コミュ障だけど転生したし、なんだかいけそうな気がします!!
閑話 アイリス
ある龍と人間の間に子供が生まれた。
2人は愛し合い、森の精霊の力によって子をなした。
名はアイリス。
顔立ちや声などは両親のものだったが、色だけは2人のどっちにも似つかず、真っ白になっていた。
産まれてすぐ、アイリスは身体が弱く、どんどん衰弱していってしまった。
龍と人間、許されないであろう関係によって頼れる者はいなかった。
初めて出来た子供を見捨てることはできず、人間の親は勇気をだして人間の街へ行き、医者に見てもらうことにした。
珍しく、美しく、目立つ色。人間と龍の子という珍しい種族。
族に狙われるのも時間の問題だった。
医者に診せるまでは順調だった。
しばらく安静にするということでアイリスは病院で入院することになった。
半分人間とはいえ半分は別の種族、その証拠であるしっぽや小さな翼、目など明らかに普通の人間とは異なる。
まず断れるかと思われたがなんと受け入れてくれた。
そして数日、なんとかアイリスは持ち直し、命の危険が無くなった。
なくなったのだが、このまま家に戻って、また同じことが起きてしまったら?と思い、まずは夫婦で話し合おうとした。
しばらくして、アイリスは退院した。
せっかく生まれてきてくれた子供を自分達で育てたい気持ちと、やはり自分達では難しいのではないかという気持ちで葛藤した。
帰り道、運悪く、盗賊に出会ってしまった。
子供を守ろうと必死に戦ったが、結局、子供を奪われてしまった。
そんな時、これでよかったという気持ちを少し感じてしまった。
親として最低な気持ち。このまま自分の手で世話できなくて亡くしてしまうくらいなら、盗賊にやられてしまったという仕方ない免罪符になると思ってしまった。
そんな自分が許せなくなって、精神を病んでしまった。
アイリスは盗賊にさらわれその綺麗な見た目と珍しい種族ということもあり、少し遠い街で売られた。
そして、奴隷として育てられていった。
ドラゴニュートという種族でありながら、突然変異で美しく白い見た目のアイリスはその後、病気にもならず、成長した。
家族も知らない、覚えているのは奴隷商が自分の名前はアイリスだということだけ。この名前は確かに親がそう呼んでいたらしい。
名前だけが、家族を感じられる唯一のものだった。
奴隷といっても、アイリスの価値はものすごく高いと見られていたので、環境は悪くないものだった。食事にと、それとある程度勉強もさせてもらえていた。
ただ戦闘能力に関しては何もなかった。
そして、ついにある国の貴族に観賞用として買われることになった。
遠い国の貴族。アイリスにとって、初めて売り物じゃなくなることだった。
だけど、移動中、不幸なことが起きた。
貴族の馬車が沢山の魔物に襲われたのだ。
護衛は全滅、乗っている人も全員殺された。
アイリスは当然恐怖した。今まで命の危険なんて感じたことがなかったからだ。
だが、魔物がアイリスを襲うことはなかった。
逆に、アイリスにどこか恐怖するようにおずおずとしている様子だった。
「どう、して?」
魔物は答えない。
敵意は感じなく、自分を助けてくれた。魔物は怖いもの、恐ろしいものだと教えられていたが、実はそういうことでもなかったらしい。
魔物達はそのままどこかへ行ってしまった。
知らない場所に、1人残されて、アイリスは途方に暮れた。
今まで気がついたら奴隷商のところにいてひとりきりになることがなかったアイリスにとって、初めて外に出て、初めてのひとりだった。
「どうしたら………うぅ」
生きている以上、生理現象は抑えられず、かわいらしくおなかがなる。
アイリスは本能的に食事を求めた。
最初は馬車にある食料でなんとかなった。
それがなくなるとどうしても狩りをしなくてはいけなくなってしまった。
だけど、周りの生き物は全員アイリスに近寄ろうとすることはなく、近づいても逃げられてしまう。
仕方なく木の実や食べれそうな物を食べた。
最初は全然慣れない生活だったが、ドラゴンという強い種族のおかげかなんとか生活することができた。
そんなある時、アイリスの近くを馬車が通った。
1人で生活していた中での、久しぶりの人間
