転生バーテンは生き残る

海夏季コエル

4話 ウサギの解体

木の実は見た目も抵抗なく食べられた。問題はキノコと野草。片っ端から採取してきたけどもさてどうするか。日本にも見られる様なキノコと野草もあるけれど食べられるかどうかはわからない。中には見た目が毒々しい赤色や紫、黒や青いキノコや赤いが柔らかい草、黄色い葉肉は表面は硬いが弾力があり中身は食べられそうな葉などもある。

とりあえず無理に食べて食中毒にはなりたくないから川沿いに下っていってどこか村か何か見つけてから聞くか。売れたら儲けもの。

そう決めて少し体も温まってきたところで程よい時間が経ったので、焚き火ができそうな枝や枯葉を探しに向かう。滝壺から少し離れた岸辺には流木があり、それなら少し乾燥させたら焚き火に使えそうだ。

松の木の様な木が生えていたので着火剤になりそうな松ぼっくりか枯れ枝が落ちてないか探してみると、滝の近くな為少し湿っているがどちらも見つけることができた。

それらを拠点に持ち帰り乾かすために干しておく。さて解体の時間だ。


ウサギを水底から引き上げる。川の水に冷やされ冷たく硬直してる。

うさぎの上半身を持ち振って内臓が下がったらお腹の上を持ち、ひざに押し当ててギュっと絞り出す様に内臓を取る方法もあるけれど、ツノの生えたウサギは初めてだ。基本通りに解体しよう。

カッターナイフを持っていて良かった。無ければ河原の石で石器のナイフを作って時間が削られるところだった。

近くにちょうどいい高さの岩があり、そこにうさぎを横たえ、もう一度手を合わせ、全て使わせて頂きますと祈る。

それからカッターの刃を適量出し腹を開く。4足歩行の脊椎動物はほとんど同じ構造だ。首のあたりから下腹部まで1つの線を描く様に。内臓に刃が当たらない様に気をつけながら切っていく。

次は足首手首の皮を1周切り四肢の内側をお腹に向けて切っていく。そこからまずは皮剥だ。皮下組織と脂肪の間の繊維膜を皮を持ち上げながらカッターを当て剥いでいく。首から下の皮が剥けたらあとは頭部。
丁寧に頭蓋骨から剥がしていく。

こうして解体していくと気付いた事がある。爪のように皮膚の一部が硬化したものかと思ったが、このウサギのツノは歯のように頭蓋骨に窪みがあり、そこから生えているようだ。おそらく時期により生え変わる事もあるのだろう。ツノは何かに使えるだろう。取っておく。

皮がはぎ終わり次に内臓を取り出す。内臓は内臓を守る膜の様なものがあり、ほとんどの内臓はその膜の内側にある。肋骨と肋骨の間、胸部には肋骨同士を繋ぐ胸骨があるが肋骨に手を入れ力任せに割り開く。胸部が開いたところで首を開き気管支と食堂を切る。その後肺と内臓の間にある横隔膜を先に取り除き、内臓を傷つけない様に肛門付近を切り取る。

最後に食堂と気管支を持ち、肛門に向けて引っ張ると、骨と筋肉から内臓が取れる。

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