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隻眼の英雄~魔道具を作ることに成功しました~

サァモン

78話 ???とギルドマスター

 蝋燭が揺らめくその部屋で、とある人物の声がその部屋に響き渡る。






「王よ。私のしもべが殺られました。恐らく何らかの魔物に食べられたかと」






 それは女の声であった。






「……それで?」






 すると今度は野太い男の声が。
 それに対して女の声がすぐさま答える。






「嘆かわしいことに、向かわした二匹の内一匹は手はず通り動いたのですがもう一匹が指示通りに動かずーー」






「御託はいい。結果だけを話せ」






 その言葉と共に男から威圧が発せられる。
 それもただの威圧ではなくその部屋全体がドロッとした液体に満たされたのではないかと錯覚するほどの重圧。






「申し訳ありません。全て失敗しました」






「そうか」






 そこでフッと場の空気が軽くなった。
 男が別のことに思慮を巡らし始めたからだ。






「さすがにゴミを片付ける力は持っているか」






「それが、実際はそうではなく仲間割れで……」






「仲間割れ? ならそいつをすぐさま回収してどちらが上か思い知らせろ。それでまだ使えそうなら再びアレを取りに行かせろ」






「はっ」






 女は男にそう指示されると、すぐさま返事をし、その部屋を去った。






◇◆◇◆◇◆






 場所は移り、ここは冒険者ギルド。
 そのギルドマスターの執務室でとある数人の男達が集まって話し合いをしていた。






「ではギルドマスター、途中で乱入してきたと言うその魔人は魔人ではないと?」






「あぁ。あれは十中八九人間だ。間違いねぇ。アカハもそう思うだろ?」






 ギルドマスターにアカハと呼ばれた冒険者はカチコチと緊張した面持ちをしながらも、どうにかといった様子で喉から言葉を絞り出した。






「え、えぇ。ギルドマスターの仰る通り自分がシンリョクの森で見た魔人は魔物と同じように目が、というより眼球自体が赤色でした。人間のような白目は全く確認できませんでした」






 アカハがそう言うとギルドマスターではない方の男、サブギルドマスターが顎に手を当てて唸り声をあげながらも反論を口にした。






「ですが大人と同じ背丈の魔人を蹴り飛ばす、それも外壁を遥かに超えて蹴り飛ばすことができる人間の子供なんていると思いますか?」






 サブギルドマスターはギルドマスターにそう問いかけるも、その顔にはいるわけがないという答えが書かれていた。それはギルドマスターも同様だったようですぐにその質問に答える。






「いねぇな。普通ならいねぇだろうな」






 だがギルドマスターはサブギルドマスターの問いかけに素直に答えるのではなく、若干の含みを持たせて答えた。
 その答えを聞き訝しげな顔をするサブギルドマスターとアカハ。






「とにかくこの話はここまでだ。少なくとも紅眼と魔人は違う目をしていると分かったんだ。それは俺から上に伝えておく」






 だがギルドマスターはそれ以上何を言うでもなく話を切り上げ、二人を執務室から追い出した。






◇◆◇◆◇◆






「ライン! 早く行くわよ!」






「わかったわかった。分かったからそんなに力強く引っ張らないでよ」






 魔人襲撃事件の翌日。ネイは僕より遥かに早く起き、目をこの国のお金であるミラにさせてキラキラとしたオーラを纏っていた。
 そして宿で朝食を食べ終わった今もその状態が続いている。






「いい? 分け前は半々だからね!」






「分かってるよー」






 ネイがそう言いながら今日だけで何度口にしたか分からない言葉を繰り返し言ってくる。いつも半々に分けているはずなんだけどなぁ……。




 これから僕らは昨日の魔人騒動のせいで売りさばくことができなかった魔物の素材を冒険者ギルドで売りに行くのだ。
 そして何故こんなにネイが興奮しているかと言うと、オークやオーガなどのある程度高値で売れる魔物の素材を売りに行くためである。つまり今日は大金が手に入る日なのだ。そりゃネイが興奮するのも当たり前である。




 そうして僕はネイに引っ張られながら冒険者ギルドにやってきた。そしてすぐさま昨日狩った素材を全てギルドに売り払った僕らは、ミアさんが受付の奥から帰ってくるのを待っていた。……あ、帰ってきた。






「お待たせしました。これをどうぞ」






「ありがとうございます」






「ありがとうございます!」






 受付の席に帰ってきたミアさんは、そう言って僕達に黒色から青色に変わったギルドカードを差し出してきた。
 僕とネイは今日持ち込んだ魔物の素材、オークやオーガなどの素材からギルド側が相応の実力を持ったランクにするという話があり、それを受けた。その結果僕らは茶ランクを一つ飛び越えて青ランクに昇格した。




 礼を言ってからそれを受け取る僕とネイ。ただしネイの周りにはキラキラとしたオーラがいまだに存在していた。
 それもまぁしょうがない。
 ただでさえ今日は大金が手に入ったのに、明日からはもっと豪華な報酬を得られる依頼を受けることができるようになるのだ。貧乏育ちのネイの気持ちを察すればこうなってもおかしくない。






「それでなんですが、ラインさん。ギルドマスターがお呼びです」






「ギルドマスターが?」






「はい」






 青色のギルドカードを両手でしっかりと持ち、それを凝視しているネイを温かい目で見ていた僕にミアさんが声をかけてきた。
 はて? 何かギルドマスターに呼ばれるようなことがあったっけ? 僕はお偉いさんに話をされるようなことをしでかしたことは無いはず何だけど。






「ライン、何かしたの?」






 するとネイが持っていたギルドカードに向けていた視線を僕に向けてそう言ってきた。
 その顔には少しの不安が出ている。なので僕はネイの頭を撫でて安心させる。






「大丈夫だよ、特に何かしたわけでもないし。だから僕が戻ってくるまで何か適当に依頼を選んでて」






「うん。分かった」






 僕がネイの頭を撫でながらそう言うと彼女はフニャリとした顔をしてトテトテと依頼板の方へと歩いていった。
 それを見送って僕はミアさんの方に顔を向ける。すると彼女は受付から出てきて、僕を先導する形で歩きだした。僕も彼女に従いその後ろ姿を追う。
 ミアさんは階段を上がって二階へ行き、さらにその上に続く階段を昇っていく。この建物は二階だけではなく三階もあるらしい。初めて知った。一体この建物は何階建てなのかといった疑問が頭の中を掠める、が今はそれは置いておく。
 そして三階につくとミアさんが真っ直ぐと歩いていき、一つの扉の前で足を止めた。それにならい僕も止まる。
 するとコンコンと、ミアさんがその扉を二度ノックした。






「ミアです。ラインさんをお連れしました」






 そう言ってミアさんは手短に要件を告げる。
 直後、扉の中から聞き覚えのある野太い声で返事が返ってきた。






「おぅ、そうか」






 それを聞きミアさんが一言断りを入れてその扉を開けた。そして僕に中に入るよう促してくる。






「失礼します」






 ミアさんの促しに従い、そう言ってから僕はその部屋の中に入る。
 そこには不適な笑みを浮かべ、執務机の椅子にどっかりと座っている大柄で白髪の男が。ギルドマスターだ。






「よぉ、待ってたぜ」






「まだ早朝ですけど」






 何言ってるんだ、このおっさんは。

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