アイリスにとってはあまりいい気持ちはしなかった。もう一度閉じ込められる。そう思った。
馬車が止まり、中から人間が出てくる。
アイリスの元に来たのは魔物に襲われた貴族の調査だった。
アイリスはそんなことは知らず、自分のことを捕まえに来たのかと思ってそこから逃げた。
知らない場所から知らない場所へ逃げる。
アイリスは改めて孤独になった。
行く場所も何がしたいのかも、何もかもがなかった。まっさらなアイリス。
残っているのは親からもらった名前だけだった。
そして数年が経った。ひとりぼっちの生活にも慣れた頃、ある人間と出会った。
いきなりの出会いだったので、逃げることすらできなかった。
目が合う。
「あ……」
「ねぇ、言葉、わかる?」
アイリスは話しかけられる。久しぶりの人間の言葉だったけど理解することができた。
「えと、あなたは、わたしをいじめない?」
アイリスは身構える。
「いじめたりしないよ。この辺りに街や村はある?」
「えと、わかんない、、けど、あっちの方に、人の気配がある」
もちろんそんなことはアイリスにわからない。
でも、とっさに嘘をついてしまった。
「ありがとう、えと、一緒に来る?」
アイリスにとって孤独は退屈だった。目標も目的もなくただ生きているだけ、そんな生活に飽きていた。
「いいの?」
この提案はアイリスにとって意外なものだった。捕まえるのでは無く誘われる。
他の人間との違いも理解できるようになり、アイリスは自分がいかに異質なものなのかはわかっていた。
「あぁ、もちろん」
人間はアイリスの姿を見ても少し驚くくらいで何も言ってはこなかった。
「君、名前はなんて言うの?」
「アイリス」
「アイリス………か、いい名前だね」
「あり、がと………ん」
「あぁ、僕は龍斗っていうんだ。ある人を探してここまで来たんだけど」
「ごめんなさい、実はわたし、ここがどこなのか知らない。人間のいる場所も」
「そうだったの?まぁ君がいたから良かったよ。一緒に探そう」
そんなことを言われたこと、誰かから必要とされたことのなかったアイリスの心にささる。
「うん」
2人は愛し合い、森の精霊の力によって子をなした。
名はアイリス。
顔立ちや声などは両親のものだったが、色だけは2人のどっちにも似つかず、真っ白になっていた。
産まれてすぐ、アイリスは身体が弱く、どんどん衰弱していってしまった。
龍と人間、許されないであろう関係によって頼れる者はいなかった。
初めて出来た子供を見捨てることはできず、人間の親は勇気をだして人間の街へ行き、医者に見てもらうことにした。
珍しく、美しく、目立つ色。人間と龍の子という珍しい種族。
族に狙われるのも時間の問題だった。
医者に診せるまでは順調だった。
しばらく安静にするということでアイリスは病院で入院することになった。
半分人間とはいえ半分は別の種族、その証拠であるしっぽや小さな翼、目など明らかに普通の人間とは異なる。
まず断れるかと思われたがなんと受け入れてくれた。
そして数日、なんとかアイリスは持ち直し、命の危険が無くなった。
なくなったのだが、このまま家に戻って、また同じことが起きてしまったら?と思い、まずは夫婦で話し合おうとした。
しばらくして、アイリスは退院した。
せっかく生まれてきてくれた子供を自分達で育てたい気持ちと、やはり自分達では難しいのではないかという気持ちで葛藤した。
帰り道、運悪く、盗賊に出会ってしまった。
子供を守ろうと必死に戦ったが、結局、子供を奪われてしまった。
そんな時、これでよかったという気持ちを少し感じてしまった。
親として最低な気持ち。このまま自分の手で世話できなくて亡くしてしまうくらいなら、盗賊にやられてしまったという仕方ない免罪符になると思ってしまった。
そんな自分が許せなくなって、精神を病んでしまった。
アイリスは盗賊にさらわれその綺麗な見た目と珍しい種族ということもあり、少し遠い街で売られた。
そして、奴隷として育てられていった。
ドラゴニュートという種族でありながら、突然変異で美しく白い見た目のアイリスはその後、病気にもならず、成長した。
家族も知らない、覚えているのは奴隷商が自分の名前はアイリスだということだけ。この名前は確かに親がそう呼んでいたらしい。
