異世界の親が過保護過ぎて最強
──第55話──
その次の日の昼。
何事も無かった様に手当てされた姿のラルフが帰って来た。
ラルフを見たネロは、怒鳴り声をあげる。
「ラルフ!お前、確めたい事があんなら先に言っとけよ!こんな騒ぎ起こさなくても良かったかもしれないだろ!?」
「えぇ!?ご、ごめん??」
ラルフはネロの言葉の勢いに反射的に謝る。
「ルディもだ!」
「俺もか!?」
怒りの矛先が俺にまで向いてきた。
何で俺っ!?
「ラルフの怪我だよ!聞いてた話より酷いじゃないか!!」
「僕は大丈夫だよ……?」
「ラルフがそう言うから……さ……?」
ネロのあまりの剣幕に俺とラルフはたじろぐ。
俺だってラルフの怪我が心配だったけどさ。
なんとなく、そこまで大袈裟に言わなくても良いかなって思ったり……
ヘタにネロに心配かける事も無いかなって……
「ちゃんと事実を伝えろよ!主観じゃなく客観的に見ろ!!そうじゃねぇとこっちが理解したくても出来ねぇ!!」
「俺はちゃんと伝えたつもりなんだけど」
ゴチンッ!
「──~っ!!」
「出来てねぇから言ってんだろうがっ!!この頭には脳ミソが入ってねぇのか!?」
俺の思いはネロに届かず、ネロの重い鉄拳が頭を貫く。
すぐに殴るの止めてくれないかな!?
俺は頭を抑えて睨む事でネロに抗議をするが、ネロはすぐにラルフへと顔を向けた。
「ラルフ!!」
「は、はいっ!?」
今までの俺とのやり取りを見ていたからか、ラルフは背筋を伸ばしてネロに返事をする。
「やりたい事があるなら前以て言え!!こっちが手助けしようにも、何も知らねぇと動けるものも動けなくなるんだよ!!」
「わ、わかった!!」
「それと!無意味な怪我はするなっ!」
「で、でも、ちょっと確めたい事があったから」
「だからっ!それをっ!先にっ!!俺達に言っとけって言ってんだよ!!」
「うぇ!?」
ネロの手によってラルフの頬が四方八方に引っ張られ、ラルフは喋りにくそうにしていた。
「この口は飾りか!?」
「ほ、ほへぇんにゃひゃい!!」
ラルフの頬を引っ張るのに満足したのかネロが手を離すと、ラルフは赤くなった頬を両手で涙目になりながら擦る。
「ひどいよー、ネロ。これなら、まだ殴られる方が」
「殴ってやろうか?」
ラルフの言葉にネロが拳を振り上げると、ラルフは慌てて手を振り、否定した。
「ち、違う!」
「殴って欲しいなら言えよ。」
「そんな事思ってないから!!」
意地悪な笑みを浮かべるネロが一歩ラルフへ歩み寄ると、ラルフは一歩後退する。
ネロは一つ大きなため息を吐くと、自分のベッドに腰かける。
俺とラルフもその様子を見て、それぞれのベッドに座った。
ネロは両腕と足を組むと口を開いた。
「で?ラルフは一体何を確かめたかったんだ?」
「そうそう、俺も気になってたんだよ。」
「えっとねー、“もどき”は捕まえちゃうと死んじゃうって話はネロがしてたでしょ?」
「そうだな。」
「捕まえてすぐに死ぬって事は、何かきっかけが無いと死なないんじゃないかなって思ったんだよね。」
「どういう事だ?」
俺は言葉の意味が理解出来ずにラルフに質問をする。
「そうだなー……。魔術や魔法、あと物理的なやり方だったとしても、何か行動を起こさないと“死ぬ”って結果は出ないと思ったんだよねー。だから、僕が捕まえて死ぬ間際を見たかったんだよね。」
