どうやら主人公はお節介が過ぎるようだ

ミルクプリン

1章 薬師ギルド

    固いパンと失敗するはずがないエイナ作の野菜くずの塩スープを食べ終えた。初めてでも、食べられる味だった。二人は食器を片付けて椅子に座る。

「エイナ…。」
「あなた…。」

「あなたからどうぞ。」 

    切り出したのが同時だったためエイナが譲った。

「昨日は出ていっていいとか言ったけど、でも、僕は君と一緒にいたいんだ。出て行かないで欲しい。」

「勿論よ。あなた。私ね、あなたを愛しているわ。あなたがいない生活なんて耐えられない。それに私一人じゃこの子ルーヴェルトを育てて行けないわ。」

「ありがとう、エイナ。僕も君と僕達の子供。ルーヴェルトを愛しているよ。二人を養い守っていける父親になるからよろしく頼むよ。」

   決意とも告白とも取れる真剣な言葉だった。

「ええ、あなた。私からもあるの。私も働こうかなって。」

「えっ!    急にどうしたんだい。僕だけじゃ不安かい?」

    やっぱり信用されてないのかなとハイネマンはオドオドと不安になる。

「いいえ、違うわ。私ね、夢を見たの。とても辛い夢だったけど最後に声が聞こえたの。才能を生かして幸せな家庭を守り、作り上げろって。」

「待ってくれ、君もかい!?」

「ってことは!    あなたもなの!?」

「ああ、そうなんだ。才能を生かして妻子を幸せにしてみせよって言われた。僕は鍛冶師と領主。そして、斥候。ご丁寧に戦闘スタイルまで明確に伝わってきた。君は?」

「私は薬師と商売をやってみたら?    だって。自分で薬草を取って調合して、売れってことだと思う。それと、武器を使うんだったら、護身用で弓。暇なときに家族に料理をふるまってあげなさいだって。」

「そうか。君もだったか。」

    自分一人だけじゃなかったことに二人は喜びを感じていた。

「ねえ、あなた。これからのことについて話し合いましょ!」

「うん。そうだね。」

    ハイネマンは一度エイナの顔を見てから話し出す。

「先に僕からかな。僕はまずこの後、鍛冶ギルドに入って修行場所を斡旋してもらってくる。ある程度上達すれば独立して冒険者登録もしようかなって思ってる。暇なときに戦う練習すればいいかなって。君は?」

    ここで一旦ハイネマンは話を切ってエイナの番だと促してくる。

「私はやっぱり薬師ドラッグギルドに登録しようかなって。聞いた話だと、幾らか払えばポーションのレシピも教えてもらえるらしいし、お下がりだけれど安価で道具も譲って貰えるらしいの。」

「ルーヴェルトはどうするんだい?」

「国営の孤児院で一日千トロで面倒を見てもらえるらしいの。新しい王様が作った法律らしいわ。どっち道私たちには頼れる人がいないのだから使えるものは使おうかなって。」

「しっかり考えていたんだね。君らしいや。僕もシャキッとしないといけないな。」

   してやられたと恥ずかしそうにハイネマンは頭を掻く。

「ええ、そうね。二人で頑張って行きましょ!」

「あーぶー!」

    ちょっと気に入らなかったのかルーヴェルトが、俺もいるぞー!    と、口(かわいい声)をだす。

「ええ、わかったわよ、三人・・でね!」

    満足したようにルーヴェルトは眠りに着いたようで、二人も家を出た。
  



    改めて街を見てみるといろんな人がいていろんな建物がある。木造や煉瓦、石、色は様々。人の種族もヒュームからエルフ、ドワーフ、獣人と様々だ。

    いろんな匂いもするし、いろんな声が聞こえる。歓声、怒声、色々だ。

    私は久しぶりの屋敷の外に解放感を覚えた。

    石畳の道を歩いて十分程の所にある薬師ギルドの戸を潜る。縦横二十歩くらいのスペースの小綺麗な部屋に受付が三つあり真ん中しか人がいなかった。壁には、【新人募集中】【調合未経験の人でもOK】【いつ混ぜるの?    今でしょ!】なんて張り紙が貼ってある。

「いらっしゃいませ。薬師ギルドにようこそ。本日はどのようなご用件でしょうか。」

    笑顔が特徴的なメガネをかけたヒュームの若い女性だった。

「登録したいんですけど……。」

「畏まりました。こちらにご記入をお願いします。」



名前 エイナ
性別           ○男or●女
種族 ヒューム
年齢 15
調合経験   ○ありor●なし



    チェックし終えたので渡す。

「はい。ありがとうございます。エイナさんですね!    それでは説明に移らせていただきます。当ギルドではギルドが契約者、つまりエイナさんたちのことを証明する代わりに薬品を売って出た利益の五%を貰うという仕組みになっています。徴収方法につきましては後程渡すギルドカードに取引金額が写りますのでそこに出た税を六ヶ月ごとに納めるようにしてください。ここまでで質問はありますか?」

