異世界の親が過保護過ぎて最強
──第82話──
俺は意識は冒険者の方へ向けたまま、視線だけを声の方へと向けた。
そこにいたのは、顔を真っ青にさせたテトとセシル。
二人は俺の方へと駆け寄り、テトが口を開いた。
「ルディ、腹が立つ気持ちも分かるけどさ……」
「先に手を出したのは向こうだろ。」
俺は睨み付けてくる冒険者の方へと視線を戻しながら答えた。
喧嘩は先に手を出す方が悪いと思うんだけど?
何で俺が止められなきゃなんねぇんだよ。
セシルもテトと同様に、慌てた様子で言葉にする。
「そ、それはそうだけどよ……その、殺気…つーの?……収めてくれねぇかな……ここにいる奴らが怯えててよ……」
「知るかよ。」
俺の殺気なんかで誰が怯えるんだよ。
それより、目の前のこいつらをどうしようか……。
「僕達はルディが心配なんだよ!」
「は?」
心配?
何が?
俺はこいつらに負けるつもりなんてねーぞ。
俺の疑問にテトは俺の肩に手を置き、続けて言葉にする。
「こ、こんな所、兵士に見付かったら……」
「何の騒ぎだ?」
テトが俺の肩に手を置いた瞬間に動きだそうとしていた三人の冒険者。
それに対応しようとして、テトの手を振り払おうとした俺。
真っ青になりながらも俺を止めようとしているテトとセシル。
その全員の目が声のする方を見る。
その姿を見て、一番に声を発したのはセシルだった。
セシルは舌打ちをしながら、俺とテトに聞こえる程度の声で言葉にする。
「チッ……よりによって騎士団かよ……。」
「最近うろうろしてるのは知ってたけど……今、会うなんて……」
騎士団の数名が向こうの冒険者の方へ行き、一人の騎士団が俺の方へ向かってきた。
テトとセシルは俺を守ろうと、騎士団と俺の間に入る。
その様子に向かってきた騎士団の人が苦笑を漏らし、俺の方を見る。
「やあ、ルディ。これは何の騒ぎかな?」
「よぉ、エヴァン。喧嘩売られたから買っただけだ。」
俺が騎士団の人に知り合いがいる事に驚いたのか、セシルとテトは俺の方を見てきた。
エヴァンは肩を竦めながら、言葉を放つ。
「もう少し穏便にする事は出来なかったのか?」
「先に手を出したのは向こうだ。ここにいる奴らにでも聞けば良い。喧嘩なんて日常茶飯事だろ?」
「冒険者同士の喧嘩は確かに多いな。周りに迷惑を掛けず、楽しめる範囲なら、こちらとしても黙認する場合もある。……が、周りの様子を見てもただ事では無いと思うのだが。」
「そうか?こんなもん喧嘩にも入らんだろ。」
ネロやラルフとする喧嘩と比べると全然だぞ?
あいつら、俺が治癒使えるからって、本当に容赦無いからな。
それに、組み敷いて殴りかかってる訳でも無いし。
ただ吹き飛ばしただけだから、そんな大事にもなってないと思うんだけど。
俺の答えにエヴァンは手を口に当て、言葉を放つ。
「……ふむ。だが、目の前で問題がある以上、無視出来ない。」
「ならどーすんだ?俺をしょっぴくか?」
エヴァンが目を閉じて何かを考えていると、他の騎士団の人達がエヴァンに声を掛けた。
「団長、こいつらどうしますか?」
「そいつらは連れていけ。」
「あ、あの……そちらの〈神の子〉は……」
「ん?……あぁ、俺が連れていく。お前らは先に行ってくれ。」
「はっ!」
騎士団の人達は敬礼をすると、騒ぐ三人の冒険者を連れて行った。
俺の、このやり場のない気持ちはどうしたら良いんだ?
