どうやら主人公はお節介が過ぎるようだ

ミルクプリン

1章 商人魂

「ただいま戻りましたー。」

    昨日ぶりに僕は鍛冶屋に戻ってきた。相変わらず綺麗に片付けられている。

「おっ、早えーなアンちゃん。本当に150キロ取ってきたのか?」

「まあ、百五十キロは超えてますね。」

「本当にアンちゃん一人で?」

「はい。 運んだり、製錬したりするのに手を借りましたが、掘り出すのは一人でやりました。」

「二日でか……。」

    あ、実は普通の人はその日の内にクリアしていて、二日も・・・かかったことを気にしているのかもしれない。ここは弁論を述べた方がいいかな。

「あ、いや、実際はその日の内に掘り出すのは終わってたんですけど、量が量で製錬するのに時間がかかってしまってですね…。」

「製錬?    まさかアンちゃん、そこまで自分でやったのか?」

「はい。結構楽しかったですよ?」

「はぁ……。まあいい。で、その課題の物を見せてもらおうか。」

「わかりました。」

「物は外か?」

「はい。ボビーさんが竜車で見ててくれています。」


「なに!?    ボビーも来てるのか。何で中に来ないんだ?」

「はい。量が量で珍しいのも掘れたんで目を離すのが怖いらしくて……。」

「そうか。取り敢えず物を見てみよう。」

    二人揃って店を出た。ガンツの方がドワーフだから僕より体はしっかりしてるが少し身長は小さいか。

「よお、ボビー。久し振りだな。」

「おう、ガンツも久し振りだな。少し見ない内に老けたか?」

「アホ言え。俺達ドワーフ、元から老け顔だろうに。ハッハッハー。まさかお前まで来てるとはな。何年ぶりだ?」

「さあな。ガンツがこの街に来たとき以来だから五年、六年くらいじゃないか?」

「まだ、そんなもんか。」

「ああ、坊主が俺の所にきて丁度よかったからな。」

「んで、こいつが取ってきたのはどれなんだ?」

    竜車の後部は丁寧にシートで隠して見えなくしていた。盗まれないようにという配慮らしい。

「ああ、坊主見せてやんな。」

「はい。わかりました。」

ボビーの許可オッケーも出たことだし、僕はシートの紐を一つずつ取り外し、一気にシートをと捲る。

「これらです。」

    積み荷を指差す。

「はい?    で、どれだ。」

    ん?    分かってないのかな。

「いや、ですからここに積まれているもの全てです。」

「え?」

「内訳聞きます?」

    こんなこともあろうかと積込の時にりすときにリストを作っておいた。ボビーは御者の所に座って笑いを堪えてる。

「ああ、幻ってこともあり得る。聞こうじゃないか。」

「錫=632キロ。鉄=374キロ。銅=256キロ。銀=151キロ。金=195キロ。魔銅オリハルコン=1,200キロ。魔鉄まてつ=700キロ。魔銀まぎん=600キロ。聖銀ミスリル=6キロ。竜鉄=21キロ。竜聖鉄=0.5キロ。蒼炎鉄=5キロ。合計が4,140.5キロですね。ま、金属だけで・・・ですけど。」

「ま、マジでか……。もう一度聞くが、本当にアンちゃんだけでやったんだな?」

「はい。先程から言ってるようにほぼ僕だけで・・・・ですけど、問題でもありましたか?」

「いや、済まねえな、疑っちまって。時々その辺で買ってきたりだとか、誰かに任せるだとかして、自分でやらないやつがいるんだわ。ボビーが来てる時点でアンちゃんは無実だってのは分かってたんだがな。勝手に試すような真似してわるかったな。」

