転生バーテンは生き残る

海夏季コエル

14話 大蛇

体はまだ少し濡れてるけどさっぱりした。でもそのうちシャンプーとボディーソープか石けん欲しいな。服も洗いたいし。

服を着て危険が待ち構えている可能性のある林を前に、気持ちを切り替える。

「毒以外で栄養になりそうな植物があれば良いんだけどな。あんまり時間ないしそろそろ入るか。」

傾き始めた日差しを背に林を伺い、木の棒を握りしめる。たまに川が氾濫するのか低木は少なく、木の幹膝下あたりに付着物の線がある。辺りを観察しながら男は少しずつ進んでいく。極力足音を立てないように慎重に。

林に入り5分くらいだろうか、ふと足が止まる。

「結晶柱を棒状にして持って来れば良かったかも。でもあれ重いから訓練しないと大きいのは使えないよな。攻撃力はたかそうだけど。形状にもよるか。」

川のせせらぎと鳥の声、木々の葉音。それら以外の音に注意する。

「!?」

どこからかシュルシュルと音がする。あまり大きくはないが小さくもない。何か擦れるような音。

なんだ?。何かいる。いるのはわかっても方向がわからない。コレは危ないかもしれない。

恐怖で粟立つ腕や背中が自分が狙われていると告げる。

来た方に振り返り走る。あと少しで林を抜ける。

とその時背後でシュルシュルシュル音がする。

追われている。それもなかなか早い。

でもそんなことは御構い無しに男は河原に飛び出ていた。川辺に駆け寄り背後を振り向くと、そこには大きな赤と白と黒の縞模様の蛇がいた。

くねっているが体長は5mくらいか、体は太ももほどに太い。大型の蛇特有の鱗も硬そうでナイフでは歯が立ちそうもない。菱形の頭をもたげ口を開け牙を向けてくる。その高さは1mほど。少しずつ体を曲げ縮こまり、こちらに狙いを定めてくる。

マジかよ!でけー!キングコブラかよ!?それもジャンプ姿勢とか!どんだけ筋力あるんだ!巻きつかれるのは回避!さらに毒持ってる可能性もあるとか!

持っているのは杖用の枝とカッターナイフ。無理ゲー。そんな言葉が頭をよぎる。

そこに大きく口を開けた蛇が飛び込んできた。
とっさに棒で頭を弾き、その反動で逆側へと飛び転がる。距離を開けつつ河原の石を拾いこちらに向く蛇の頭に投げつける。石は牙に弾かれるが投げた石に牙も傷つけられたようだ。牙に傷がついたからか蛇の様子がおかしい。

あれ?もしかしてコレイケる?

おもむろに石を拾い、また投げつける。次は鼻先に。少しだが傷が付く

蛇は頭を振りまたこちらに視線を向けた。

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