あふたーびーと
12話
〜 〜 〜
命たち一行は、無事にドラムを積んだ荷台を学校の中まで運ぶことに成功した。だが、周りの生徒の視線が、少しばかり痛く感じた。
「はわわわ……皆さん、私たちのことを凝視していますよ……!」
「そりゃ、こんな大きな荷台を三人で引いてたら、目につかない訳がないからね」
萌佳が周りの視線にキョドキョドしている中、風だけはいつも通りのクールな雰囲気を保っていた。
「さすがに私もドキドキしてきたかも。このまま、先生たちに見つからなければいいんだけど……」
「神楽坂さん、それは残念でしたね。たまたま、この私が通りかかってしまいました!」
「ぎゃあ!? どうして先生が!」
命たちが、放課後まで誰も寄り付かない空き教室に向かって歩みを進めていると、背後から命と風の担任である幸樹が話しかけてきた。
「昨日の部活申請を断ったと思えば、連れて来た三人目のメンバーは、ドラムですか? いい加減にしてください!」
「それは、勘違いだよ〜! このドラムは、姫嶋さんのために持ってきたドラムなんだから〜!」
「姫嶋……? うちのクラスに、そのような苗字の方は居ないはずですが」
幸樹は、命の問題児ぶりに困っていた。だがしかし、幸樹は命の話をちゃんと聞いていてくれたようで、姫嶋という苗字に反応した。
「柏木先生、姫嶋というのは私のことです……」
「あなた、いつからそこに!?」
「はぅ! やはり、気づいてもらえていませんでしたか……」
「ご、ごめんなさい! 先生、そんな気で言った訳じゃないのよ!」
萌佳が、自分の存在について主張をすると、幸樹は驚いた声を上げた。どうやら、萌佳が先程から一緒の空間に居たことに気づいていなかったようであった。
「あらら、先生のせいで、姫嶋さんが泣いちゃった」
「蜂須賀さん、滅多なことは言わないでください! それじゃ、私が生徒をいじめているみたいじゃないですか!」
「違うんですか?」
「違います〜!!」
風は、萌佳のことについて取り乱している幸樹に対して、少しばかりのイジリを入れた。
(この様子だと、もう姫嶋さんにだけは被害が及びないと思う。罰を受けるのは、私と命だけで十分だ)
風は、今回の作戦に巻き込まれただけの萌佳を守るための行動をしていた。命も、幼なじみの風の言葉から察し、援護射撃を行う構えでいた。
「わ、私は別に大丈夫です……! 興味を持たれないのは、いつものことなので……」
「姫嶋さん……」
命は、いつでも動ける体勢であったが、萌佳の呟いた一言に気が行き、行動できなかった。
命たち一行は、無事にドラムを積んだ荷台を学校の中まで運ぶことに成功した。だが、周りの生徒の視線が、少しばかり痛く感じた。
「はわわわ……皆さん、私たちのことを凝視していますよ……!」
「そりゃ、こんな大きな荷台を三人で引いてたら、目につかない訳がないからね」
萌佳が周りの視線にキョドキョドしている中、風だけはいつも通りのクールな雰囲気を保っていた。
「さすがに私もドキドキしてきたかも。このまま、先生たちに見つからなければいいんだけど……」
「神楽坂さん、それは残念でしたね。たまたま、この私が通りかかってしまいました!」
「ぎゃあ!? どうして先生が!」
命たちが、放課後まで誰も寄り付かない空き教室に向かって歩みを進めていると、背後から命と風の担任である幸樹が話しかけてきた。
「昨日の部活申請を断ったと思えば、連れて来た三人目のメンバーは、ドラムですか? いい加減にしてください!」
「それは、勘違いだよ〜! このドラムは、姫嶋さんのために持ってきたドラムなんだから〜!」
「姫嶋……? うちのクラスに、そのような苗字の方は居ないはずですが」
幸樹は、命の問題児ぶりに困っていた。だがしかし、幸樹は命の話をちゃんと聞いていてくれたようで、姫嶋という苗字に反応した。
「柏木先生、姫嶋というのは私のことです……」
「あなた、いつからそこに!?」
「はぅ! やはり、気づいてもらえていませんでしたか……」
「ご、ごめんなさい! 先生、そんな気で言った訳じゃないのよ!」
萌佳が、自分の存在について主張をすると、幸樹は驚いた声を上げた。どうやら、萌佳が先程から一緒の空間に居たことに気づいていなかったようであった。
「あらら、先生のせいで、姫嶋さんが泣いちゃった」
「蜂須賀さん、滅多なことは言わないでください! それじゃ、私が生徒をいじめているみたいじゃないですか!」
「違うんですか?」
「違います〜!!」
風は、萌佳のことについて取り乱している幸樹に対して、少しばかりのイジリを入れた。
(この様子だと、もう姫嶋さんにだけは被害が及びないと思う。罰を受けるのは、私と命だけで十分だ)
風は、今回の作戦に巻き込まれただけの萌佳を守るための行動をしていた。命も、幼なじみの風の言葉から察し、援護射撃を行う構えでいた。
「わ、私は別に大丈夫です……! 興味を持たれないのは、いつものことなので……」
「姫嶋さん……」
命は、いつでも動ける体勢であったが、萌佳の呟いた一言に気が行き、行動できなかった。
コメント