どうやら主人公はお節介が過ぎるようだ

ミルクプリン

1章 父親と鍛冶

    龍災暦1600年。41代目、前王が亡くなり新国王セイバー(ミカエル三世)が即位した。新国王は手始めに国内の現状を調べた所、腐った政治体制と官僚の汚職、税金の無駄遣い、貴族の問題行動、食料問題等々に怒り狂ったと言う。

    即位直後、大幅なる政治改革が行われた。勿論反発するものもいたがそのような反発する者には個人の武力と王国憲法、そして実績で捻り潰し、身分を問わず才あるものを多く官僚に登用した。改革の途中だがもはや別の国になりつつある。

    大まかに変わったことを幾つか挙げてみよう。

    食って寝ての豚みたいな貴族はいらん。と言って、汚職貴族は爵位剥奪。貴族への支援金10分の1に変更。

    金食い虫は要りませんと官僚身分の見直し、合理化を求めた農業改革、実践で使える兵の育成、賭博ギャンブルに溺れた上官は要らないと人員をを入れ替えての軍の建て直し、各地の財政と税収を確認し、ギルドとともに財政建て直しと税収の安定化を図った。

    他にも国が主導で道を作ったり、他国との交易も盛んになった。形だけだが義務教育制度もできた。孤児院や高額だが治療院も作られた。

    今まで地上にあった騎士の演習場を丘があることが条件で迷宮ダンジョン幾つかのスペースを国有地として徴収してそこに演習場を移した。

    地上の演習場をだった場所は農地や人がすめる場所にするために住宅地に作り替えられた。そこの領主を試験的に身分問わず民間から国王の偏見と独断と強い意思のもと能力のあるものを抜擢した。

    罪人の扱いも、短期奴隷とし、罪状によって奴隷期間が変えられた。牢獄に閉じ込めるだけという前時代的で非生産的なそれが改められた。かといって奴隷の扱いが悪化したわけでもなく、むしろ逆に日に何度国の定める量以上を奴隷に与え、守らなければ罰するという法を作ったために向上した。活かさず殺さずといった活用法にこれには近隣諸国の支配者達も舌を巻いたという。

    政治を研究する学者によれば数百年分の改革が、まさに、この王のもとで一瞬で進んだと、目を輝かせた。



    一段落がつき、僕は膝に座る息子に催促されて読み聞かせていた本を閉じた。先日、エイナが新しく書庫の肥やしにと買ってきた本だった。

    息子のルーヴェルトは今年で五歳になる。「父様、父様」と僕の後ろをついて回っている。五歳にして好奇心旺盛で可愛らしいものだ。

    僕とエイナの店が開店して早くも五年。ようやく軌道に乗り初め、働きづめだったからと今日は二人で休みにした。とは言ったもののやることもないので愛しの息子にせがまれ書庫の本棚を読んでいた。

    僕自身、王国貴族として知っておくべきだと思ったからだ。

「父上様、このお話はいつのお話です?」

「えーと、今が龍災暦1610年だから十年前からの話だな。」

「へぇー。新しい王様に変わっていいことあった?」

    僕の子供は少し変わっている。普通、五歳の子供がこんなこと聞かないらしい。

「そうだね、例えば……街道整備とかしてるから物流が活発になって、物の売れ行きが伸びたし、その護衛で雇われる冒険者達がお金を使ってくれて今たくさんのお金が出回ってるんだ。」

「そっかー。じゃあ、父上と母上のお店が儲かってるのも新しい王様のおかげ?」

「うーん、どうなんだろうね。エイナの方はルー(ルーベルト)が生まれた年に騎士団と直接契約を結んでるし、僕の所は去年からオーダーメイド専門になったからね。」

「じゃあ、半分くらい王様のお陰なんだね!」

「そこは、二人の腕が凄いからって言って欲しいけど、まあ、そうだね。」

「じゃあ、じゃあ、義務教育って何歳から?」

「六歳からだよ。」

    義務教育のページをパラパラ捲って見せてあやる。左側には解説が右側にはこの法令に関する箇条書きが写されていた。

「来年かぁ。あ、でもここ見て!」



1600ノ11 義務教育

    我が国の国民は一定の学を身につけなければならない。

    一部の例外を除き6歳になるその年から四年間我が国が定める学舎に通い学ぶ義務を有する。

    一定のことを示すことが出来なかったものは留年とする。

    一定の例外とは卒業までに身につける学を示したものである。その者、学舎に通うことを免除とする。また、その試験は五歳の内に国内の冒険者ギルドで金貨一枚で受けられる。また、途中退学する場合にも然り。

