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コミュ障だけど転生したし、なんだかいけそうな気がします!!

soltier

翼を使って

お城で迷子になったらお姫様と間違えられて皇太子のキッドくんと遊ぶことになってしまった。

「見てみて!」

キッドくんは部屋に飾ってある賞状やトロフィーみたいなのを見せてくる。

「なにかで一番になったの?」

「うん!こっちは剣術、こっちは魔術の」

どうやら帝国では年齢別の実力大会みたいなのがあるみたい。
キッドくんは色んな部門の賞を取っていたみたいだ。
さすがは皇族。ネフィス様が帝国は実力主義だって言ってたっけ?

「すごいね!こんなに賞を取れるなんて!」

素直に褒めると、目に見えて喜んでくれた。
頭を撫でちゃったのはちょっと子供扱いしすぎたかもしれない。

「でしょ?誰が相手でも僕が守ってあげるからね」

「う、うん。ありがとう」

「ですが、キッド様は勉学の方が………あと作法なども……」

なるほどね。まぁお年頃の男の子だから仕方ないと思うんだよね。

「余計なことは言うな!」

「あはは………でも、しっかり勉学や作法ができるようになるともっとかっこよくなれるんだよ。今は大変かもしれないけど、絶対自分のためになるから。私はそういうのがちゃんとできる人に憧れちゃうなぁ」

実際私は中学生以降学校に言っていないから学力は全然ない。作法なんかも勉強したことないから本当にわからないし。
だから貴族の真似事なんて全然出来ないんだね。
言葉遣いだって、ちゃんとできてるのかすら怪しいもん。

その分ゲームで培ってきた戦闘能力や発想力はあると思うんだよね。
………今のキッドくんと私って結構似てるのかもしれない。

「そ、そうかな、強ければいいとおもってたんだけど」

あ、ちょっと反応した。でも、まだ考えを変えないかぁ。
強さだけが全てじゃないって私が言っても説得力ないけど、ちゃんと言わないとね。

「確かに、強さも大事だけど、逆に言っちゃえば強さしかなくなっちゃうってことだよ?」

「それだけじゃ、ダメなの?」

「せっかく今の機会に勉強して強さだけじゃなくて賢さも手に入れられるのに、それを逃すなんてもったいないよね!」

「強くて賢い………」

「それって、最強じゃない?きっとユーリちゃんも強いだけじゃなくて強くて賢いキッドくんが好きだと思うなぁ」

「わかった!僕、頑張るよ」

やった!難しい言葉を使わずに小学生レベルの理論だけど、上手いこといったようだ。

「えらいえらい!その意気だよ」

「おお、なんと!あの頑固なキッド様が」

「キッドくんがごねたら私やユーリちゃんの名前を出すといいと思います。これからもキッドくんのことよろしくお願いします」

召使いさんにアドバイスしておく。

「はい!本当にありがとうございます」


それから私はキッドくんと一緒におしゃべりしたり、遊んだりした。
一通り遊んだあと、私はそろそろ帰ることにする。
サーティアさんが探してるかもしれないし、ずっとここにいる訳にもいかないからね。

「ねぇ、キッドくん、景色のいいところに行きたいなぁ。私このお城に来て日が浅いから案内して欲しくて」

遊んでる途中で何度か外に出たいとか、出口についてそれとなく聞いたけど、キッドくんは帰って欲しくないのか全然話を聞いてくれなかった。
召使いさんもさっきのことで感謝はしてくれているけど、私が帰ることに関しては非協力的だった。

こうなれば強行突破しかない。
外に出れば魔力を解放して飛んででていける。光魔法で周りから見えないようにして街の外に降りれば上手く脱出できるでしょ!

そのために、不自然にならないように外へと案内してもらう。

「ん〜、わかった!僕のとっておきの場所があるんだ。あ、お前はここにいろよ?秘密の場所なんだから」

「はいはい、わかりました。行ってらっしゃいませ」

ということで、召使いさんを置いていってキッドくんと私だけで部屋の外に出る。

偶然サーティアさんとかガーベラさんとかネフィスさんに会わないかなぁ……そしたらこんなことしなくてもよくなるのに。

「こっちこっち。ここを登ると上に出れるんだ」

皇族が城から脱出する用の通路なのだろうか?
明らかに普通の道とは違う。

「わぁ!すごい」

通り抜けると、お城の上に出た。

「ここが僕のお気に入りの場所なんだ。一人になりたい時はいつもここに来るんだ」

確かにここなら誰も来なさそうだし、誰にも見つからなさそう。

「い、意外と高いね………」

正直ちょっと怖い。

「その分帝都を一望できるでしょ?」

「す、すごいね」

「もしかしてお姉ちゃん、怖いの?」

景色はすごいけど風とかを受けて落ちないか不安になる。
この前飛んだ時は自分の無敵感に浸っていたから大丈夫だったけど、高いところは普通に怖い。
私、この後ここから飛ぶんだよね?
大丈夫かなぁ。

「ちょっとだけ」

すると、キッドくんが手を握ってくる。

「僕がいるから大丈夫だよ」

年下の男の子に励まされるなんて……そうだよね!私は今だけお姉ちゃんなんだから、しっかりしないと!

「ありがとう。わわっ!?」

「ほんとに大丈夫?」

「だ、大丈夫大丈夫」

ちょっと怖かった。

「ねぇリィアお姉ちゃん」

「ん?」

「その、あの、ぼ、僕と、結婚してください!」

「…………え?」

思考が追いつかない。どういうことだろう。
結婚?私と?

「僕、元々ユーリお姉ちゃんが好きだったんだけど、リィアお姉ちゃんのことも好きになっちゃったんだ。だから……」

「いやいやいや、色々とおかしいでしょ!?ユーリちゃんはいいの?というか私は………」

「二人とも幸せにする!僕は未来の皇帝だ。二人のためならなんだってできる」

キッドくん私の中の常識ではありえないことをさも平然と言ってのける。

さすがは皇族………まぁ偉い人が一夫多妻なことってあるもんね。
じゃなくて!
ちゃんと断らないと。
でもそれでキッドくんのやる気を失わせたくないなぁ。

なら、私という存在を曖昧にすればいいんじゃないかな?
実は幻みたいな……うん、よし!それでいこう!

「キッドくん。ありがとう。あなたの気持ちは嬉しい。でも、それは出来ないの………キュアアップエンジェル!キラリアフォーム!」

私は魔力を解放して、変身する。
そうだった!変身する時勝手に言葉が………うぅ流石に年下の男の子の前でこれは恥ずかしすぎる。

「…………」

キッドくんはびっくりしすぎて放心状態のようだ。
今のうちに私はキッドくんの手を離して空に飛び立つ。

「元気でね」

「あっ」

光の魔法で姿が見えないようにする。
これでなんとかお城から脱出できたね……後でサーティアさんになんて言おうかな。

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