名前だけが、家族を感じられる唯一のものだった。
奴隷といっても、アイリスの価値はものすごく高いと見られていたので、環境は悪くないものだった。食事にと、それとある程度勉強もさせてもらえていた。
ただ戦闘能力に関しては何もなかった。
そして、ついにある国の貴族に観賞用として買われることになった。
遠い国の貴族。アイリスにとって、初めて売り物じゃなくなることだった。
だけど、移動中、不幸なことが起きた。
貴族の馬車が沢山の魔物に襲われたのだ。
護衛は全滅、乗っている人も全員殺された。
アイリスは当然恐怖した。今まで命の危険なんて感じたことがなかったからだ。
だが、魔物がアイリスを襲うことはなかった。
逆に、アイリスにどこか恐怖するようにおずおずとしている様子だった。
「どう、して?」
魔物は答えない。
敵意は感じなく、自分を助けてくれた。魔物は怖いもの、恐ろしいものだと教えられていたが、実はそういうことでもなかったらしい。
魔物達はそのままどこかへ行ってしまった。
知らない場所に、1人残されて、アイリスは途方に暮れた。
今まで気がついたら奴隷商のところにいてひとりきりになることがなかったアイリスにとって、初めて外に出て、初めてのひとりだった。
「どうしたら………うぅ」
生きている以上、生理現象は抑えられず、かわいらしくおなかがなる。
アイリスは本能的に食事を求めた。
最初は馬車にある食料でなんとかなった。
それがなくなるとどうしても狩りをしなくてはいけなくなってしまった。
だけど、周りの生き物は全員アイリスに近寄ろうとすることはなく、近づいても逃げられてしまう。
仕方なく木の実や食べれそうな物を食べた。
最初は全然慣れない生活だったが、ドラゴンという強い種族のおかげかなんとか生活することができた。
そんなある時、アイリスの近くを馬車が通った。
1人で生活していた中での、久しぶりの人間
アイリスにとってはあまりいい気持ちはしなかった。もう一度閉じ込められる。そう思った。
馬車が止まり、中から人間が出てくる。
アイリスの元に来たのは魔物に襲われた貴族の調査だった。
アイリスはそんなことは知らず、自分のことを捕まえに来たのかと思ってそこから逃げた。
知らない場所から知らない場所へ逃げる。
アイリスは改めて孤独になった。
行く場所も何がしたいのかも、何もかもがなかった。まっさらなアイリス。
残っているのは親からもらった名前だけだった。
そして数年が経った。ひとりぼっちの生活にも慣れた頃、ある人間と出会った。
いきなりの出会いだったので、逃げることすらできなかった。
目が合う。
「あ……」
「ねぇ、言葉、わかる?」
アイリスは話しかけられる。久しぶりの人間の言葉だったけど理解することができた。
「えと、あなたは、わたしをいじめない?」
アイリスは身構える。
「いじめたりしないよ。この辺りに街や村はある?」
「えと、わかんない、、けど、あっちの方に、人の気配がある」
もちろんそんなことはアイリスにわからない。
でも、とっさに嘘をついてしまった。
「ありがとう、えと、一緒に来る?」
アイリスにとって孤独は退屈だった。目標も目的もなくただ生きているだけ、そんな生活に飽きていた。
「いいの?」
この提案はアイリスにとって意外なものだった。捕まえるのでは無く誘われる。
他の人間との違いも理解できるようになり、アイリスは自分がいかに異質なものなのかはわかっていた。
「あぁ、もちろん」
人間はアイリスの姿を見ても少し驚くくらいで何も言ってはこなかった。
「君、名前はなんて言うの?」
「アイリス」
「アイリス………か、いい名前だね」
「あり、がと………ん」
「あぁ、僕は龍斗っていうんだ。ある人を探してここまで来たんだけど」
「ごめんなさい、実はわたし、ここがどこなのか知らない。人間のいる場所も」
「そうだったの?まぁ君がいたから良かったよ。一緒に探そう」
そんなことを言われたこと、誰かから必要とされたことのなかったアイリスの心にささる。
「うん」
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