学舎で身に付けることを以下六つに示す。
1.王国文字の読み書きが
      貴族と遜色ない程度に使える。
2.四則計算を使いこなせる
3.魔物の生態について基礎を知る
4.龍災についての知識を身に付ける
5.王国の建国期、低迷期、暗黒期、救世期、
   堕落期、混沌期、向上期、崩壊期、改革期
   について問われたことを
   淀みなく答えられる
5.歴代の王制の政策について、内容、意図、 
   発案者、失敗理由、成功理由、
   について問われたことを
   淀みなく答えられる
6.何らかの戦う術
    (オークを倒せる程度)の実力



    ルーヴェルトが指差してるのは……。

    一定の例外とは卒業までに身につける学を示したものである。その者、学舎に通うことを免除とする。また、その試験は五歳の内に国内の冒険者ギルドで受けられる。また、途中退学する場合にも然り。

の部分だった。

「ルーにはまだ早いんじゃないかな。」

「この前、書庫の本は全部読み終わったよ?    だから正確にはこの本も読み終わってる。」

    な、なんと。妻が暇さえあれば溜め込んでいた数千冊の置物ほんを読み終わっただって!?

「ならなんで読んだことのある本を読み聞かせてだなんて。」

「いや、してもらったことのない親子のスキンシップに憧れてて……。」

「うん。ごめん………。」

    子供にそう言われたらなにも言い返せない。ただただ申し訳ない。まあ、確かにそうだよな。触れ合ったの生まれたときくらいだもん。

「まあ、それはいいので、ちょっと試験受けてきます。」

「試験のお金はどうするんだ?」

「ボビーのオジジからの融資を受けたお金おこづかいを元手に色々転がして、たくさんのお金をゲットしました。」

    明らかボビーの影響を受けていた。やっぱりあの人は子供の教育に悪い。

「うぐっ、でも、六番の何らかの戦う術(オークを倒せる程度)の実力っていうのは…。」

「帝級魔法使えますがなにか?」

「いいや、なんでもないよ。」

    帝級魔法と言えば宮廷魔導師団団長と同じくらいだし、冒険者で言えば文句なしのSランクだ。僕ですらBランクなのに……。

    とまあ、我が息子ながら規格外だ。僕はこんなにも息子の成長を見ていなかったのだと思うと心苦しい。

「あ、そうだ。」

「ルーなんだい?」

「先週父上様が王宮に新年の挨拶に行っている間に俺の誕生日だったよ。」

「本当にダメな親父でごめんな。ルー。プレゼントなんも用意してなかった。」

    今日が睦月の二十日。五日前にルーの誕生日が過ぎていたということか。なんということだ。父親なのに息子の誕生日を忘れるなんて。

「いいですよ、父上様。どうせ一度も祝って貰ったこと有りませんから。」

    本当に親として失格だ。

「親としてなんかやだ。何か欲しいものあるか?」

「コレと言って……。かなり前に期待するのは辞めましたし……。強いて言えば本ですがこと足りてます。」

    ないのか。親になにも期待してないのか。そこまで僕は落ちてたのか。こんな真顔で言わないでくれ。父ちゃんのライフはもうゼロよ!

    何が王国一の鍛冶師だ。何が魔剣鍛冶師だ。一人の親としてダメダメじゃないか。そうだ。せめて……。

「魔法使えるって言ってたよな。よし、父ちゃんが最高の杖を作っちゃる。」

「いや、杖はいいです。ガンツのオジジに現物交換・・・・で国宝級のを作ってもらいました。魔法変換効率1001%、自動修復、つきの優れものです。変換効率1000%超えってよろこんでました。」

師匠ガンツに先越されてたー!」

「という訳で、絶対に折れない・壊れない、素材はあるので魔力親和性に優れた大剣が二本欲しいです。まあ、ガンツのオジジに頼もうと思ってたのですが……。」

「やる!    やらせてくれ!」

「あ、一本目の素材はこれでを使って下さい。」

    ルーはポンポンとどこからともなく素材を取り出した。どこから?

