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幻灯箱の紅い薔薇

きあき

溶ける星~真夏の白昼無人街~

真夏の炎天下の中
居場所を求めて
ボクは彷徨い歩く

アスファルトからは陽炎がたち
揚羽あげはが花から花へひらひらと舞う
誰もいない道を彷徨い歩く

じりじりと焼けつく太陽が
ぼくを溶かす
一台の車が
窓を閉め切って涼しい顔で
排気ガスを撒き散らかして
通り過ぎていく

蝉が一斉に泣き始め
いよいよ太陽が
ぼくの真上へやってくる
日陰を求めてぼくは
白く光る団地内へ入る
窓を閉め切った部屋から
昼のTVの笑い声が聞こえる
室外機から出る熱風が
ますます
ぼくを溶かしていく

行き場もなく
彷徨って彷徨って
ぼくは溶けていく
秋がやってくるまで・・・

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