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コミュ障だけど転生したし、なんだかいけそうな気がします!!

soltier

クラーケン討伐 決着

モヤが晴れるとクラーケンの姿はなかった。

壁が壊れている様子はなく、すっかり水位が下がった崖下の海は魔物1匹見えなかった。

「もしかして……倒した?」

「ここからじゃよくわからないわね……降りてみる?」

少なくともクラーケンの大きさが入る程の水位はないと思うんだけど、見えないってことは本当に消滅したってこと?

「探知魔法でも大きな反応はないですが、でもなくはないです」

クラーケンのものかは判別できない。
完全にクロエさんの魔法が消えたわけじゃないのか?

「とりあえず全部の水抜いちゃう?そっちの方がいいでしょ?」

「私、まだまだいけますよ!」

ルーナちゃんとテナちゃんはやる気満々だ。

「ルーナちゃん、テナちゃん、私が見てきます。もし何かあったら援護お願いします。サーティアさんはクロエさんを起こして来てください」

「わかったわ」

水抜きをしてからでもいいけど、これだけ弱ってるなら平気だろうし、何よりなんだかんだで時間がかかる。

長期戦のせいでもう日が傾いていた。

「キュアアップエンジェル!キラリアフォーム!」

久しぶりに恥ずかしいセリフと共に変身する。

私もうこの世界に来てから何年か経ってるし、さすがに恥ずかしいんだよね。
ロミス様にどうにかしてもらいたいけど、断られるんだろうなぁ

「…………」

「やっぱり綺麗ですね〜その姿」

し、視線が痛い。

まぁいいや今はクラーケンの確認だからね!

私は空中に身をうかべ、そのまま崖を降りていく。

テナちゃんの火の魔法によって水を蒸発させていたことで、すごいジメジメする。
もしかして水の中も熱くなってたりするのかな……

恐る恐る水に触れてみると熱いことはなく、少し生ぬるい感じになっていた。

ここまで近くに来たけどクラーケンみたいな大きな魔力の反応はない。
だけど確かに魔物の反応はある。
完全に消えてはないけどテナちゃんの時みたいにかなり弱ってる……とか?

海の中は暗くてよく見えない。
私は魔法で照らしながら反応を頼りにクラーケンを探す。

「この辺りのはずなんだけど」

反応はこの下にある。水の中に黒い影が見えた。
やっぱりクロエさんの魔法で小さくなってる?

私は魔法で反応周辺に向かって伸びる岩を生成する。
だいぶ浅くなっていたこともあり、すぐに海から足場がでてくる。

そして、足場とともに、真っ黒なタコが出てきた。
このタコからの反応以外は探知魔法では見つけられないということはこいつがクラーケンの正体ということになる。

真っ黒なタコは逃げようともせず全く動かない。
死んでる訳ではなさそうだけど……テナちゃんの時みたいに気絶してるのかな?

戦っていた時のように再生している様子もない。

クロエさんの魔法が効果抜群だったみたい。

どうしよう、ここで確実に倒すか、それとも………う〜ん
いや、このクラーケンは多くの人を殺して沢山の人を苦しめた元凶なんだから倒さなくちゃいけないよね。

私はそう思い、魔法の詠唱を始める。
確実に倒すなら最上級の魔法で……

と、その瞬間クラーケンが突然動き出した!

私は咄嗟に詠唱をやめ、距離をとる。

さらに、脳内に直接こ声が響いてきた。

(契約神よ、どういうつもりかわかっているのか?)

え!?ロミス様?どうして今神様が……っていうかなんで喋ってるの!?

(信者に手を出すならまだしも我が眷属にこのような仕打ち………許されることではないぞ)

私が混乱するまもなく私の中からロミス様が出てくる。

「ん〜私が指示した訳じゃないからなぁ、強いていえば私のリィアちゃんの邪魔になったから構わないと思って。それに、わざわざこんなことして、私じゃなくてもいずれはあなたの眷属は討伐される運命にあると思うんだけど、海の神もここまで落ちぶれたのかな」

(何を言う、我は信者を奪われた。だから神の怒りを示しただけだ。人間は簡単に幸福神に騙される。生きていくために必要な自然を敬う心は薄れてしまった)

なんだかよく分からないけど、このクラーケンはどうやら神様の眷属、つまり私と同じような者だったらしい。

「こんな街ひとつの信仰が無くなるくらいであなたの力が揺らぐことはないでしょうにこれじゃあ海の神よりもその眷属の方が可哀想……あ〜でも、あんまり頭は良くないみたいだし、そもそもそこまで重要じゃないのかな?とにかく、あなたの眷属が邪魔だったの。どうせ倒されるんだからいいじゃない」

(契約神もここまで堕ちたか、前は人間に力を貸すなんてことはしなかったのに。それにお主は魔族側の神であろう?なぜ人間側の神である幸福神につくのか)

「いいの?そんなこと言って、もう優秀な魂をあなたに渡さないよ。それに私は人間のためでも他の神のためでもなく私のかわいいかわいい天使のリィアちゃんがしたいことをさせてるの。その邪魔になったから排除したまでだから」

(………わかった、今回のことは何も言わない。だが我の眷属は許してはくれぬか)

「それを決めるのは私じゃなくてリィアちゃんだからね」

え!?私なの!?

(ぬぅ……)

クラーケンは心なしかしょんぼりしてるように見える。
いやいや、こう見えてもちゃんと大勢の人を苦しめた元凶だからね!
あ〜まぁでもクラーケン自身は神様の言う通りにしただけなのか………

こういう判断が1番難しい。

(もう人を襲うことはさせぬ。それにもうこの子にはそんな力も残っておらぬ。なぁお主よ、見逃してはくれぬか?)

神様からのおねがい。
私はもちろんロミス様のことは信頼しきってるけど、他の神様のことはあんまり分からないし、でも海の神ってことは相当強い神様だろうし………

「………はぁ、わかりました。見逃してあげます。でも、ちゃんとこの魔法は使わせてもらいますけどね」

私はすっかり大人しくなったクラーケンの周りに魔法陣を描く。
そして、足の先っちょを切り、そこに私の血を垂らす。

「血の元に姿を変えよ!エクスチェンジ!!」

ごっそりと魔力の抜ける感覚と共に、魔法陣が光り輝く

(な、なにを!?)

「リィアちゃん!?」

そして、光か収まると、かわいい女の子がぐったりと倒れていた。

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