「こ、これは……。幽魔退石とエンシェントユニコーンの角、神王聖水、光龍の角。龍魔聖金かじしごろし。さ、流石に龍魔聖金かじしごろしは使えないんだけど。」

    幽魔退石は実態のない敵にも攻撃可能になる鉱石で、エンシェントユニコーンはSランク超えの化け物。神王聖水はどこかの迷宮の最深部で採取できると言われている一滴で屋敷が立つくらいの液体。光龍は雷と風を司るランク付けするのも馬鹿馬鹿しい程の化け物だったはず。龍魔聖金かじしごろしは龍災の後に採掘できる金属だ。

「どうしてですか?」

「いや、これを素材にして鍛冶をすると鍛冶師が死んでしまうことで有名なんだ。」

「大丈夫ですよ。父上様なら。」

「どういうことか教えてくれないか?」

「これは、鍛冶をしている人から魔力を奪って変形していく金属です。イメージとしては魔剣鍛冶に近いでしょうか。言ってしまえば熱だけでは変形せず、魔力がないと加工できません。死んでしまった人たちはそれを知らずに限界を超えて魔力を搾り取られたからですね。で、父上様なら沢山の魔力つまり、MPを有していて、さらに回復速度も早いので死ぬことはないでしょう。」

「な、なあ。ルーは何でこんなことを知ってるんだ?」

「今ある本に飽きて町の図書館に行ったら普通に置いてありました。父上様のお仕事に関係するものだったので気になり読んでおきました。」

「じゃ、じゃあ、この素材をどこで?    エンシェントユニコーンの角なんて市場に出回ってないし人に頼んで買えるようなものではないと思うんだけど?」

「ああ、その事でしたら……。あ、その前に二本目の分も出しますね。」

    またもやルーはポンポンと素材を出していく。いや、だからどこから出してるんだって?

「邪龍の角と、不死王ノーライフキング呪頭蓋骨カーススカル吸血鬼王ヴァンパイアロードの血。毒龍の牙。そして、いかにも邪悪そうな折れた短剣。こ、こんなものをどこで。いや、そもそも、これはなんだ。こんなものを扱えない。触ろうとした時点で死んでしまう。」

    今にも呪い殺されそうな禍々しさを感じる。これ明らかに聖剣と魔剣の大剣を作れってことだよな。

「いやいや、大丈夫ですよ。ほら、手を魔力でおおって、直接触らなければ害はないですよ?」

「そんな可愛い顔で「ないですよ?」で言ってることとやってることが全くもって大変度が違うんだが。」

「え、父上様、打ってくれないんですか?」

「・・・。」

「さっきは打ってくれるって言ったのに。また・・、約束を破るんですね。」

    また・・って、いつのことだ。これ以上息子に情けない姿を見せるわけにはいかない。覚悟を決めよう。いいじゃないか死んだって。いいじゃないか息子にかっこいい姿を見せられるなら。

「わかった。世界一の大剣を二振り打ってやる。凄すぎてもびっくりするなよ。」

「はい!」

    今日一番子供らしい顔だった。




ハイネマン・ヘリベルト 20歳 人族 貴族子爵当主・一流鍛冶師・B級冒険者

レベル1→63
HP   295→4825
MP  12546→198874
力    275→3568
敏捷327→3563
耐久348→4525
魔力653→3582

スキル
魔力操作        LV10
採掘                LV9
解体                LV10
査定                LV10
錬金魔法        LV10
鍛冶                LV10
特殊鍛冶全般
→魔剣鍛冶        LV9 
→聖剣鍛冶        LV9
→刻印                LV5
→その他            LV9
刀匠                LV7
木工                LV3
刃物研磨        LV10
武器整備        LV10
開発
→兵器開発    LV10
→武器開発    LV10
→防具開発    LV10
→魔方陣開発LV10
改良                
→武器改良    LV10
→思考改良    LV10
→動作改良    LV10
→魔方陣改良LV10
器具整備 
→鍛冶道具整備LV10
→その他            LV6
短剣術
→一本            LV3
→二刀流        LV9
索敵                LV9
見取り            LV10
罠発見            LV10
罠解除            LV9
投擲
→短剣            LV2
→その他        LV1
気配遮断        LV1
弓術                
→弩弓            LV1
交渉                LV1
初級属性魔法(火水土風光闇無)
魔方陣
合成→9 
分解→9
分離→9
発火→6
送風→6
短距離転移→4
中距離転移→3
長距離転移→3
風弾→9
土弾→9
召喚
→悪魔→2 
→魔物→2 
→妖精→2
→精霊→3 
→下位死者→2
使役→5
治癒→7
再生→9
不懐→9
浄化→9
振動→9

称号
箱入り息子
没落貴族
天才採掘者
採掘狂い(採掘疲労軽減)
土の分解者(贈・練金魔法)
製錬狂い(製錬の質上昇)
宝物狩人ジュエリーハンター
一流鍛冶師
刀匠
探究者
聖剣鍛冶師(聖剣使用可)
魔剣鍛冶師(魔剣使用可)
聖魔を打つ者
禁忌に触れし者
駄目親父




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