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コミュ障だけど転生したし、なんだかいけそうな気がします!!

soltier

神と聖女と勇者と魔王

夜ご飯を食べていたら突然空に大きな魔法陣が浮かび上がってそこから魔王が現れた。

「うぉ!?びっくりしたのじゃ、みんな勢ぞろいじゃな」

「お、お母さん!?」

「魔王だけあって転移魔法も使えるのね」

「はぁ……敵じゃなくてよかったよ、こんな怖い思いしたの久しぶりだし」

魔王エミリーと最後に会ったのはアドレントに行った時以来になる。

あの時は的なのか味方なのか分からなかったけど、単純に子供への愛がものすごいつよいだけな人なんだよね

「また突然だな、今日はどうしたんだ?」

「どうしたもこうしたもないのじゃ!クロエとジャックがいるのにわらわがいないのは変じゃろうて、こうして家族が揃ったのはほんっとうに久しぶりなのじゃから」

現れてすぐエミリーさんはクロエさんをぎゅっと抱きしめる

「あらあらよかったわね、まぁ今日くらいは許してあげるわ」

「セリアは相変わらずじゃの、正妻の余裕はムカつくが今はそんなことよりもクロエとジャックが会えたことを祝うのじゃ!」

「お、お母さん苦しい」

「よく見ればお主らもいたのか、よくここまでクロエと一緒に旅をしてくれたのじゃ!ルーミーやニーティアの助けもしてくれたそうで、助かったのじゃ」

今この状況を考えると一番まともなのがサーティアさんとシロルちゃんだけなんだなって、だって、神に勇者に聖女に天使……それに魔王とドラゴン、勇者の子供たちだもんね
異世界感満載のラインナップだよ

「また変なことしないですよね?」

「変なこととはなんじゃ?わらわは常にクロエのために動いておるしお主らのことはもう信用してるからの。………お主、少し見ない間に強くなったようじゃな、いつまでもクロエの味方でいてやってほしいのじゃ」

なんかさらっと力を見破られたんだけど、未だに魔王の実力が計り知れないよね。


「あ、あの、ルチア様、今魔王って……魔王って言ってましたよ!?本当に大丈夫なんですか」

「なんじゃ仲間が増えたのか?まぁそう怯えるでない、わらわはクロエの母親じゃ、今は魔王ではないのじゃ」

「一人仲間が増えたんだよ、テナっていうんだけどね、さっきの子とあの人はこの国の内だけ一緒にいることになったの」

「ふむ、そうか………クロエの周りにはわらわでも中々見ないような実力者ばかりなのじゃな」

ルチアさんになにか思うことでもあるのか、エミリーさんはじっと見つめる。

「あ、あの、し、シロルと申します。こ、この方はルチア様です」

「幸神教はなにかする気なのじゃ?」

「本当に気にしなくていいからね、この人観光しにきたみたいだから」

「ふむ…ならいいのじゃ」

セリアさんとエミリーさんがなんの話をしてたのかよくわからないけど
とにかく穏便に済みそうでよかった。

魔王と神様なんて普通対立するだろうからね。
今は保護者と母親だからちょっと通ずるものがあったのかもしれないね


魔王が突然現れてびっくりしたけど、クロエさんはとても嬉しそうにしていたし、これで家族が揃ったって思うとなんだか感動するね。
まぁセリアさんにとってはちょっと複雑な気分かもしれないけど

寝るような時間になり私達はテントを出して寝場所を用意する。
クロエさんとエミリーさんはジャックさん達の家に泊まることになった。

「さすがに六人一気に寝るのは狭いわね」

「いくら広いといってもさすがにね、あたしは別にリィアとくっついて寝てもいいんだけど」

ルーナちゃん……かわいすぎる!

そう、いつもは見張りがあるから誰か外にいるし、いつでも起きれるように端っこで丸まりながら寝たりするから余裕があるんだけど、ガッツリ寝るとなると少し狭い
とはいえシロルちゃんと私、ルーナちゃんにテナちゃんは身体が小さいので寝れないことはなさそう

「こうしてぎゅっとしながら寝ればいい感じですよ」

私はルーナちゃんに抱きついて広さを確かめる
ルーナちゃんの抱き心地は相変わらず最高だ

「それならじゃあ……テナ?」

「こ、こうですか?えへへ、サーティアさんって思ってたよりも柔らかくて……安心しますね」

「さぁシロル、遠慮はいりませんよ」

「はい、失礼します」

それぞれぎゅっとすることによって寒さはなくなるし寝心地もいいということで今日は堂々とルーナちゃんとイチャイチャしながら寝れる

「リィア、もしかしてこうやって寝たかっただけなんじゃないの?」

「そ、そんなことないですよ。ほら、サーティアさんだって満更でもなさそうですし」

「聞こえてるわよ?まぁテナくらい小さいと案外いいわね」


クロエ視点

今日はとても充実した一日だった。家族に憧れを持ってるわけでも、寂しい思いをしたこともないが、実際両親に会ってみると心が満たされた。
また子供に戻ったような、そんな気分になってしまった。
おかげでみんなには恥ずかしいところを見られたけど、今更……だな

お父さんはセリアさんのこともお母さんのこともちゃんと大事に思っていた。最初はちょっといい加減な人なのかと思ってたけどそんなことはなかった

そして、みんながわたしに気をつかってくれたみたいで、今日はお母さんと一緒に寝ることになった。

「クロエ、また見ない間に大きくなったのではないか?」

「そうかな?」

「あぁ、クロエはきっと立派な魔族となるのじゃ。もちろん人間の国にいてもいい、これからの人生はクロエの自由に過ごして欲しいからの」

これからのこと、か。考えてた夢は立派な魔族になって魔王のためにって思ってたんだけど、今はそれよりもみんなと一緒に色んな冒険をしてみたいって思うようになってる。

もちろん死ぬまで一緒ではないんだろうけど、いざみんなと別れたあとのこと考えると何も思い浮かばない
冒険者を続けるのか、魔王軍に入って働くのか……

「今はみんなと旅をするのが楽しいから、それが終わったあとのことはまだわからないけど、わたしはやっぱり魔族として生きたいと思うよ」

「嬉しいことを言ってくれるのぅ、いつでもクロエを王女に迎える準備はしておくのじゃ。魔族の寿命は長い、それに魔病を乗り越えたクロエならそうそう怖いものはないじゃろう」

「うん、あの時はありがとうね」

「当然じゃ。長いこと母親として何もしてあげられなかったからの、国が落ち着いた今わらわはクロエを最優先に動くつもりじゃ。本当は旅にもついて行きたいくらいなのじゃがさすがにそれはできないのが残念じゃ」

さすがにお母さんも一緒に旅をするのは仲間のみんなに悪いことをするからよかった。

「ねぇお母さん、その……」

絶対にみんなには見せられないけど、今は誰もいないし、少しくらいいいよね?

「あぁもちろんじゃ。きなさい」

わたしは手を広げてお母さんの胸の中で眠りについた

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