どうやら主人公はお節介が過ぎるようだ

ミルクプリン

1章 対ゴブリン戦

    十分くらいして、森に着いた。この前買ったルイースの薬草図鑑によればイタイタの木は幹に名前の由来となった痛々しい棘が生えているらしい。

    木を揺らして棒とか槍で落とすといいと書いてあった。それにならって無防備にも近くにあった木の枝で絡めとる。ステータスが上がったお陰で苦もなく採取することができた。此木の近くには地上からは何も近寄らないらしい。取り敢えず取れるだけ取って退散する。三十個は取れたから一万五千トロの得だ。

    ついでに魔力の濃い森の日陰でしか育たないリームハーブとか熱冷ましの薬になるスース苔、酒酔いに効く薬の材料グダナキの葉、頭痛薬になる宿り木のアカトリモドキの葉、等々、町ではてに入りにくい物をイタイタの木の近くで集めていく。

    どれもこれもしっかりとした取り方をしないと価値がなくなるものばかりだ。リームハーブの葉は取るときねじりながらとらないと効果が薄まるし、グダナキの葉は刃物で素早く取らないとすぐに萎びてしまい、腐りやすくなる。

    アカトリモドキの葉は採取した後湿った布で挟まないと魔物を集める酷い臭いを発するようになる。など、気にしてられないような気配りが割と大切だ。

    森イチゴとかをお昼がわりに食べつつゴブリンを探す。もっと森の奥に行ったら別だけど、ここみたいに浅いところにはハグレと言って、一匹ずつしか出てこないと聞いている。

    発見してからでは遅くて危ないので、先にクロスボウを構えておく。かつて、異世界から来た勇者様は二足歩行ベースのチンパンジーみたいだとゴブリンを例えたらしい。意味は分からないが童話によく出てくる。

    あ、ナイスメル茸発見!

    お、綺麗な水の泉発見!    この水ならいいポーションが作れそう!    取り敢えず収納。

    ゴブリンいないかなーと探していると茸の群生地を見つけた。ナイスメル茸といういい匂いがするゴブリンの大好きな茸だ。ここで息を潜めることにしよう。

    多分ゴブリンが何回か定期的に来ている。分かる理由は地面にゴブリンの足跡がついているからだ。ルイースの薬草採取学に書いてあった通りなら昨日の足跡だろう。

    木陰に息を潜めること十分。

    棍棒を手にしたゴブリンかやって来た。夢中になってナイスメル茸を取っている。

    ゴブリンが一匹なのを確認して私は照準をゴブリンにあわせて引き金を引く。今度はしっかり魔力を込めている。狙ったのは後頭部。背を向けるようにしてとっていたから狙いやすかった。矢は、寸分違わず飛んで行き、ゴブリンの後頭部を貫通・・した。

    文字通り、声をあげるひまもなくゴブリンは沈黙した。もう一度私は辺りを見渡して安全を確認して戦利品の回収をする。ゴブリンの回収できるものと言えば、心臓の辺りにある魔石と薬用に二本の角。それから、錬金術用に爪だろうか。多分そんな感じだった。帰ったら、本屋で回収する部位が書いてある本を探そう。

    剥ぎ取りを終えたらゴブリンは放置する。掃除屋スライムが片付けてくれるだろう。魔石を摘出しないと死んだ魔物は、ゾンビになって腐りながら襲ってくるから要注意だ。噛まれると感染症を起こしてすぐに対処しないと死ぬ。常識だ。

    ほら、丁度、スライムがのそのそとやって来た。みるみるうちにゴブリンの死体を取り込んで覆ってしまう。そして……。

    スポン!

    ゴブリンが消えた……。え、消えた!    スライムって少しずつ溶かして吸収するんじゃないのぉ!?

    そして、スライムはこちらに近付いてきて1メートル手前で止まってブルルン!    と震えた。なにこれ可愛い!    うちの子くらい可愛い。

【強酸スライムが仲間になりたそうに見ているお。仲間にするの?
→うん
→します
→喜んで!】
 
    レベルアップのときみたいに女神様の声がきこえた。そして、三つの選択肢が出てくる。おかしい。全部YESだ。私に選択権なんてないみたい。

    女神様の思し召しかもしれないし(うん)を選択する。

【強酸スライムが仲間になったよ!    名前をつけてみよう!
→ピッチ(ハイネマンの初恋の人の名前)
→アヲイ(ハイネマンがハンカチを
                  拾ってあげたけど
                  特になにもなかった人の名前)
→エレーナ(妻の妊娠初期にハイネマンが
                     手を出しかけた
                     A級冒険者の人の名前)】

「他にはないのかしら」

【テテン!    追加。
→ネーム(ハイネマンに恋した
                 凄腕錬金術師の名前)
→ジューヌ(ハイネマンがうっかり落とし
                   た既婚者の人の名前)
→エイナ(ハイネマンが一番愛している
                 女の名前)】

    あれ?    選択肢が1つしかないわ。アヲイね。

【強酸スライムは個体名アヲイになったよ。仲良くしてね!】

【初システム導入特典によりスキルをあげちゃいます。どうぞー。テテン!    《みんな友達お話しようぜ!》ゲットだぜ!】

    それにしても、女神様はどうやってこんなのを調べてるのかしら。暇なの?

