本人無自覚の最強エージェント〜組織とも関わらず18年間普通に暮らしていたのに何故かエージェントになっていた件

御丹斬リ丸

最強のエージェント?ハッ、いやアイツ絶対馬鹿


side  公安勤務 谷口旭

日本最強エージェントの座を持つ若者、チンピラにしか見えない風貌と馬鹿のような行動は全てに意味がある。
そうとは俺には思えない。
数年前突如として、まるで彗星のごとく現れたソイツは花火のように寿命が短いエージェント業界においていまだに輝き続けていた。
それも最強の座を持つエージェントとなれば更に寿命は短い。
その彗星の如く現れた新参者が、古くからある頭の硬い組織で最強の座を持てたのも、死にたくなかったからであろう。
日本國政府としても面子がある。
海外に対して威圧するためにも、組織最強がどんなやつなのかをアピールしたいのだ。

しかしエージェントとなればそうもいかない。彼らは身を隠して仕事を行う。
だが政府が求めるのは身を明かしての海外勢への圧力。
本来組織ならば最強の座を巡って殺し合いでもしているだろう座にて長らく誰もが避け逆になすり付け合いをしていたのも納得ものである。
ニンジャが蛍光色のピング色の服を着て現れるたびに後ろで爆発が起きたりするだろうか……いやしないだろう。するとしても戦隊モノだけだ。
エージェント業界において顔を晒す行為はそれに近しい馬鹿な行動であると言えよう。
昔のエージェントといえばハリウッド映画に出てくるようなド派手な奴らもいたが、防犯カメラや解析技術が発展するに連れ地味でその辺に居そうな人という見た目が普通になった。

……のだが、なんだろうこいつは。
日本最強のエージェント、なんだよな?
栗色の髪の毛と染み出す下品な気配、それから見ただけでわかる頭の悪そうな顔。
最強?何かの間違いだろう。
そう思うし、そう思うのだが……組織の命令は絶対。
こいつ本当に最強のエージェントかよ……と不満そうな顔をしている部下に最強のエージェント様がいかに凄いか教育しなければいけない。

はぁ、苦痛だ。
と、あの頃は思っていた。

反抗する人物には教育を。
その精神によって成り立っている日本の暗部、公安の中でも闇が深い組織である"国家安全保障機密保全委員会"は俺がまさに所属している場所である。ちなみにとなりに座るクリーム色の服を着た部下、八次鈴香も同じくそうである。
口が避けても言わないが、ヤンキーと上級国民様は全く持って、馬鹿みたいに長い漢字の名前が好きである。
なんでも怪しげな組織に国家とか委員会って名前つければいいってもんじゃねえぞ!と叫びたいが、いろんな意味で死ぬから言わない。

つい最近までずっとアイツはただの馬鹿だと信じて疑わなかった俺は麻薬を使った非人道的な方法で洗脳を受け最強のエージェント様を狂信するイカレタ真人間になったのさ。

そんなわけで今日も変装と隠密行動をしながら監視と指示待ちをしていたのだが、どうやら五味秋人様の友人がロクでもないことをしようとしているらしいと向こうで彼らを監視しているものから連絡が入った。
基本的に犯罪行動であろうと彼に関わる行動は放置しろと言われているため見なかったことにするが、犠牲者が哀れで仕方がない。

一応、ゴミやろ……じゃなかった五味秋人様から許可を得てスマートフォンないの情報を共有しついるのだが、本当にクズというしか言いようがない。
こいつの何をみて上の連中は天才とか言っているのだろうか。
写真ホルダーに収められた裸体の数々と検索履歴に残る異常な性癖の後。
しかもこいつがやっているゲームアカウント、ほとんどがペナルティを食らっている。
ただのクズでは?
そう思うしかない。

「先輩、先輩?」

耳元でで呼ばれて思考の海から戻ると五味はすでに移動を始めていた。
部下の八次鈴香はとても純粋でいい子で自分の正義を語るようなそんな可愛い女の子であった。しかし上司の命令によって教育という名の洗脳を行った彼女は正義を失い俺と同じく五味の狂信者になってしまった。
キャリアの俺と違い彼女は若かった。
対尋問訓練や薬物に対する洗脳に抵抗する手段を持たなかった。

俺の手で彼女を変えてしまったことを毎日のように後悔している。
俺には家族はいるが、彼女も同様に守ってあげたい。そう感じていた。

守るため俺は五味に従う。
たとえ奴がゴミであろうとも。
奴が本性をさらけ出して我々に危害を加えて来るまでは、大人しくお前のために働いてやるよ。

俺はそう心で決意をした。

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