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コミュ障だけど転生したし、なんだかいけそうな気がします!!

soltier

閑話 セーハ

私の名前は………なんだったけ?っていうかここはどこ?
確か自転車で横断歩道を渡っててそれで………そうだ!私車に引かれて死んだんだ!よね?実は病院で意識不明の植物状態とか?
にしては意識ははっきりしてる。でも周りは見えない。

うーん、記憶は曖昧だけど、とりあえず覚えてることを整理しよう。

えっと、私は普通の女子高生で平和に日本で暮らしてた。オタクだったけどライトノベルや漫画とかアニメとかを嗜んでたくらいだ。
あ〜あと私変なところあったね、私植物に憧れてたんだよね。3大欲求とかないし、日に当たってるだけで食事できるし、成長してるだけで勝手に子孫繁栄もできちゃうし、何より動かなくてもいいからね!


う〜んでもどうしても私の名前とか友達、家族については思い出せない、、今の私ってなんなんだろう?

いつまで考えてたのだろうかもわからない時、私は感覚があることに気づいた。身動きも取れないと思ってたけど、何かを動かせてる感じはする。
それを何度か繰り返していくうちに私は何かから抜け出した。

暗かった世界が一気に明るくなる。

「!?」

なに、これ、森?私の目の前には大きな木が立っていた。そして周りには果実が落ちている。

「あ」と声を出そうとしてるけど全く音がでない、いや、そもそも周りの音が聞こえない。耳がないの?

不思議な感覚に戸惑いながらとりあえず落ちてる果実に近づこうとする。あ、あれ?なかなか上手く進めない。そう思って自分の姿を見てみる。
なにこれ!?植物人間?みたいになってる!?
まさか別の意味での植物人間になってたなんて………夢、にしてははっきりしすぎてるしなぁ。一応手みたいなのと足みたいなのはある。指がないから両手を使って果実を拾う。
食べられるのかな?って私そもそも口あるの?口元を触ってみてもそれらしきものはない。う〜ん、植物は普通根っこから吸収するよね?食べ物は光合成するから食べること自体がないんだけど、、
私はそれらしきものを自分の身体を触りながら探す。

私は元から服を着てるみたいに葉っぱで出来たものがあるんだけど、その中に触手?みたいなのがはえてるんだよね、、うん、、もしかしてここ?
私は恐る恐るそこに果実を持っていく。あっ、ここで合ってるみたい。自然と触手が果実に絡みつく。

まさか下のお口から食べてしまうとは…………ん?てことは果実に座ればそのまま食べれるんじゃ?

いつの間にか一つ目の果実は吸収されていた。よぉし!じゃんじゃん食べてこう!なんかおなかすいてるっていうかエネルギーを欲してるというか、、とにかく何かを吸収したい。

次々に吸収していってこの辺りに落ちている果実は全て食べ尽くしてしまった。
そしてある変化に気づく。私成長してない!?なんか最初より目線高いし、さっきよりも身体が動きやすい。あと、周りの音がわかるようになった。私って動く度にガサガサうるさいんだね………口はないからまだ声は出せない。

大きな木があるところは他の木もひしめき合っていてあんまり空からの光が届かない。植物っぽい見た目だし光合成とかするのかなぁ
あんまり実感がないけど、、もう少し日当たりのいいところに行けばわかるかな。

ここにいたって仕方ないし、とにかく歩こう、誰かに会えるかもだし。


しばらく歩き続けているとちらほらと動物?が現れるようになった。虫はさすがに苦手………葉っぱの部分とか食べられないよね!?いや、食虫植物とかもいるし、こっちが捕食する側なのかもしれない。気持ち悪いからするつもりはないけど。

今更だけどここって地球じゃないよね……もしかしたらめっちゃ未来の世界なのかもしれないけど、少なくとも私みたいな生き物はいなかったし、なんか妙に禍々しい動物とかもいなかったよ。
食べられたりしないか不安だったけど、どうやら大丈夫みたい。私が見えてないのか、それとも見えてるのに無視されてるって感じだったし。

夜になると明かりが全くなくなって何も見えなくなってしまった。
知らない世界でひとりぼっちで真っ暗、、怖くないわけないじゃん!
声が出なくてよかったよ、でてたらわんわん泣いてると思う。


気づいたら寝てたのか、目が覚めると朝になっていた。

え!?周りに動物達が集まってきてる!?
私に寄り添って寝てるんだけど、、かわいい
ありがとうって言いたいけど声がでないし、、っていうかそもそも言葉が通じないか。う〜ん、代わりに撫でてあげよう。
小鳥がどこからか木の実を持って来てくれたり、鹿みたいな動物が背中に乗せてくれたり、動物達に至れり尽くせりだ。私って何者!?私と同じ種族っぽいのは見たことないし、もしかしたら私はこの森の守り神的なものなのかもしれない。


