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コミュ障だけど転生したし、なんだかいけそうな気がします!!

soltier

街が見えてきましたよ

ラキナさんのお願いの通りに私達は塔を壊し、中の書物も全て燃やした。

「私の人生そのものと言っていいものだが、私のしたことは多くの命を、いや、生命を冒涜したことだ。私は神様なんかじゃない。魔法が戻ったとしてもその研究は進めないことにするよ」

「ラキナさんはこれからどうするつもりですか?」

「知り合いの魔女の元へ行くつもりだ。不老不死を成し遂げた魔女がいるんだよ。あいつならなんとかしてくれるだろう」

不老不死の魔女………もしかしてクララさんのこと?
クロエさんが病気になった時に助けてくれた魔女が確か不老不死だったはず。

「あ〜、クララさんならここからだいぶ遠いと思いますよ。エルフの国ヴァレンとアドレントの間の森に住んでるので」

「クララを知ってるの!?」

「はい、私達もお世話になったことがあるので」

「世界は狭いなぁ……それじゃあ君達のことを言っておくよ」

「……ラキナさんは本当にそこまで辿り着けれますか?」

お金を渡したとはいえ別に大量に渡したわけじゃない。
せいぜい数週間困らないくらいだ。

「私には魔法はなくなってしまったが頭脳は残っている」

「そもそも言葉が通じないんじゃ……」

「……これから覚えていく!」

この人を放っておいたらなんか心苦しいことになりそうだけど、あまりに手を差し伸べすぎてもよくないから難しいね。
でも本人が前向きなのが救いか


「さて、ゆっくり休めたことだし、また進むわよ!」

「頑張るのはほとんどテナだが」

「ねぇリィア、ほんとにこの人連れていくの?」

みんなにもラキナさんのことは知ってもらってる。だからこそ不安があるのだろう。

「街に着くまでですから…ね?」

「それはもちろんだ。君たちに仇なすことは決してない」


「ぐぉおおおおおん!」

テナちゃんが準備できたみたいだ。
壊れた塔から飛び立つ。

「怖っ!?た、高いんだけど」

「しっかり捕まってないと落ちるわよ!ほら」

「あぅ」

ラキナさんは最初に目覚めた頃より謙虚な態度になったことですっかりサーティアさん達からもこんな扱いになっていた。

「リィア、本当にあの人がすごい魔女なのか疑問に思えてきたよ」

「あはは………今は魔法が使えないので普通の女の子として扱ってあげてください」

ラキナさんはこっちの言葉を覚えるために、私以外のみんなと話す努力をしていた


「ねぇみんな!見て!」

サーティアさんがまっすぐ進んでいる方向に指さす。

「わぁ〜、すごい」

遠くの方に空よりも濃い青が見えた。

「もしかしてあれが海?」

目指しているのは海の先にある聖皇国だけど、とりあえずの目的地である海の街が見えた。

「街が近いということはそろそろテナから降りた方がいいかもしれないのだ」

「海はいいぞ、色んな生物がいる。私が研究していた時もよく海の生物を使った実験をだな………っと、もうこういうのはやめたんだったな。海にも神様が沢山いる。生命の起源でもあるから多くの人から信仰を集めている。きっとあの街にも立派な神がいるだろうな」

ラキナさんは学者らしいことを言ってるけど、私にはよくわからない。

身近に神様がいても正直神様がなんなのかよくわかんないし


クロエさんの言った通り、ドラゴンが街に近づいたら大騒ぎになってしまうので、降りて歩きで行くことにした。

「テナお疲れ様ここまで運んでくれてありがとう。おかげで予定よりも早く着いたわ」

「いえいえ、みなさんのお役に立ててよかったです!」

「本当にテナが仲間になってくれてよかったのだ」

「ありがとう、テナ。あたし達重くなかった?」

「はい!全然平気でしたよ。ゆっくり飛んでたのであんまり疲れてないですし」

「ドラゴンに乗ることは初めてだったがこれ程安定しているのだな。あの技術を使えば私も………いやいや」



テナちゃんが仲間になってラキナさんも同行することになったので6人パーティになったわけだけどひとつ問題が出てきてしまった。

「………私達ってもしかしなくても目立ちますよね」

街の近くになると、前みたいな魔物の大軍はいなかった。

その代わり、人がいた。
まぁ明らかにいい人ではないんだけどね

いわゆる盗賊だった。

「まぁこんなところに女の子6人だものそりゃあ来るよね」

「さっさと蹴散らすのだ」

「こういう犯罪者はいい実験材料になる……いや洗脳…もとい布教対象にした方がいいのか」

久々の対人戦も私達にとっては問題なかった。

手加減が難しいテナちゃんにラキナさんを任せて、他4人それぞれが盗賊達を無力化する。

「ぐぅぅぅ、どうしてこんな少女達に……」

「それでどうするのだ?」

「いちいち街に持っていくの面倒すぎるわね」

「かといってこのまま野ざらしにしたら逃げられちゃうかもよ?」

こういう時の扱いって困るよね。放置してもダメだし……殺すのが一番なんだろうけど、それはそれでなんかやだ。
かといって街まで連れて行って引き渡すのも面倒。

「まってくれ!!街に戻ったら家族がいるんだ……」

「それとこれと関係があるのかしら?」

「街に戻っても捕まるだけなのだぞ」

わざわざ言い訳というか情けをかけてもらおうとしても意味ないと思うんだけど。

「いいや、今のサインズにそんな余裕はない……元々盗賊じゃない奴らも盗賊の真似事をしなくちゃ生きていけないんだよ」

サインズというのは海の街のことだろうね。
どこの国にも属していない独立都市のはずなんだけど、なにかあったみたいだ。

「ふむ、詳しく聞こうではないか」

私達は拘束はそのままにして話を聞くことにした。

「海に強力な魔物が現れたせいでサインズのほとんどの産業がダメになっちまったんだ。近くの街や国に離れちまった奴らも多い。そして人の行き来が少なくなったせいで街道にも魔物が現れ始めたんだ、俺たちみたいな盗賊も増えた……このままじゃ街は滅ぶ一方だ」

「助けは来ないのかしら?聖皇国も黙ってないんじゃないの?」

「何度か助けは来たんだが……全滅だ」

相当強い魔物が住み着いちゃったみたいだね。

「なるほどね。まぁだからといってあたし達を襲ったことは許されることじゃないと思うけど」

「ふむふむ、魔物か、よくある話だ。どんなに栄えた街でも魔物1匹に滅ぼされるなんでことはある。どこの街にも勇者みたいな強い人間がいる訳でもないしな………そうだ!その魔物を倒せば上手いこと行くかも……」

「ラキナさん?もしかしなくても私達を利用して布教しようとしてますか?」

「もちろんだ!私にないものは魔法の力と信頼だ。利用できるものがあればどんなことだろうと使わせてもらう」

正直な人だなぁ

「……とりあえずこいつらは放置して街の方に行くわ。どうせ街がそんな状況なら通る人もいなさそうだし」

「街に行っても引き取ってもらえないんじゃ尚更なのだ」

ということで盗賊達は放置して街の方へ行くことにした。

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