そんな事を思い、エヴァンを睨み付けるが、エヴァンは苦笑するだけだった。
「ルディ、すまないが ついてきてくれるか?」
「…………はぁ、分かったよ。」
俺の返事に驚いたのはテトとセシルだった。
「え!?ルディ!?」
「おいお前!ルディに何かしやがったら許さねぇからな!」
エヴァンは苦笑したまま歩き出し、俺は二人に手を ひらひら と振ってエヴァンの後を追った。
「───て事があったんだよっ!」
ガヤガヤと騒がしい、いつもの食堂。
テトはギルドであった出来事をセシルと共に、ネロとラルフに話していた。
「ルディは相変わらずだな。すぐに怒る。」
「あはははははは!!僕もその場にいたかったよー!」
ネロもラルフも聞きながら凄く笑っていた。
セシルはぐびーっとお酒を飲み、ゴンッと机に置く。
「俺は肝が冷えるかと思ったぜっ!ルディの殺意で誰も動けなかったからな!!」
「そうだよ!誰か一歩でも動いたらヤバいって感じでさ!ルディの顔もちょー怖いし!!」
「そんなに怒ってないぞ?イラッとはしたけど。」
「「それを怒ってるって言うんだよっ!!」」
「ぇー……。」
殺そうとまでは思って無かったし……
そんなに怒って無かったと思うんだけど……。
テトとセシルのダブル突っ込みの勢いに押されてしまった。
ラルフはそんな様子を見て陽気に笑う。
「あはははははは!!ルディ、面白そうな事してたんだねー!!」
「「面白くないっ!!」」
「あはははははは!!」
テトとセシルはラルフの言葉を否定する。
ネロは笑いを堪えながら俺に声を掛けてきた。
「で、エヴァンに連れてかれたって訳か。」
「あぁ、まぁな。」
「それで?それで?ルディはエヴァンに何かされたのー??」
「いや?ただ、お茶出されて、落ち着いてから帰れって言われただけだな。」
「そーだろうな。エヴァンから聞いたが、その冒険者の連中はよく問題を起こしてるらしいぞ。ま、今回は罰金だけだとさ。」
「ふーん……殴っときゃ良かったかな。」
ネロの言葉に俺が返すと、テト、そしてセシルが俺の方に詰め寄る。
「良くないからね!?お咎めが無かっただけでも驚きなのに!!」
「普通なら罰金、もしくは収容されるんだぜ!?騒ぎが大きすぎると、ギルド出入り禁止とか国外追放まであるんだからな!?」
「へぇ、知らなかった。」
「「覚えといてっ!!」」
まぁ……
だからこそ、この国の治安は良いのかもしれないな。
テトとセシルの言葉に俺は苦笑しながら、飲み物で喉を潤した。
そこにいたのは、顔を真っ青にさせたテトとセシル。
二人は俺の方へと駆け寄り、テトが口を開いた。
「ルディ、腹が立つ気持ちも分かるけどさ……」
「先に手を出したのは向こうだろ。」
俺は睨み付けてくる冒険者の方へと視線を戻しながら答えた。
喧嘩は先に手を出す方が悪いと思うんだけど?
何で俺が止められなきゃなんねぇんだよ。
セシルもテトと同様に、慌てた様子で言葉にする。
「そ、それはそうだけどよ……その、殺気…つーの?……収めてくれねぇかな……ここにいる奴らが怯えててよ……」
「知るかよ。」
俺の殺気なんかで誰が怯えるんだよ。
それより、目の前のこいつらをどうしようか……。
「僕達はルディが心配なんだよ!」
「は?」
心配?
何が?
俺はこいつらに負けるつもりなんてねーぞ。
俺の疑問にテトは俺の肩に手を置き、続けて言葉にする。
「こ、こんな所、兵士に見付かったら……」
「何の騒ぎだ?」
テトが俺の肩に手を置いた瞬間に動きだそうとしていた三人の冒険者。
それに対応しようとして、テトの手を振り払おうとした俺。
真っ青になりながらも俺を止めようとしているテトとセシル。
その全員の目が声のする方を見る。
その姿を見て、一番に声を発したのはセシルだった。
セシルは舌打ちをしながら、俺とテトに聞こえる程度の声で言葉にする。
「チッ……よりによって騎士団かよ……。」
「最近うろうろしてるのは知ってたけど……今、会うなんて……」
騎士団の数名が向こうの冒険者の方へ行き、一人の騎士団が俺の方へ向かってきた。
テトとセシルは俺を守ろうと、騎士団と俺の間に入る。
その様子に向かってきた騎士団の人が苦笑を漏らし、俺の方を見る。
「やあ、ルディ。これは何の騒ぎかな?」
「よぉ、エヴァン。喧嘩売られたから買っただけだ。」
俺が騎士団の人に知り合いがいる事に驚いたのか、セシルとテトは俺の方を見てきた。
エヴァンは肩を竦めながら、言葉を放つ。
「もう少し穏便にする事は出来なかったのか?」
「先に手を出したのは向こうだ。ここにいる奴らにでも聞けば良い。喧嘩なんて日常茶飯事だろ?」
「冒険者同士の喧嘩は確かに多いな。周りに迷惑を掛けず、楽しめる範囲なら、こちらとしても黙認する場合もある。……が、周りの様子を見てもただ事では無いと思うのだが。」
「そうか?こんなもん喧嘩にも入らんだろ。」
ネロやラルフとする喧嘩と比べると全然だぞ?