「ありません!」

「では、次です。ギルド員であるエイナさんたちには薬を売る方法がいくつかあります。移動しながら商売する行商。町中に露店を出して売る方法。ギルドに売り渡す方法。そして最後に土地を買って店を構える方法があります。主にこの四つが主流です。」

「それぞれの特徴を教えてもらっていいですか?」

    人がいないのを確認して聞いてみる。

「はい。構いません。行商は色んな町や村を回るため出費がかさみます。その代わりギルドに納めるお金以外の税は発生しません。次は露店です。一時間につき五百トロで場所を貸してもらえます。次にギルドに売り渡す方法ですね。例えば下級HPポーションを千八百トロでお引き取りします。売値は二千トロと上がります。その差額二百トロをギルドの手数料となります。また、その時の取引した金額に税はかかりません。最後になりましたが、土地を買って店を構える方法です。土地さえあれば、もう五%の税の追加で下級HPポーションなら二千トロで売り放題です。質問は?」

「大丈夫です。分かりました。」

「では、ご記入して頂いた紙に調合未経験とありましたがギルドでは初級ポーションの初心者講習を行っています。お受けになりますか?」

「はい。お願いします。」

「では、こちらがギルドカードになります。」

    渡されたのは掌よりも少し小さいくらいの板だった。

「では、奥へどうぞ。」
 
    受付の横にあるドアの奥に案内された。

    私がイメージしていたよりも整頓されていて無駄がない部屋だった。もっと薬草が吊るされていたり、よく分からない薬が放置されているのかと思ったけれどそんなことはなかった。簡素の一言に尽きる部屋と言うべきか。広めの机と水桶、それに、小さめの釜戸。それだけだった。

「道具などはこちらで貸し出しますので安心してください。」

「費用などは……。」

「この後、作成する薬をギルドが無料で雑費含めて引き取りますので実質無料です。逆に講習を受けない場合、千トロ払って頂くことになります。」

    では、講習を始めましょうか。

    この後は特に面白いこともなく講習が終わった。


① 薬草をすりおろす

② 作る本数プラス一本分の水に①を入れ火に掛ける

③ ②を魔力を適量込めながら掻き回す

④ タイミングを見て火から下ろし、魔力を込めながら少し掻き回す

⑤冷めるまで放置したら布などの目の細かいものでろ過して、瓶に移して終了



    あれ?    意外と簡単!    これなら私でもやっていけるかも。薬草もさっき見て覚えたし、家でもどんどん作っていきましょ!

「本当に初めてですか!?    このとうめいどを見てください。」

    初級HPポーションの方は青色に透き通って光っている。初級MPポーションの方はうっすらとした赤色で反対側が見えるくらいだ。

「ここまでのものを最初から作れるなんて、才能がありますよ!」

「お世辞でも嬉しいです。ありがとうございます。」

「いえいえ、ご謙遜なさらずに誇っていいことです。」

「本当ですか!    ありがとうございます!    え~と……。」

「ハーパーです。何かあればいつでも聞いて下さい。」

「ハーパーさん、ありがとうございます!」

    それから色々教えてもらった。普通の薬師は冒険者ギルドにヒール草十本一束千トロで依頼し、一本二十トロの瓶に詰めて薬ギルドに卸すらしい。つまり低級HPポーションの一本辺りの利益は千八百五十トロ。

    一方、初級MPポーションの方は素材となるマジック草を一束二千トロで冒険者ギルドに依頼して、同じように加工して薬師ギルドに卸すと三千五百トロで買い取ってもらえて四千トロで売られるらしい。ということは三千八十トロの利益。

    他にも薬師ギルドでは、ポーションのレシピを売ってたりする。

    どうせだから自分で売ってみようと思っている。夢のお告げがあったからもあるけど、なんだかワクワクする。家の中に閉じ込められてきた人生だったから、色んなことに挑戦してみたい。

「どのように生活していくかお決まりですか?」

「はい!    自分で採取、加工して自分で店を開いて販売しようと思います。」

    開業。つまり、利益につき、町に5%、ギルドに五%の税がかかる。

「分かりました。開業で登録しておきます。商業ギルドに登録していないと自分の生産したもの以外は売れないのでご注意下さい。また、変更や事業拡大等があったらいらしてくださいね。他に何か質問がなければ終わりますけど…。」

    店を開くには金がかかる。けれど、朝起きたときにあったティアラを売ればそれなりの金が作れるはずだわ。

「それと、他の薬のレシピとかを仕入れる方法ってありますか?」

「そうですねぇ、人に教わるために弟子入りしたり、レシピ本を買ったりですかね。多少古い本でも作り方は変わらないはずなので安心してください。薬師ってあまり人気がないので探せば結構あると思いますよ。」

「ありがとうございました!」

    特に聴くことはないので薬師ギルドをあとにした。 




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