、体を吹き準備する。日は高く上っている。

ここに来てもう3日目。落ちた時はどうなるかと思ったが、離れるとなると感慨深い。過ごしやすい場所だった。可能であればまた来よう。次はできれば1人ではなく誰かを連れて。

準備が終わり、焚き火も消し後は下るだけ。

猛獣に注意しながら。塩とハーブを求めて!間違えた村を求めて。

男は川を下り始めた。

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