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あふたーびーと

百合乃 初絆

26話

〜 〜 〜


 あの後、命は昼休みまで奴隷のような扱いを氷菓から受け、放課後になった現在、やっと解放されたのであった。


「し、死ぬかと思った〜!」

「黒雪さん、結構えげつない要求をしてたからね」

「本当だよ〜鍋いっぱいの熱々おでんを十秒以内に食べろって命令された時は、本当に天国へGOするかと思ったよ!」

「まぁ、生きているんなら、結果オーライだよ」

「解せぬ!!」


 命は、大きな溜息と一緒に、今日の疲れを叫んだ。風は、氷菓の観察をするために、命のことを見捨てていたようで、あまり絡んでいない様子であった。


「さっきから、凄く真剣な顔で見ているのって、今日書いたメモ?」

「そうだよ。黒雪さん家のメイドさんの言葉が引っかかっていて、ずっと観察していたことをメモに取っていたの」

「それで、何かわかったの?」

「ううん。何もわからなかった。どうやら、私の思い過ごしだったみたい」

「ドンマイ!」

「今日の命に言われると、なんか腹立つ」

「どうして!?」


 命は、風が見返していたメモを見て、今日の収穫について聞いてみた。すると、風は何もなかった、とあっさり答えた。命は、風のことを励ますが、何やら逆効果だったみたいだ。


「そんなくだらないことよりも、姫嶋さんはどうしたの? 今日は、命が連絡を入れていると思ったんだけど」

「おっかしいなぁ〜。昼休みに連絡を入れて、学校を出る前にも連絡を入れたのに……」

「また、今日みたいに変なことに巻き込まれていなければいいのだけれど……」


 命と風は、喫茶店モーニングに繋がる道を、萌佳の連絡を待ちながら歩いていた。どうやら、モーニングで待ち合わせする予定だったはずなのだが、萌佳から一向に連絡が返ってきていないようであった。


「姫嶋さんには悪いけど、今の私たちが優先するべきは、顧問の先生探し……そして猫探しだよ。今日、二人で作戦会議する事になったとしても、それは変わらないからね」

「了解であります! 大佐殿!」

「よろしい」


 命と風が、ちょっとした演劇を繰り広げながら歩いていると、あっという間にモーニングへ到着した。


「もしかしたら、姫嶋さん先に来ているのかもしれないね! 連絡はメールだったし、意図さえ伝わっていれば、モーマンタイなはずだよ!」

「命は、いつも前向きで羨ましいよ……おじゃましまーす?」


 命の発言がスバリ当たってしまった。二人がモーニングの扉を開けて、入店すると。そこには縄でぐるぐる巻きにされて捕獲された萌佳と、ドヤり顔でコーヒーを飲んでいる氷菓の姿があった。


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