あふたーびーと
04話
「先程は取り乱してしまい、申し訳ございませんでした」
「こっちも、一人で気分よく歌っているところを邪魔してごめんね」
「歌……? もしかして、先程のお見苦し雑音がお耳に入ってしまったのですか!?」
「そんなに自分を陥れなくても大丈夫だよ。命も言ってたけど、凄く上手だった」
風が萌佳の音楽に触れると、萌佳は真っ赤になった顔を隠しながら照れていた。
「そ、そんなことないです! あれは、お昼休みにぱっと思いついた歌詞にメロディーを乗せただけですので……本当に大したものじゃありません!」
「それって、即興で弾いてたってこと?」
「そ、そうなります!」
萌佳は、その場で思いついた歌詞をメロディーに乗せて歌うことが得意なようで、命と風が聞いていたのはその即興で作られた音楽だった。
「……」
「……」
命と風は、お互いに無言で顔を合わせた。何故かと言うと、あまりにも天才的才能を有する少女の存在に驚かされたからであった。
「あの……私は、これで失礼します。次の授業が移動教室なので……」
「待って、姫嶋さん!!」
「ひ、ひゃい!? い、慰謝料なら、五十円しか持っていませんが、大丈夫でしょうか!」
「ち、違うの。もし良かったらなんだけど、私たち二人と一緒にバンドを組んでもらえないかな」
「バンド……ですか?」
命は、いつになく真剣な表情で、萌佳をバンドメンバーに誘った。
「私、姫嶋さんと一緒に音楽がやりたいの! いきなりな話だけど、考えてみてくれないかな!」
「だ、ダメですよ。私なんて……」
「姫嶋さん?」
「私なんかが近くに居たら、お客さんなんて寄って来ません……。それに、怖いんです……失敗したらと思うと」
命は必死に思いをぶつけたが、萌佳には響かなかったようで、自分には迷惑をかけることしか出来ないと拒まれてしまった。
「そんなの関係ないよ! 音楽が好きな人となら、どんなに迷惑をかけられても怒ったりしない!! 絶対に離れたりしない!!」
「離れたりしない……」
命が食らいついていると、萌佳は少しだけ心揺らいだような表情を浮かべた。
「気休めにしかならないけど、私も姫嶋さんと音楽が出来たら、どこまでだってついて行ける自信があるよ」
「……わ、私――」
風の最後の一声で、萌佳は勇気を前に出すことが出来た。しかし、萌佳が大事なことを言う前に、無慈悲なチャイムが学校中に鳴り響いた。
「す、すみません! やっぱり、私には無理です!」
「ちょっ、姫嶋さん!」
「あらら、逃げられちゃった」
命は、萌佳の後ろ姿に手を伸ばしたが、その距離は埋まることなく逃げられてしまった。
「こっちも、一人で気分よく歌っているところを邪魔してごめんね」
「歌……? もしかして、先程のお見苦し雑音がお耳に入ってしまったのですか!?」
「そんなに自分を陥れなくても大丈夫だよ。命も言ってたけど、凄く上手だった」
風が萌佳の音楽に触れると、萌佳は真っ赤になった顔を隠しながら照れていた。
「そ、そんなことないです! あれは、お昼休みにぱっと思いついた歌詞にメロディーを乗せただけですので……本当に大したものじゃありません!」
「それって、即興で弾いてたってこと?」
「そ、そうなります!」
萌佳は、その場で思いついた歌詞をメロディーに乗せて歌うことが得意なようで、命と風が聞いていたのはその即興で作られた音楽だった。
「……」
「……」
命と風は、お互いに無言で顔を合わせた。何故かと言うと、あまりにも天才的才能を有する少女の存在に驚かされたからであった。
「あの……私は、これで失礼します。次の授業が移動教室なので……」
「待って、姫嶋さん!!」
「ひ、ひゃい!? い、慰謝料なら、五十円しか持っていませんが、大丈夫でしょうか!」
「ち、違うの。もし良かったらなんだけど、私たち二人と一緒にバンドを組んでもらえないかな」
「バンド……ですか?」
命は、いつになく真剣な表情で、萌佳をバンドメンバーに誘った。
「私、姫嶋さんと一緒に音楽がやりたいの! いきなりな話だけど、考えてみてくれないかな!」
「だ、ダメですよ。私なんて……」
「姫嶋さん?」
「私なんかが近くに居たら、お客さんなんて寄って来ません……。それに、怖いんです……失敗したらと思うと」
命は必死に思いをぶつけたが、萌佳には響かなかったようで、自分には迷惑をかけることしか出来ないと拒まれてしまった。
「そんなの関係ないよ! 音楽が好きな人となら、どんなに迷惑をかけられても怒ったりしない!! 絶対に離れたりしない!!」
「離れたりしない……」
命が食らいついていると、萌佳は少しだけ心揺らいだような表情を浮かべた。
「気休めにしかならないけど、私も姫嶋さんと音楽が出来たら、どこまでだってついて行ける自信があるよ」
「……わ、私――」
風の最後の一声で、萌佳は勇気を前に出すことが出来た。しかし、萌佳が大事なことを言う前に、無慈悲なチャイムが学校中に鳴り響いた。
「す、すみません! やっぱり、私には無理です!」
「ちょっ、姫嶋さん!」
「あらら、逃げられちゃった」
命は、萌佳の後ろ姿に手を伸ばしたが、その距離は埋まることなく逃げられてしまった。
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