あふたーびーと
09話
「さっきから、ずっと気になっていたんだけど、それってギターだよね!」
「ひ、ひゃい! そうです……」
美海は、突然萌佳のギターを指差し、興奮した。どうやら、ギタリストという者を初めて見たらしく、喜びの興奮であった。
「子猫ちゃんたちは、バンドか何かなの?」
「それが、現在メンバーを探し中でして……あはは」
「そうなの、それは残念。もしよかったら、うちのお店で演奏してもらえたらと思っていたのに……」
モーニングには、ドラの休憩所を少し動かせば、人が10人ほど入るスペースがあった。そのスペースは、普段は使っていないのだが、本来はお店に来てくれたお客様たちを喜ばせることができるように、と設けられたステージであった。
美海は、ずっと使用していなかったステージに、命と風と萌佳を立たせようと計画していたようであった。
「そのお話、私たちでよければやらせてください」
「ちょっと、風!?」
「こんなチャンス滅多にないんだよ。この機を逃したら、絶対に後悔すると思う」
「相変わらず、ストイック過ぎるよ〜!」
本気になった風は、命よりも積極的になり、美海に相談を持ちかけた。
「私は全然大丈夫だよ! むしろ、こっちが頭を下げてお願いするよ!」
「ありがとうございます。こちらのメンバーは、そこに居る命と私を含めた二人です」
「あれ、ギターの子猫ちゃんは?」
風が参加するメンバーを伝えると、美海は頭を横に傾けて、萌佳のことについて質問した。
「わ、私には無理です……」
「どうして?」
「私には、人前でギターを弾けるような勇気はありません。これはあくまでも、自分が好きだからやっていることでして……!」
「それって、なんだかもったいない気がするな」
萌佳の好きなギターに対して、美海は純粋な瞳を向けて、それはもったいないと言った。
「もったいない……」
「もったいないよ。本気で好きなことなら、勇気が出せないわけがないもん」
「本気で好きなら、勇気が出せる……」
「そうだよ。だって人には、好きという気持ちがあれば、どんな高い壁でも超えていける熱い魂があるからね」
美海の言葉一つ一つが、萌佳の穴だらけで足りていなかった心のパズルを埋めていっているようであった。その証拠に、萌佳は美海の言葉を聞くたびに、無意識のうちに響いた言葉をオウム返ししていたからである。
「いっけなーい! もう、こんな時間になってる! 早く帰らないと!」
「本当だ。アイスココア、ありがとうございました。演奏の件、また日を改めて来ます」
「そう。それじゃあ、楽しみに待っているわね。あっ、あと少し偉そうなことを言ってごめんなさいね。悩んでいる子猫ちゃんを見ると、ほっとけない習性があるみたいなのよ」
「いいえ。私もズバッと言ってもらえて、なんだか勇気が湧いてきました。また、相談に来てもいいですか……」
「もちろんよ。その時は、また美味しいアイスココアを淹れてあげるからね」
こうして、命たちはモーニングを後にした。
「ひ、ひゃい! そうです……」
美海は、突然萌佳のギターを指差し、興奮した。どうやら、ギタリストという者を初めて見たらしく、喜びの興奮であった。
「子猫ちゃんたちは、バンドか何かなの?」
「それが、現在メンバーを探し中でして……あはは」
「そうなの、それは残念。もしよかったら、うちのお店で演奏してもらえたらと思っていたのに……」
モーニングには、ドラの休憩所を少し動かせば、人が10人ほど入るスペースがあった。そのスペースは、普段は使っていないのだが、本来はお店に来てくれたお客様たちを喜ばせることができるように、と設けられたステージであった。
美海は、ずっと使用していなかったステージに、命と風と萌佳を立たせようと計画していたようであった。
「そのお話、私たちでよければやらせてください」
「ちょっと、風!?」
「こんなチャンス滅多にないんだよ。この機を逃したら、絶対に後悔すると思う」
「相変わらず、ストイック過ぎるよ〜!」
本気になった風は、命よりも積極的になり、美海に相談を持ちかけた。
「私は全然大丈夫だよ! むしろ、こっちが頭を下げてお願いするよ!」
「ありがとうございます。こちらのメンバーは、そこに居る命と私を含めた二人です」
「あれ、ギターの子猫ちゃんは?」
風が参加するメンバーを伝えると、美海は頭を横に傾けて、萌佳のことについて質問した。
「わ、私には無理です……」
「どうして?」
「私には、人前でギターを弾けるような勇気はありません。これはあくまでも、自分が好きだからやっていることでして……!」
「それって、なんだかもったいない気がするな」
萌佳の好きなギターに対して、美海は純粋な瞳を向けて、それはもったいないと言った。
「もったいない……」
「もったいないよ。本気で好きなことなら、勇気が出せないわけがないもん」
「本気で好きなら、勇気が出せる……」
「そうだよ。だって人には、好きという気持ちがあれば、どんな高い壁でも超えていける熱い魂があるからね」
美海の言葉一つ一つが、萌佳の穴だらけで足りていなかった心のパズルを埋めていっているようであった。その証拠に、萌佳は美海の言葉を聞くたびに、無意識のうちに響いた言葉をオウム返ししていたからである。
「いっけなーい! もう、こんな時間になってる! 早く帰らないと!」
「本当だ。アイスココア、ありがとうございました。演奏の件、また日を改めて来ます」
「そう。それじゃあ、楽しみに待っているわね。あっ、あと少し偉そうなことを言ってごめんなさいね。悩んでいる子猫ちゃんを見ると、ほっとけない習性があるみたいなのよ」
「いいえ。私もズバッと言ってもらえて、なんだか勇気が湧いてきました。また、相談に来てもいいですか……」
「もちろんよ。その時は、また美味しいアイスココアを淹れてあげるからね」
こうして、命たちはモーニングを後にした。
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