「そうでしたか。安心しました。」

「それよりもアンちゃん。金属だけで・・・って、どういうことだ?」

「ああ、他のも掘ったら出てきたんですよ。まあ、そっちも説明すると、水晶クオーツの原石、金剛石ダイヤモンドの原石、ガーネットの原石、エメラルドの原石、サファイアの原石、ルビーの原石、翡翠の原石、アメシストの原石、爆発魔石の原石、竜の輝石の原石、深海魔石の原石、火の魔力水晶、水の魔力水晶、土の魔力水晶、風の魔力水晶、光の魔力水晶、闇の魔力水晶、無の魔力水晶、くらいですね。宝石系はまだ、加工していないのでジュエリーショップにでも売りに行こうと思ってます。」

「いい判断じゃないのか?    だが、金剛石ダイヤモンドの原石はいい研磨の道具になるからとっとけよ。まあ、水晶クオーツの原石、ガーネットの原石、エメラルドの原石、サファイアの原石、ルビーの原石、翡翠の原石、アメシストの原石、迄だったら、装飾系の宝剣を造る訳じゃないんだから売ってもいいだろうな。売る場所はボビーに聞けばいいだろう。売ったら今日と明日は帰っていいからゆっくり休んでこい。」

「ってことは……。」

「おう。合格だ。」

    笑顔で言い渡された。初めて誰かに認められた気がした。へやの中じゃない外の世界で。それが嬉しくて。むずむずして。暖かかった。

「あ、有難うございます。明後日からよろしくお願いします。」




    自分で取ったものは自分の物だとガンツに言われ、屋敷に貴重品(宝石類以外)を置いて、ボビーと共に宝石商の元へ向かった。

「坊主、宝石っていうのにはな質があるんだ。透明なものほど装飾品に向いてるし、事情があるものは魔術協会が魔術の媒体として買い取ってくれる。」

    大きさ、厚み、色で分けていくと十分の一まで宝石商に売れるものが減った。でも不良品は宝石商に売っても二束三文で買い叩かれるのが落ちだかららしい。だったらまだ、魔術協会に売った方がいいらしい。

結論からいうと総額二億トロで買い叩かれそうな所をボビーが五億五千万トロまで引っ張った。流石に量が量で一軒じゃ、無理だから五、六件に分けた。

    倍以上って普通に凄いと思う。ボビーは商人の方が向いている気がする。この人が財政的に敵に回ったら厄介なことは間違いない。

「ボビーさん二日間ありがとうございました。お陰で合格できたし、お金も稼ぐことができました。」

「いいってことよ。坊主。」

「あ、報酬の方は……。」

「今はいいぜ。そうだな、坊主が凄腕、ガンツと同じくらいになったとき、ツルハシでもでも作ってくれりゃあ万々歳だ。まあ、先行投資ってやつだ。」

「でも僕一度も鍛冶したことがないんですよ?」

「大丈夫だ。商人おれの勘がお前はいい鍛冶師かねになるって言ってんだ。安心しろ。」

    あれ、別の不安が……。この人、何で商人にならないんだ?    もう、商人になった方が儲かるだろうに。

「はあ。僕の負けですね。」

    こういうのを異界文録で読んだ、ただより高い物はないっていうのだろう。

「達者でな。」

「はい。ボビーさんも。」

「おう。適当に商品転がして帰るとするぜ。」

    ただでは起きないってか?    いや、もう、やってること商人だから。商人魂半端ないな。てか、商人名乗った方がいいんじゃないか?    あ、でも宝石じゃらじゃらさせているところを想像できない。逆にボロ雑巾だと思ったら死神のローブだったみたいな落ちで知らぬ間に儲けてそうで怖い。

    ボビーを見送った後、取り敢えず俺はこの街に出てる金貸しの支店に、一億トロ耳揃えて叩きつけた後、しっかり証文やら何やらを取って、晴れて解放された。清々しい。残りのお金はプールしておく。書物で読んだけど本来、質素倹約は王国・・貴族の嗜みなのだ。

    でも、ビスケットくらいは買ってってもいいかもしれない。妻が喜ぶ。








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