これが私達の恋愛!

レイナ

三恋愛

まだ激しい太陽の日差しが突き刺さるほど暑い夏の日。
こんな日にも会社でパソコンとにらめっこをする。そんな日にもあの子は変わらず…。


──八月十三日。


自分のいる部署のはどこにでもある、ありきたりな部署だ。メンバーは全部で十八人。どちらかといえば、女性が多い。そんな中の一人である自分は淡々と打ち込む。


毎日同じことの繰り返し。それは平和的でとても良いことだとは思ってる。しかし、それを退屈であるとも思っていた。そんな事を考えていると課長に呼ばれた。


     「ちょっと来て欲しいんだけどいいかな?」
     「はい、なんですか。私情でしたらお断りしますが」
     「そうじゃないよー聞きたい事があるの」


自分の部署の課長はとても気弱な男性だ。体格も良くはなくモヤシ体型だ。加えて性格はネガティブでいつも部下に向かって一歩引いてる。独身らしい。


何を聞かれるんだろう。特に悪い事をした覚えはないんだけど…。
そう思いながら質問を聞くと、それは信じられない程失礼な質問だった。


     「律君と他の部署の京子ちゃん?付き合ってるんだよね?女の子同士で付き合うってどうしたら出来るの。そんな事」


その顔は人を馬鹿にしたような、見下したような言い方だった。
自分はその瞬間、冷静さを保てなくなった。思わず頬に激しく平手打ちをした。その音はとても生々しく周りに響くほどだ。


     「お前みたいな男に何が分かる!自分達は自分達なりの恋愛をしてるんだ!それを侮辱するのだけは絶対許さない!」


自分の事はまだいい。馬鹿にされるのは慣れてるから。でも、京子を馬鹿にされたのは耐えられなかった。まだ、冷めない怒りを抱ながらその日は早退した。


いずれこうなる事は分かっていた。普通じゃない恋愛をしている。そう理解はしていた。でも考えるのが怖くて頭の片隅に置いてきていた。ツケが回ってきたのだろう。


でも、それと同時に何かが不思議と吹っ切れた。あの課長には悪いが感謝した。あの平手打ちのお陰だと思った。


今度、京子と話し合ってみよう。これからについて、目を逸らさず。


いまだ激しい暑さのある夏の夜。そう決めて一日を終わらせた。

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