転生した神龍は呪いで強くなる
呪い子
クァー。クァー。
けたたましい鳥の声で俺は目を覚ました。体を起こすと毛布がかかっていることに気づき、周囲を見渡すと、少女が少し離れて座っていた。
柔らかな草木の色が澄んだ空気と合唱している。時が止まっている、一枚の絵画のようだ。
「ありがとうございます」
通りすがって、寝ている俺が風邪でも引かないように、と毛布を何処からか持ってきてくれたのだろうか?
少女の淡い桃色をした唇が動いた。
「いえ、あの、私に近づかないでくださいね?」
初手から衝撃をくらった。
話を聞いて、ようやく事情が判明したのだが、どうやら少女は呪い子と呼ばれているらしく、その体に触れると、呪われるそうだ。村中から嫌われているらしい。つくづく可哀想だと思う。
「呪いとは具体的に?」
「毎晩、夢に悪魔が現れて私を殺すのです」
「悪魔!?」
「はっきりとは分からないのですが、とても強大で禍々しい力を持っています」
『フィギの継承者か。こんなところで会えるとはな』
突然、ひび割れた声が聞こえた。頭の中から直接響いた感じがする。
「何か言いました?」
「いや、何も」
『互いに名乗るといい。二人で夢の魔王のところへ行け。そうすれば呪いは解ける』
どこかで聞いた気がする声、思い出せない声。
「呪いが、解ける? ほ、ほんとうに解けるのなら、私、夢の魔王のところに行きたいです」
「夢の魔王? 確か、この大陸の最西端に住んでいると教えられたな。あなたさえ良ければ俺は行ってもいいけど」
「私は、村に居ても、その......あれなので、行きたいです。同行お願いできますか?私はクレアです」
「俺はルシウス。宜しくな」
母親にもらった地図のことを思い出して、あの時咄嗟に持ってきた鞄から取り出す。
「この道を真っ直ぐに行けば着く」
「地図が読めるって凄いです! 私にも教えていただけませんか?」
「タメでいい、同年代だろ(見た目は)?」
「え、えっと、私にも、教えてくれない?」
「もちろん」
こっちが北でー、こっちが南でー、と一つ一つ教えていく。
「こんなに世界って広かったんだ」
「ああ。もしかして、今まで教育とか受けられなかったのか?」
「うん。呪い子は必要ないからって」
「そうか......」
辛かっただろうに。ただ、話を少し聞いただけで安い同情の言葉をかけるほど俺は無神経じゃない。
地図を指差して計算する。
「このまま歩けば2日くらいで着くな」
そう言って気づいた。 
(翼があるではないか......)
「なぁ、飛べばすぐ着くけど、どうする?」
「え? 飛ぶ?」
とりあえずクレアの背中にイメージを集中させる。
「飛翔付与」
ばさっと現れたのは純白の翼。
うわぁぁ!と嬉しそうにぱたぱたさせるクレア。
「凄い!」
「つい最近習得した固有スキル。使うのは初めてだけど、便利だな」 
恐らく、全力で翼を使ったあの時に、レベルか何かが上がって使えるようになったのだろう。
翼に慣れるのに少し手こずったあと、二人は翼を広げて夢の魔王が住まう城へと向かったのだった。
けたたましい鳥の声で俺は目を覚ました。体を起こすと毛布がかかっていることに気づき、周囲を見渡すと、少女が少し離れて座っていた。
柔らかな草木の色が澄んだ空気と合唱している。時が止まっている、一枚の絵画のようだ。
「ありがとうございます」
通りすがって、寝ている俺が風邪でも引かないように、と毛布を何処からか持ってきてくれたのだろうか?
少女の淡い桃色をした唇が動いた。
「いえ、あの、私に近づかないでくださいね?」
初手から衝撃をくらった。
話を聞いて、ようやく事情が判明したのだが、どうやら少女は呪い子と呼ばれているらしく、その体に触れると、呪われるそうだ。村中から嫌われているらしい。つくづく可哀想だと思う。
「呪いとは具体的に?」
「毎晩、夢に悪魔が現れて私を殺すのです」
「悪魔!?」
「はっきりとは分からないのですが、とても強大で禍々しい力を持っています」
『フィギの継承者か。こんなところで会えるとはな』
突然、ひび割れた声が聞こえた。頭の中から直接響いた感じがする。
「何か言いました?」
「いや、何も」
『互いに名乗るといい。二人で夢の魔王のところへ行け。そうすれば呪いは解ける』
どこかで聞いた気がする声、思い出せない声。
「呪いが、解ける? ほ、ほんとうに解けるのなら、私、夢の魔王のところに行きたいです」
「夢の魔王? 確か、この大陸の最西端に住んでいると教えられたな。あなたさえ良ければ俺は行ってもいいけど」
「私は、村に居ても、その......あれなので、行きたいです。同行お願いできますか?私はクレアです」
「俺はルシウス。宜しくな」
母親にもらった地図のことを思い出して、あの時咄嗟に持ってきた鞄から取り出す。
「この道を真っ直ぐに行けば着く」
「地図が読めるって凄いです! 私にも教えていただけませんか?」
「タメでいい、同年代だろ(見た目は)?」
「え、えっと、私にも、教えてくれない?」
「もちろん」
こっちが北でー、こっちが南でー、と一つ一つ教えていく。
「こんなに世界って広かったんだ」
「ああ。もしかして、今まで教育とか受けられなかったのか?」
「うん。呪い子は必要ないからって」
「そうか......」
辛かっただろうに。ただ、話を少し聞いただけで安い同情の言葉をかけるほど俺は無神経じゃない。
地図を指差して計算する。
「このまま歩けば2日くらいで着くな」
そう言って気づいた。 
(翼があるではないか......)
「なぁ、飛べばすぐ着くけど、どうする?」
「え? 飛ぶ?」
とりあえずクレアの背中にイメージを集中させる。
「飛翔付与」
ばさっと現れたのは純白の翼。
うわぁぁ!と嬉しそうにぱたぱたさせるクレア。
「凄い!」
「つい最近習得した固有スキル。使うのは初めてだけど、便利だな」 
恐らく、全力で翼を使ったあの時に、レベルか何かが上がって使えるようになったのだろう。
翼に慣れるのに少し手こずったあと、二人は翼を広げて夢の魔王が住まう城へと向かったのだった。
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