確かに、魔術や魔法を使うなら魔力を集める動作が必要になる。
物理的に爆発物を持っていたとしても、スイッチを押すとか……何かしらの動作が必要だ。
“もどき”は捕まったらどんな行動に出るのか、をラルフは確認したかったのか。
俺が思案に耽っていると、ネロがラルフに続きを促す。
「それで、何か分かったのか?」
「少しだけ、かな?爆発する前に口の中に魔力を集めだしたんだよね。」
「「口の中??」」
俺とネロの声がハモってしまった。
「そう、口の中。何でだろうって思って、良く見ようとしたら、バーンって爆発したんだよねー。」
「魔力を集めたって事は何か魔道具を持ってたって事か?」
「口の中に??」
ネロが考えを口にし、俺は疑問を投げ掛ける。
口の中に魔道具仕込むって、どこにだよ。
「……スゴく小さいの、とか?」
ネロは聞いてくるが誰もどんなモノなのか想像出来なかった。
「わかった!!次、現れたら捕まえてみよう!!」
「「どうやってだよ。」」
「うーん?頑張って??」
頑張って捕まえられたら苦労しないよ、ラルフ。
捕まえても死ぬから困ってんじゃん。
「まぁ……そこの所はまた考えて行けば良いか。」
「そうだな。」
「そうだねー!」
「所で、ルディ。ラルフの治療はしないのか?」
あ、忘れてた。
ラルフが帰ってきた途端、ネロが凄い剣幕だったもので。
俺は、ラルフの顔に貼ってあるガーゼを取ると、爛れたり瘡蓋になっている皮膚が現れる。
痛そう……。
爆発に巻き込まれたんだから、他にも見えない所に傷があるかもしれないな。
そう考えた俺は、ラルフに【治癒】の魔法を施し怪我を治す。
治し終わると、ラルフの顔は血色が良くなった様に見えた。
やっぱり我慢してたのか。
痛いなら痛い、しんどいならしんどいって言えよ。
言われなきゃ分かんないよ、俺。
「ありがとー!ルディ!!」
「どーいたしまして。」
元気になったラルフを見て、俺は笑いながら言葉を交わした。
何事も無かった様に手当てされた姿のラルフが帰って来た。
ラルフを見たネロは、怒鳴り声をあげる。
「ラルフ!お前、確めたい事があんなら先に言っとけよ!こんな騒ぎ起こさなくても良かったかもしれないだろ!?」
「えぇ!?ご、ごめん??」
ラルフはネロの言葉の勢いに反射的に謝る。
「ルディもだ!」
「俺もか!?」
怒りの矛先が俺にまで向いてきた。
何で俺っ!?
「ラルフの怪我だよ!聞いてた話より酷いじゃないか!!」
「僕は大丈夫だよ……?」
「ラルフがそう言うから……さ……?」
ネロのあまりの剣幕に俺とラルフはたじろぐ。
俺だってラルフの怪我が心配だったけどさ。
なんとなく、そこまで大袈裟に言わなくても良いかなって思ったり……
ヘタにネロに心配かける事も無いかなって……
「ちゃんと事実を伝えろよ!主観じゃなく客観的に見ろ!!そうじゃねぇとこっちが理解したくても出来ねぇ!!」
「俺はちゃんと伝えたつもりなんだけど」
ゴチンッ!
「──~っ!!」
「出来てねぇから言ってんだろうがっ!!この頭には脳ミソが入ってねぇのか!?」
俺の思いはネロに届かず、ネロの重い鉄拳が頭を貫く。
すぐに殴るの止めてくれないかな!?