あいつら、俺が治癒使えるからって、本当に容赦無いからな。
それに、組み敷いて殴りかかってる訳でも無いし。
ただ吹き飛ばしただけだから、そんな大事にもなってないと思うんだけど。
俺の答えにエヴァンは手を口に当て、言葉を放つ。
「……ふむ。だが、目の前で問題がある以上、無視出来ない。」
「ならどーすんだ?俺をしょっぴくか?」
エヴァンが目を閉じて何かを考えていると、他の騎士団の人達がエヴァンに声を掛けた。
「団長、こいつらどうしますか?」
「そいつらは連れていけ。」
「あ、あの……そちらの〈神の子〉は……」
「ん?……あぁ、俺が連れていく。お前らは先に行ってくれ。」
「はっ!」
騎士団の人達は敬礼をすると、騒ぐ三人の冒険者を連れて行った。
俺の、このやり場のない気持ちはどうしたら良いんだ?
そんな事を思い、エヴァンを睨み付けるが、エヴァンは苦笑するだけだった。
「ルディ、すまないが ついてきてくれるか?」
「…………はぁ、分かったよ。」
俺の返事に驚いたのはテトとセシルだった。
「え!?ルディ!?」
「おいお前!ルディに何かしやがったら許さねぇからな!」
エヴァンは苦笑したまま歩き出し、俺は二人に手を ひらひら と振ってエヴァンの後を追った。
「───て事があったんだよっ!」
ガヤガヤと騒がしい、いつもの食堂。
テトはギルドであった出来事をセシルと共に、ネロとラルフに話していた。
「ルディは相変わらずだな。すぐに怒る。」
「あはははははは!!僕もその場にいたかったよー!」
ネロもラルフも聞きながら凄く笑っていた。
セシルはぐびーっとお酒を飲み、ゴンッと机に置く。
「俺は肝が冷えるかと思ったぜっ!ルディの殺意で誰も動けなかったからな!!」
「そうだよ!誰か一歩でも動いたらヤバいって感じでさ!ルディの顔もちょー怖いし!!」
「そんなに怒ってないぞ?イラッとはしたけど。」
「「それを怒ってるって言うんだよっ!!」」
「ぇー……。」
殺そうとまでは思って無かったし……
そんなに怒って無かったと思うんだけど……。
テトとセシルのダブル突っ込みの勢いに押されてしまった。
ラルフはそんな様子を見て陽気に笑う。
「あはははははは!!ルディ、面白そうな事してたんだねー!!」
「「面白くないっ!!」」
「あはははははは!!」
テトとセシルはラルフの言葉を否定する。
ネロは笑いを堪えながら俺に声を掛けてきた。
「で、エヴァンに連れてかれたって訳か。」
「あぁ、まぁな。」
「それで?それで?ルディはエヴァンに何かされたのー??」
「いや?ただ、お茶出されて、落ち着いてから帰れって言われただけだな。」
「そーだろうな。エヴァンから聞いたが、その冒険者の連中はよく問題を起こしてるらしいぞ。ま、今回は罰金だけだとさ。」
「ふーん……殴っときゃ良かったかな。」
ネロの言葉に俺が返すと、テト、そしてセシルが俺の方に詰め寄る。
「良くないからね!?お咎めが無かっただけでも驚きなのに!!」
「普通なら罰金、もしくは収容されるんだぜ!?騒ぎが大きすぎると、ギルド出入り禁止とか国外追放まであるんだからな!?」
「へぇ、知らなかった。」
「「覚えといてっ!!」」
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