それから、動物達の案内で日当たりのいい場所まで着くことができた。
おぉぉ〜これが光合成………ってよく分からんわ。でも深い森にいた時よりも元気が出た気がする。
娯楽がないからちょっと退屈だけどなんとかやってけそうだね。

そんなこんなで1ヶ月くらい経った。毎日光合成して動物達とたわむれて、ちょっと退屈だったけど慣れればそうでも無い。そんなある時また私の身体に異変が起きた。

最初は気づかなかったんだけど、髪?葉っぱ?まぁとにかく頭の方につぼみがあったみたいで、いつの間にか花が咲いてたの。
そしたら周りの動植物がおかしくなって……

私の周りで他の花達は咲き誇り、動物達も……その……生殖し始めちゃって……私もなんかずっと変な感じするし。怖くなってその場から離れたけど移動すると周りの植物からは花が段々と咲いていくし、、動物達も血走ったような感じになる。襲ってはこないけど、怖い。

うぅ……ムズムズする。もしかして私もそういう気分に?でも私植物だし……いや、植物でもオスメスがあったりするのもあるから私もそうなのかもしれない。前世でも多少はあったけど、ここまで切なくなったことはない。この身体じゃどうしたらおさまるのかもわからないし、、

悶えながら歩いていき、おさまるまで3日もかかった。花がとれて実のようなものがつく。植物のいう実って実質子供?なのかな?
さすがに自分で食べようとは思えなかった。
動植物達もいつも通りに戻る。

今回のことで私についてがよくわかった。守り神というより命を与えるというか、豊穣の神様的なものなんじゃないかな?もしくは恋愛成就の神様といったところかな?
普通の生き物じゃないとは思ってたけどここまで周りを変えるってなると怖い。

自分について悩んでると誰かの声が聞こえた。
人?明らかに動物の鳴き声じゃないし、、行ってみよう!

「がぅ!ぐるるるるる」

「いや!来ないで!!」

女の子が襲われそうになってる!?助けないと!!

私はとっさにツルを伸ばして狼?に絡みつく。暇な時間に動かす練習しておいてよかった。

「ひ!?」

狼を落ちつかせてなでなでしてあげる。

「くぅ〜ん」

狩りの邪魔しちゃってごめんなさい、でもこの子は許してあげて。

よかった。狼は諦めてくれた。代わりに私についてる実を一つあげる。

改めて女の子に向き合う。けど、まだ怯えてるみたい。

「あなたは、誰?」

何か話してるみたいだけど、なに言ってるのかわかんない……
私も声が出せないし、どうしよう、、とりあえず友好的ということを伝えないとだね。私は実を一つとって女の子に渡す。

大丈夫だよ〜怖くないよ〜
よし、受け取ってくれた。そうだよね!他の動物達も自然に懐いてくれるんだから人だって変わんないよね。うん!なんだかいけそうな気がする。

あ、そうだ!他の人とかはいないのかな?迷子?
うーん会話とかできたらいいんだけどなぁ……

「ありがとう」

ん?あれ!?言葉はわかんないけど、気持ちが伝わってくる。
私の実を食べたから?もしかしたら私からも伝わるかもしれない!

(あなたはどこからきたの?)

つ、伝われ〜

「わわ!?なにこれ?あなたが話してるの?えっとわたしはこの近くの村に住んでるの薬草をさがしてて」

伝わった!そしてわかる!わかるぞ!!これならそのうち言葉も理解できるかもしれない。

村ねぇ、行ってみたいけど、今の私の姿にびっくりしないかな……

(案内できる?)

場所だけとりあえず知っておくといいかもしれない。

「えっと、迷っちゃって、帰り道わかんないの」

あぁ〜

(それじゃあ危ないから私と一緒に行かない?)

「うん!」

(名前はなんていうの?)

「わたしの名前はティア!あなたは?」

私!?私の名前思い出せないんだよね……生まれ変わってるしなにか適当に、う〜ん

(よかったら名前をつけてくれない?)

「名前、ないの?わかった、じゃあね〜、名前はセーハなんてどうかな?聖なる葉っぱって意味なの」

セーハ……いいね!



「ねぇセーハ、この村もすっごく発展したと思わない?」

「村というか国になっちゃったけどね」

「時間が経つのは早いね、、私たちが出会ったのって何年前だっけ?」

「もう100年は経つんじゃない?ティアがまだちっちゃい時だったし」

「もうそんなに?セーハはいつまでも変わらないよね」

「ティアだって、エルフだから全然まだ寿命長いでしょ?」

「これからもよろしくねセーハ」

「何?改まって、照れるじゃん」

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