スキルメイカー

にこ

その3 ステータス紹介 前編

「勇者様方、もう1度説明いたしますね」


あの後、王女様がすぐに戻ってきたため話し合いの結果を伝えた俺たちは、王様に謁見するために部屋を出て玉座の間に向かっていた。


「ルーメル王国は細かい儀礼はあまりありません。特に勇者様方は異世界からやってきたため、この世界の作法など困ってしまうだけでしょう。なので部屋に入ったらまっすぐ進んでいただいて玉座の手前で止まっていただくだけで構いません。あとは大臣やお父様が話を進めてくれるでしょう」


さっきの部屋から玉座の間まではそこまで距離が遠くないようで気が付いたら大きな両開きの扉が見えていた。


「それでは、入りましょうか」


王女様の掛け声でその扉は左右に大きく開かれた。
玉座の後ろには窓があるらしく部屋いっぱいにまぶしい光が入り込んでいた。左右には鎧を着た人や高級そうな服を着た人が10数人並び、まっすぐ先に見える2つの玉座には立派な髭を生やした40代ぐらいの男性と20代ぐらいに見える綺麗な女性が座っている。
よく見るとその椅子の横に20代くらいの男女が2人、10歳くらいの男の子が少し小さな椅子に座っていた。
言われた通りに玉座の前まで進むと玉座に一番近い男性が話し始めた。


「勇者様方、ようこそルーメル王国へ、そして今回は私たちの世界の問題に巻き込んでしまって本当に申し訳ございません。わたくし、ルーメル王国の財務大臣と王様の秘書のようなものを担っておりますダガルと申します。そして玉座に座っておられるのが我らがルーメル王国の王、メル・ド・ルーメルでございます」


「こ、これはご丁寧にありがとうございます。わ、私は高橋勇也といいます。私たちは地球という星の日本という国に生まれ、が、学生をしていました。」


勇也は緊張をしているのかガッチガチに体が固まっていた。


「ダガルよ、そんなに堅苦しい挨拶は要らんとさっき言ったではないか。勇者様方もそんなに緊張しないでもっと落ち着いてくれんかね。」
「は、はい。ところで王様、私たちは魔王を討伐するために呼ばれたとお聞きしていますが,具体的には何をすることになりますか?」


「うむ、勇者様方にはまずこの世界の最低限の知識と生きていくための力をつけてほしい。人材はこちらで用意するため一か月ほど場内で過ごしてもらうことになる。まあ勇者召喚で呼ばれた者はこの世界の人よりも特別なスキルや多くのスキルを持っているといわれている。戦闘系のスキルや魔法スキルはレベルに応じて体の動かし方や魔法の効率を上げてくれるため力はすぐにつくであろう」


そういうと王様は隅にいた騎士に水晶のようなものを持ってこさせた。


「これはステータスオーブという触れた者のステータスを可視化させるものだ。よければ勇者様たちのステータスを私たちに見してほしい。そのスキルによって物理攻撃職・魔法攻撃職・支援職・生産職に大まかに分けてスキルの使い方や戦い方を教えようと思う」


「分かりました、では私から触りますね」


そういうと勇也はオーブに手を置いた。
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タカハシ ユウヤ
種族:人間
Lv.1


STR 50
VIT 50
AGI 50
LUK 75


スキル:ユニークスキル ≪先導者リーダー≫Lv1
    ユニークスキル ≪陽光の勇者≫
    スキル ≪火魔法≫Lv1
    ハイスキル ≪光魔法≫Lv1
    スキル ≪剣術≫Lv1
    スキル ≪身体強化≫Lv1
    ハイスキル ≪成長促進≫Lv1
    ハイスキル ≪限界突破≫Lv1
    スキル ≪アクト言語≫


称号:異世界から呼ばれし者
   導く者
   聖剣の担い手


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「「「おお~」」」


映し出されたステータスに王国側もクラスのみんなも同時に驚きの声を上げた。


「なんと! 幸運度が75もあるだけではなく一つあるだけでも英雄になれる素質があるといわれるユニークスキルを二つも持っているとは。!!!よ、よく見たらユウヤ様のユニークスキルは≪光の勇者≫ではないですか! そのスキルは勇者様方の中でも女神ルリアによって認められた勇者の証。初代勇者様も≪勇者≫とつくスキルを持っていたといわれてはいますが本当に実在したとは思っても見ませんでした」


よっぽど勇也のステータスがすごかったらしく、ダガル大臣は興奮しながらしゃべっていた。
いや、周りを見渡すとほかの大臣や騎士、さらに王様までも口を開けて固まっていた。それだけ異常なステータスらしい。


(やっぱり勇也が勇者だったか……俺幸運度90でユニークスキル2つ持ってるけど見せないほうがいいかな?いや、でも勇也は≪陽光の勇者≫があったからより驚かれてただけで大して問題でもないかな。とりあえずほかの人のステータス次第で決めよう)


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≪先導者≫
Lv1:パーティのリーダー時、全員経験値取得量微up↑
リーダーの素質がある者の証でもあり、パーティ行動において効果がある


≪陽光の勇者≫
火魔法・光魔法及び複合魔法、陽魔法威力上昇
聖剣召喚


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とりあえず勇也のステータス紹介が終わったのか悠二が勇也の横に出ていた。


「じゃあ次は俺だな。これに触れればいいのか」


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スズキ ユウジ
種族:人間
Lv.1


STR 50
VIT 50
AGI 50
LUK 50


スキル:ユニークスキル ≪ウェポンマスター≫Lv1
    スキル ≪風魔法≫Lv1
    スキル ≪土魔法≫Lv1
    スキル ≪身体強化≫Lv1
    ハイスキル ≪魔力纏≫Lv1
    スキル    ≪アクト言語≫


称号:異世界から呼ばれし者
   武人


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最初が勇也のステータスだったからか、さっきよりも驚いている人は少なかった。


「ユウジ様もユニークスキルをお持ちなのですね! ≪ウェポンマスター≫ですか……スペシャルスキルの中でも希少な≪ソードマスター≫というスキルがあると聞いたことがあります。それを持っていた者は剣に分類される武術スキルの武器を達人以上に扱っていたそうです。おそらくユウジ様のスキルはその上位互換、剣だけでなく全ての武術スキルに適性があるのでしょう。しかもユウジ様はハイスキル≪魔力纏≫をお持ちですね。そのスキルは魔力を身体や武器に纏わせて強化するもので、スキルレベルの高い者は素手に纏わせて岩を砕いたり木を倒したりできるそうです」


「そうなのか! 俺向きなスキルでよかったぜ!」


悠二が満面の笑みを浮かべながら戻ってきた。


ダガル大臣はスキルの関する知識が豊富なようでユニークスキルの能力を考察していた。


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≪ウェポンマスター≫
Lv1
スキル習得時、その世界に存在している全ての武術スキルが含まれている
スキルレベル+1


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(おお〜、あの大臣の予想、ほとんど当たってるよ。いや、そんなことよりも俺以外の人はスキルの詳細が見れないのか?いや、悠二が知らないだけかもしれないしな……)


大臣の話を聞きながらも自分のステータスを見ているクラスメイトを横目で見ていたがステータスオーブを使っていない時は本人以外には不可視のため分からなかった。


(もし見れないとなるとこのスキルはやっぱりチートなところもあるな。≪昇華≫スキルで変わる前も見れたかは分からないけど他人のステータスだけでなくスキルの詳細も見れるのは驚いた)





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