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コミュ障だけど転生したし、なんだかいけそうな気がします!!

soltier

静寂の死霊

クロエ視点
廃墟の中で一夜を過ごすことになった。
わたしとルーナとリィアで魔物を警戒していたら不自然な音が聞こえた。
魔物の反応はなく最初は風かなにかの自然現象かと思ったが、リィアがやけに不気味がってるしその不安を取り除いてやるためにも見に行くことにした。

ある程度まともな建物だった教会の外に出ると不自然なほどに静かだった。
この辺りに着いた時にはまだあった魔物の反応もいつの間にか無くなっていて、風もなく聞こえるのはリィアとルーナの会話だけだった。

さっき音のした方に向かってみると、また音がした。
わたしはリィアとルーナの先に音のする方へ向かう。

すると突然黒い何かが集まってきた。
そしてさっきまで何も反応のなかった探知魔法にものすごい反応があった。

「うわあぁ!?」

「クロエさん!!ひっ!?」

「なにあれ!?ちょっリィアどうしよう……リィア?リィア!?」

そしてさっきっから怖がっていたリィアが気絶してしまった。

よりにもよってリィアが……

「ルーナ!光魔法を使うのだ!今すぐ逃げる!」

黒い塊は形を変え、おぞましい化け物に変わっていた。

霊体の集まり……多くの人が殺された後か?
恨みや憎しみが死霊となり時間をかけてひとつに合わさっていく。
師匠が霊体に詳しくわたしにもいくらか教えてくれたが当時のわたしにはあまり理解することが出来なかった。

とりあえず今は逃げることが大事だ、サーティアやテナはまだ寝てるかもしれない

死霊の化け物と対峙すると異様なほど寒気を感じ、恐怖感が湧き出てくる。
恐らく自然と闇属性の魔法が発動されている
このままじゃみんな呪い殺される。

死霊は物理的なことは何も出来ない。師匠みたいに身体のある者もいるがこいつは実体がないやつだと思う。

「ひ、光魔法?わかった。シャイニング!」

ルーナが放ったのは攻撃魔法ではなく単純に光り輝く魔法。
だがこれだけの光には相手も怯むはず……

「ルーナ!逃げるのだ!」

わたしは強化魔法を使ってリィアを抱き抱え、サーティアとテナの元へ急ぐ。

「な、なんなのあれ!?」

「呪いの塊みたいなものなのだ。このままじゃ我らも呪い殺されるのだ!」

恐らくは夜になると現れるのだろう。魔物達にとって廃墟はいい住処になる。それなのにいないのは明らかにおかしい
ここのところ人の居ない自然の中で移動することがなさすぎてあんまり意識してなかった。

「ルーナ、光を絶やすな、それと回復魔法も有効だ」

「わ、わかった」

こんな時にリィアが気絶したのは本当に厄介だ
強いから精神は見た目通りだということを忘れる

さっきの教会まで急ぎサーティアとテナを起こす。

「サーティア!テナ!今すぐ逃げるのだ!」

少し強めに浄化魔法を使う、さっきリィアにもかけてみたが反応はなかった。

「ひゃあ!?な、なにすんのよ!」

「きゃっ!?な、なにごとですか!?」

「今すぐ逃げるのだ、今ルーナが足止めしている、このままじゃ危ないのだ」

「魔物が現れたのね!リィアは………リィア!」

「リィアは気絶したのだ」

「あの魔物は………」

「テナ、火を空に向かって放て、できる限り明るくして音をたてるのだ」

幽霊などは使役されてない限りは不安定な存在、光や大きな音があると霧散する。
だが殺すことも倒すことも出来ないから条件が揃えばまた現れる。

ちゃんと弔うか光属性の魔法ならなんとかなるがリィアが気絶した状況的に無理だ。

ルーナが倒せればいいが………

「はい、やってみます」

「サーティア、リィアを頼むのだ」

「わかったわ」

ルーナとテナが化け物相手に魔法を撃つ。
さっきまで真っ暗だったところが魔法で照らされる。

が、それをなかったことにするかのようにすぐ闇が覆う

「クロエ!ダメ、全然効いてる気しない」

「動きは速くない、今すぐここを離れれば大丈夫なのだ」

リィアが起きてくれたら倒すことは出来るかもしれないが……今はここを離れるしかない

「テナ、悪いがまた飛んでいけないか?」

「それくらいなら全然!3日間くらいずっと飛んでても平気ですから」

さすがは半龍、言ってることの大きさが違う

「サーティア、ルーナ、早く乗るのだ!」

ものすごい殺気を飛ばしながら化け物が近づいてくる

もう既に呪われている可能性はあるが、今は少しでも早くここを離れなければ

「きゃ!?」

1番化け物の近くで足止めをしていたルーナが急いでこっちに走ったら転んでしまった。

「アンリーシュダークネス!!」

わたしは魔力を解放して翼を広げる。

サーティアとリィアには先に乗って飛んでもらう

「ルーナ!!」

ルーナを拾い上げそのまま化け物を通り抜けて空へ高く飛んだ。

ルーナ1人抱えるだけで飛ぶことが安定しなくなったが、落ちる前にテナが回収してくれた。

「た、助かったのだ………」

「あ、ありがとうクロエ。あたしもうダメかと思ったよ。もう!なんでこういう時に限ってリィアは気絶しちゃうの!」

「私はまだあの魔物?がなんなのかよくわかってないのだけど、なんなのあれ?」

「ゴーストの集合体なのだ。恐らくあの場所には元々ゴーストが沢山いて昼間は魔物の住処になり、夜中はああやって集まって化け物になるみたいなのだ」

「相当酷いことがあったってことよね」

「戦争の後か、魔物に滅ぼされたか……少なくとも祈りもなにもなく死んでいった者たちなのだろう」

「ごめん、あたしの力不足で」

「あれはしょうがないわよ。それより結構荷物とか置いてきちゃったわ!どうしようかしら?」

「朝になればあいつも消えるだろう」

「リィアが起きるのも待たないとね」

怖がっていたこともあったせいか、リィアはうなされているようだ。

「はぁ〜、旅の再開から災難わよね……テナがいなかったら私達どうなってたのってくらいテナには助けられたわ」

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