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幻灯箱の紅い薔薇

きあき

月ノ音

月は青白く輝き
都市の影を浮かびあげる
真っ赤なドレスをひるがえして
君はぼくから翔けて逝く
その白い腕をつかみ
ぼくは意識を失う

闇が深まり
月は力を増し
耳障りな音を響かせている

昼の熱を放つ
アスファルトの上を
ぼくは
真っ赤な薔薇を抱えて
一人きり歩く
都市の雑音は遠く
ただ
月の音だけが聞こえる

コンクリ工場の
白く浮かびあがるジャリの山
はらはら散る赤い花びら
ぼくはジャリの山の
てっぺんに
真っ赤な薔薇を埋めた

月の音をレクイエムにして

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