どうやら主人公はお節介が過ぎるようだ

ミルクプリン

1章 鍛冶師見習い

    店の方に帰るとカンカンという音が聞こえてきた。ハイネマンは隣の工房で早くも絶賛仕事中みたい。



    彼、鍛冶の時だけは人が変わったように集中して自分の世界に入っちゃうから多分私が帰って来たのも気付いてない。



    あら、いけない。私もポーション早くならなくちゃ。ルーヴェルトを迎えに行く時間になっちゃう。



    私の仕事場には元々あった機材に加え鍋が置いてある。一ヶ月くらい前に中古のを譲ってもらった。今日まで今か今かと待ちわびていた。



     ポーションって一本ずつ作ることもできるけどまとめて作った方が早いのよね。ルイースの調合の心得には明言はしてないけど、調合スキルのレベルアップには数よりも質が重視される傾向があるみたい。質っていうのは難易度らしい。 

    だから私は下級ポーションでも難しくする。ルイースの薬草採取学に書いてある方式をりようすることにします。



小鍋→大鍋。難易度+1~3
タタンポの花を入れる難易度+1



    何となくできる気がする。


    早速作業に取りかかろうかしら。


    えーと、先ずはヒール草四百本と黒タタンポの花数千を巨大すり鉢になってる釜でゆっくり少しずつすりおろす。


    これに、さっき汲んで来た綺麗な泉の水を適量入れる。大体こんなものかな。そしたら、弱めに火をかけて魔力を流しながら棒で掻き回す。水の抵抗で少し重い。レベルアップしててよかった。


    一時間くらい混ぜたかな。魔力は使った分だけその場で回復してるから疲れはしないけど、鍋の中からの何となくの指示に従うのは合ってると思う。指示がなくなったから火にかけて混ぜるのは多分これくらいでいいかな。火を消して軽く掻き回す。何となくこうだろうなーみたいなのが分かる。


    よし、後は冷めるのを待ってから布で濾して瓶に入れたら終わりだけど、冷めるまで時間があるからこの間にルーヴェルトを迎えに行こう。

「《ママー、コレ見テテイイ?》」

「どうしたのアヲイちゃん。」

「《ンットネー、コノオ水キラキラシテテ綺麗ナノ!》」

    ああ、確かに調合した低級HPポーションの液体がキラキラ光ってる。北国で見られるっていうオーロラみたいね。

「いいわよ。でも、危ないからさわらないでね!」

「《ウン。ママ、大好キー!》」

    私は部屋を後にする。

    MPポーションは後でいいや。






    僕はハイネマン。次男だったけど借金まみれの貧乏男爵家の当主を擦り付けられた残念な15歳さ。そんな僕だけどいいこともあった。妻に子供が生まれたんだ。

ルーヴェルトと言って、あんまり泣かないしとてもいい子だ。夜泣きしたことなんて一度もない。


    実は昨日酷い夢を見た。思い出したくもない。何もかもを失い、残った大量の借用書に呑み込まれる夢だ。

    でも、光が射した。僕の進むべき道を示してくれた。先ずは、鍛冶師になるべきらしい。確証も保証もない夢物語のような話だけど後悔なんてしたくない。今更失うものなんてほぼないんだから、やれそうなことはやるべきだ。