俺は頭を抑えて睨む事でネロに抗議をするが、ネロはすぐにラルフへと顔を向けた。
「ラルフ!!」
「は、はいっ!?」
今までの俺とのやり取りを見ていたからか、ラルフは背筋を伸ばしてネロに返事をする。
「やりたい事があるなら前以て言え!!こっちが手助けしようにも、何も知らねぇと動けるものも動けなくなるんだよ!!」
「わ、わかった!!」
「それと!無意味な怪我はするなっ!」
「で、でも、ちょっと確めたい事があったから」
「だからっ!それをっ!先にっ!!俺達に言っとけって言ってんだよ!!」
「うぇ!?」
ネロの手によってラルフの頬が四方八方に引っ張られ、ラルフは喋りにくそうにしていた。
「この口は飾りか!?」
「ほ、ほへぇんにゃひゃい!!」
ラルフの頬を引っ張るのに満足したのかネロが手を離すと、ラルフは赤くなった頬を両手で涙目になりながら擦る。
「ひどいよー、ネロ。これなら、まだ殴られる方が」
「殴ってやろうか?」
ラルフの言葉にネロが拳を振り上げると、ラルフは慌てて手を振り、否定した。
「ち、違う!」
「殴って欲しいなら言えよ。」
「そんな事思ってないから!!」
意地悪な笑みを浮かべるネロが一歩ラルフへ歩み寄ると、ラルフは一歩後退する。
ネロは一つ大きなため息を吐くと、自分のベッドに腰かける。
俺とラルフもその様子を見て、それぞれのベッドに座った。
ネロは両腕と足を組むと口を開いた。
「で?ラルフは一体何を確かめたかったんだ?」
「そうそう、俺も気になってたんだよ。」
「えっとねー、“もどき”は捕まえちゃうと死んじゃうって話はネロがしてたでしょ?」
「そうだな。」
「捕まえてすぐに死ぬって事は、何かきっかけが無いと死なないんじゃないかなって思ったんだよね。」
「どういう事だ?」
俺は言葉の意味が理解出来ずにラルフに質問をする。
「そうだなー……。魔術や魔法、あと物理的なやり方だったとしても、何か行動を起こさないと“死ぬ”って結果は出ないと思ったんだよねー。だから、僕が捕まえて死ぬ間際を見たかったんだよね。」
確かに、魔術や魔法を使うなら魔力を集める動作が必要になる。
物理的に爆発物を持っていたとしても、スイッチを押すとか……何かしらの動作が必要だ。
“もどき”は捕まったらどんな行動に出るのか、をラルフは確認したかったのか。
俺が思案に耽っていると、ネロがラルフに続きを促す。
「それで、何か分かったのか?」
「少しだけ、かな?爆発する前に口の中に魔力を集めだしたんだよね。」
「「口の中??」」
俺とネロの声がハモってしまった。
「そう、口の中。何でだろうって思って、良く見ようとしたら、バーンって爆発したんだよねー。」
「魔力を集めたって事は何か魔道具を持ってたって事か?」
「口の中に??」
ネロが考えを口にし、俺は疑問を投げ掛ける。
口の中に魔道具仕込むって、どこにだよ。
「……スゴく小さいの、とか?」
ネロは聞いてくるが誰もどんなモノなのか想像出来なかった。
「わかった!!次、現れたら捕まえてみよう!!」
「「どうやってだよ。」」
「うーん?頑張って??」
頑張って捕まえられたら苦労しないよ、ラルフ。
捕まえても死ぬから困ってんじゃん。
「まぁ……そこの所はまた考えて行けば良いか。」
「そうだな。」
「そうだねー!」
「所で、ルディ。ラルフの治療はしないのか?」
あ、忘れてた。
ラルフが帰ってきた途端、ネロが凄い剣幕だったもので。
俺は、ラルフの顔に貼ってあるガーゼを取ると、爛れたり瘡蓋になっている皮膚が現れる。
痛そう……。
爆発に巻き込まれたんだから、他にも見えない所に傷があるかもしれないな。
そう考えた俺は、ラルフに【治癒】の魔法を施し怪我を治す。
治し終わると、ラルフの顔は血色が良くなった様に見えた。
やっぱり我慢してたのか。
痛いなら痛い、しんどいならしんどいって言えよ。
言われなきゃ分かんないよ、俺。
「ありがとー!ルディ!!」
「どーいたしまして。」
元気になったラルフを見て、俺は笑いながら言葉を交わした。
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