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コミュ障だけど転生したし、なんだかいけそうな気がします!!

soltier

迷路みたいな坑道

依頼の準備をして、次の日、早速坑道に行くことにした。
今のところ魔物が坑道から出てくることはないみたい。

「厳戒態勢って感じね」

入口の方では何人かが見張っていた。

「あ、あのっ!き、今日はよろしくお願いします」

そしてなんと、今日の案内人は女の子だった。

「もっとごついドワーフが来るものかと思ってたんだけど」

「どういうことかしら?」

サーティアさんとクロエさんが疑問に思い聞いてみると、哀愁漂う表情で彼女が呟いた。

「親方に言われてん、ウチも本当は行きたくなかったんよ!でも、ウチが仕事場で一番役立たずやから………うぅ」

どうやらこの子は下っ端の子らしい。上司?かなんかに案内役を押し付けられたそうだ。
冒険者ギルドの人も申し訳なさそうにしてた。

「案内はちゃんとできそう?」

「うん」

「大丈夫ですよ。私達がちゃんと守りますから。安心してください」


「改めて、私はサーティアよ。この勝利の星達ビクトリースターズのパーティリーダーをしているわ」

「我はクロエ。我にかかればどんな魔物であろうと敵ではないのだ」

「あたしはルーナ。もし怪我してもあたしが治してあげるから」

「わ、私はリィアっていいます。移動の間は私の近くにいれば大丈夫ですから」

久しぶりの自己紹介………でもないか、とはいえ自己紹介は毎回緊張する。
最近はコミュ障じゃないと思ってたんだけど………結局それは慣れた相手に対してだけなんだよね。

「ウチは……じゃなくて、私は……」

「砕けた口調でいいわよ?私達ともそんなに歳離れてないでしょ?」

てっきり小さい女の子かと思ってたけど、そっか、ドワーフは種族的に身長が低いから幼く見えるだけで本当はそうでもないのかな。

「そいじゃあお言葉に甘えて……ウチはナヤっちゅうねん。ここら辺の坑道で働いてる下っ端や。案内は任しとき!その代わりウチのことちゃんと守ってや?」

「一応聞くが戦う能力はあるのだ?」

「働いてるだけあって体力は多少あるんやけど、戦闘はからっきしや、ツルハシしか持ったことあらへんし……魔法も属性魔法は使えへん」

最悪魔物を足止めして逃げてもらうことはできそうだね。

「それだけ聞ければ十分よ」

「もし危なくなっても私達が足止めしますから。その時は逃げてください」

「う、うん。わかった」

「坑道の中に普段魔物とかは出ないの?」

「出えへんことはないな。といっても出てくるのはゴーレムとか弱めの魔物やから親方達が倒していってる。たまに多く発生した時は冒険者が駆除してくれてるんや。今回のはどうしようもないからこないなことになってるんやけど」

なるほどね。それじゃあ魔物自体は元々いたってことだよね。
それで、今回みたいな強い魔物は来たことがなかった、ということは外から来たってことだよね、いや、もしくは長い間眠ってたけど最近起きたのか……地中にいたのを掘り起こしちゃったのか。
いたはずの魔物がいないんだからそのどっちかっぽいね。


「それじゃあ入るわよ」

私達は坑道の中に入った。
中は薄暗いものの、ところどころに明かりが灯されていた。

「地龍だとしたらこの幅でどうやって中に入ったのだ」

クロエさんの言う通り、坑道の道幅はそんなに広くなく、せいぜい大人2人がすれ違える程度しかない

「奥に行ったらもっと狭くなるで。聞いた話だと確か地龍を見たっちゅう場所はちょうど採掘してた場所で割と大きな空間があってな、そこにおってん」

だとしたら外から入ってくるのは無理だよね。考えられるのはまだ子供で身体が小さいとか?
う〜ん、テナちゃんですらあの大きさだったからなぁいたとしたらほんとに産まれて間もないのかもしれない。

「まぁまだ地龍と決まったわけじゃないからね」

「そうね」


警戒しながら坑道を進んでいくが、たまに出るという魔物は現れなかった。

「どのくらいまで進んだのだ?」

結構深くまで進んでると思うんだけど。
正直ここからだと帰り道わかんなくなってる。

「まだ先。大体半分ってとこやな」

「はぁ〜、疲れた。探知魔法ずっと使ってるし、ここ息苦しいし……」

確かにずっと緊張した状態で環境も悪い。

「休憩した方がよさそうですね」

「そうね、今のところ魔物もいないからいいと思うわ」

半分ということできりもいいし疲れたこともあって休憩することにした。
ついでにご飯にすることにした。

「はい、これ、ナヤの分だよ」

ルーナちゃんがナヤさんの分も渡す。

「ええの?」

「もちろん。ナヤさんがいないと私達はどうすることもできませんからね」

「んんっ!?うま!なんやこれ!?」

「でしょ〜?」

普通に帝都で買った出店のやつなんだけど、どうしてルーナちゃんが自慢げなんだろう。


休憩も終わって、さらに進む。

「皆さん!」

そこでやっと、目的の魔物の反応を探知することができた。
まだ遠いけど確かにある。

「我も感じたのだ」

「さらに警戒していくわよ」

「………なぁ、なんで分かるん?」

探知魔法のことを知らないナヤさんは不思議に思うけど、今は説明してられない。

「ナヤ、あたしについてきてね」

「う、うん。えっと、この先をずっとまっすぐ行ったら多分魔物がいる場所」

距離的にもそうだね。
過去にも地龍を探知したことがあるけど、今感じてる魔力と前感じていた魔力とは違う。個体差なのかもしれないけど、本当は地龍じゃないかもしれないね。

「ここから先は私とサーティアさん、クロエさんで見に行きます。ルーナちゃんはナヤさんをお願いします」

「わかった」

こうすれば逃げる時に楽になる。
もし追って来たらルーナちゃんとナヤさんをだき抱えて逃げるしかない。


「絶対音をたてちゃダメよ?」

「わかったのだ」

「はい」

息を潜んで魔物に近づく。
広い空間に出る入口が見えた。
あそこにいるみたい。

ゆっくり近づいて中を覗くと、そこには確かに、ドラゴンがいた。
だけど、昔に見たのとは違ってところどころに鉱石のようなものが付いている。
寝ているのか、丸くなっている。

よく見ると、ドラゴンの後ろに人工じゃない穴がある。あそこからここに入ってきたのかな?

(あれは変異種なのだ。おそらくこの鉱山産まれの龍。特徴はあの身体に付いている鉱石なのだ)

クロエさんはできるだけ静かに話す。

ここに元々いたってこと?

(だとしたら元々いたこの地龍が目覚めたんですか?)

(大きさ的にもここの穴には入れないわ。近くに卵があってずっとここで過ごしてたのかもしれないわね)

ドラゴンは縄張り意識が高く、他のドラゴンは近寄らせない。
地龍は特に地上に特化していて、森や洞窟などによく生息している。
飛龍や火龍など、点々と移動するドラゴンもいるが根城は決まってる

魔物の図鑑で見た内容だ。
多分このドラゴンはここで産まれて、ずっとここで生活していたけど偶然ドワーフ達が掘り当ててしまって見つかっちゃったってわけか。

(このまま追い出すのは悪くないですか?)

そう考えると悪いことをしてるように思えてくる。人間の都合で家を追い出されるのは理不尽だろう。

(でもこのままじゃドワーフのみんなも危ないかもしれないのよ?)

う〜ん、そうだよね。こういう二択は本当に難しい。

(我に提案があるのだ)


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