    私の中で女神様に対する評価が一つ下がったと同時に夜、ハイネマンから話を聞き出してニヤニヤすることが決まった。

    取り敢えず?    強酸スライムのアヲイが仲間になった。アヲイは転々と転がると私のフードの中に入った。

「《ママー。ヨロシクー!》」

「ん、誰?」

「《僕ダヨ?アヲイダヨー》」

「アヲイちゃん喋れたの!」

    新事実。スライムは喋れたらしい。

「《僕ダケ特別?》」

「そ、そうなんだ。これから宜しくね。アヲイちゃん!」

「《ウン、ママ。》」

    家族が増えたけどまあ、大丈夫よね?

「あ、そうだ。アヲイちゃん、食べ物に好みとかある?」

「《溶カセル物ナラ何デモ食ベレルヨ。草モオ肉モ大好キナノ!》」

「そっかぁ。いい子ねアヲイちゃんは。」

    私に褒められてアヲイはポヨンポヨンと揺れる。横で見てる私は堪ったものじゃない。可愛い過ぎる。他のスライムは気持ち悪いのにこの子だけ可愛いすぎる。

    いい時間だし!    そろそろ戻ろうかしら。

    多分、十四時くらいになったと思う。ポヨヨン、ポヨヨン!    急にアヲイが暴れだした。

「《ママ、ゴブリン、イッパイッ!》」

    回りを見てみるとナイスメル茸に誘われたと思われるゴブリンに囲まれていた。少し多すぎじゃないかしら?    森の外縁なのよ!    十匹なんてついてないわ。アイテムバックからクロスボウを二丁取り出す。

「《ママ、下ガッテテ!僕ノ力ヲ見セテアゲル。僕ガママヲ守ルンダ!》」

「アヲイちゃん。気持ちは嬉しいけど一緒に戦いましょう。その方がいいわ。」

「《ウン。ママ!ジャア行クヨ!》」

    アヲイちゃんは私の前に着地すると近いゴブリンから順になにかを当てていく。

「《強酸弾…乱レ撃チ!》」

    アヲイちゃんは的確に顔とか手を狙った。大体のゴブリンたちは地面に寝転びのたうちまわっている。「ナイス、アヲイちゃん!」少し離れてるけど大丈夫。このタイミングを逃すほど私ものろまじゃない。

    まずは、たっているのを狙い、引き金を引く。グサッ。まず一つ。グサッ。二つ。グサッ。三つ。グサッ…………。十個目。

    矢をもう一本ずつ刺して確実に全部殺したかをチェックする。英雄譚でもなんでも死んだふりするゴブリンは有名だから。

    何匹か生きてたみたいで少し怖かった。

    素材を剥ぎ取り一匹を残してアイテムボックスにいれる。アヲイちゃんのおやつだ。アヲイちゃんは「《アリガト。オイシイ!》」っていいながら吸収している。あの技使うとかなりエネルギーを消費するんだって。

    私も魔力をかなり使ったし、あれ、回復してる。ま、いいか。今度こそ本当に帰ろう。その後、何匹か魔物を倒して帰路についた。カンッカンという小気味いい鎚のおとが響き渡る家に着いたのは十五時だった。



エイナ(・ヘリベルト) 15歳 人族 没落貴族夫人・新人薬師・テイマー

レベル5

HP   27→61
MP  29→68
力    23→54
敏捷23→53
耐久23→53
魔力26→57

スキル
採取LV4
魔力操作LV4
査定LV3
弓術LV2
使役LV2
調合LV1
商売LV1
料理LV1
解体LV1
調教LV1

特殊スキル
《みんな友達お話しようぜ!》

(永続付与)
【疲労回復促進】【超疲労回復促進】
【疲労回復超促進】【超疲労回復超促進】
【魔力回復促進】【超魔力回復促進】
【魔力回復超促進】【治癒力上昇】
【超治癒力上昇】【治癒力超上昇】
【超治癒力超上昇】【継続力上昇】
【忍耐上昇】【経験値小上昇】
【HP増加促進】【HP増加超促進】
【HP超増加促進】【HP超増加超促進】【MP増加促進】【MP増加超促進】
【MP超増加促進】【MP超増加超促進】
【ステータス成長促進】
【ステータス成長超促進】

称号
箱入り娘
没落貴族
新人薬師
採取の玄人
強酸スライムの主
冷たき瞳の小鬼殺し(贈・氷の魔眼)





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