    という訳で、早速メインストリートから東に数本の鍛冶屋が並ぶストリートに来た。


    先程鍛冶ギルドに寄って、登録と修行先の斡旋もしてもらった。登録員の人曰く、腕は確かなのだけど、結構厳しい所らしい。


    当番制で新人が斡旋される鍛冶屋の中で、大抵の人は三日と持たず逃げ出すらしい。

    僕は不安に思いつつも暖簾を潜った。


「ごめんくださーい。」


「はいよー」


    掃除の行き届いた店内に、錆止めの匂いと鉄の匂いが漂っていた。出てきたのはドワーフの男だった。


「鍛冶師ギルドから紹介されて来た、ハイネマンです。」


「ほーう。アンちゃんがそうかい。さっきギルドから連絡が入ったよ。うちは、厳しいぜ。それでもいいんかい?」


「はい。よろしくお願いします。」


「いい返事だな。俺はガンツってんだ。よし。じゃあ先ずは……。ここに行ってこい。で、そこにいるボビーって奴にガンツの研修だって言えばわかってもらえるはずだ。」


    渡された紙に書かれた場所を見る限り、いきなり鉄を打たせてくれる訳では無さそうだ。建物の中からは二、三人分の鉄を叩く音が聞こえる。


「さ、行った行った。」


    ガンツにとっとと行くように急かされた。どうやら鉄を打つまでには時間がかかるようだ。仕方なく指定された場所に行く。




「ここかな。」

    指定された場所は山だった。町の南にある門から数キロ離れたところにある採掘場だ。冒険者や、買い付けに来た商人、労働者が往来する。道行く人に聞いてボビーの元に訪れる。採掘場の責任者。肉体労働に明け暮れ逞しい体つきのドワーフ。それがボビーだった。

「さ、座ってくれ。」

    部屋に着いてすぐにソファーに腰かけるよう促された。

「ガンツさんに《研修だ》と言われて来ました。」

「成る程な。ガンツのことだから説明受けてねぇーだろ。」

「はい。恥ずかしいながら。」

「ったく。仕方ねぇな。ま、簡単に説明するぜ。あそこで修行する奴が必ず通る道なんだが……。三日以内に金属を百五十キロ掘り出して・・・・・持ち帰ってこいってやつだ。」

「はい?」

    その無茶ぶりに変な声になってしまった。

「ま、そうなるわな。」

「ええ、どういうことか説明いただいても?」

「しょうがねぇな。まあ、ここは元々ダンジョンになりかけの場所で、いい鉱石が見つかり易いってだけなんだがな。ダンジョンの特性で壁とかも自動修復される訳よ。で、いくらでも採掘できるって訳だ。」

「ガンツさんは何のためにこんなことを!」

「言っちまえばこれはアイツなりの振るいだ。度胸、根性、忍耐、体力、運。いろんなもんを試してんだ。坊主にはしょうがねえから道具は貸してやる。幾つか坑道があって一本以外は行き止まりで罠なければもモンスターも出てこねぇ。ま、独占は禁止されてるがドコドコ掘るなとかルールはないから好きにやんな。」

    理には叶ってる?

「あの、掘り出した鉱石はどうすればいいんでしょうか?」


「ああ。掘り出した鉱石はその辺の錬金術師に頼めば製鉄してくれる。費用は現物から引かれるか、鍛冶師ギルドが立て替えてくれるはずだから、半年に一度納めればいい。その辺は交渉しな。他になんかあるか?」

    報酬で九割以上持っていかれたらどうしよう。僕不安なんだけど……。流石にコレについては聞けない。

「うーん。あ、そうだ。コツってなにかありますか?」

「うーん。そうだなぁ。よし。今日は一緒についていってやるよ。」

「え、悪いですよー。」

「んなこと気にすんなって。それに、たまにはクリアさせてアイツの驚いた顔が見てみたい。」

「じゃあ、お願いします。」

    渋々承諾した。本当に忙しいだろうに申し訳ない。





ハイネマン(・ヘリベルト) 15歳 人族 没落貴族当主・見習い鍛冶師

レベル1
HP   12→13
MP  10
力    11
敏捷10
耐久10
魔力10

スキル


(永続付与)
【疲労回復促進】【超疲労回復促進】
【疲労回復超促進】【超疲労回復超促進】
【魔力回復促進】【超魔力回復促進】
【魔力回復超促進】【治癒力上昇】
【超治癒力上昇】【治癒力超上昇】
【超治癒力超上昇】【継続力上昇】
【忍耐上昇】【経験値小上昇】
【HP増加促進】【HP増加超促進】
【HP超増加促進】【HP超増加超促進】【MP増加促進】【MP増加超促進】
【MP超増加促進】【MP超増加超促進】
【ステータス成長促進】
【ステータス成長超促進】

称号
箱入り息子
没落貴族











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