Money of a life 〜2人の参加者の物語〜

SERO

壱章 第仁話 再会

『キーーー』
鉄扉が開く音が聞こえるのと同時に深呼吸した。

「佐々木様、こちらの扉をくぐりますとゲームが開始します。準備できましたら、中へお入りください」

扉の前まで連れてきてくれた人にそう言われ、俺はほんの少し間を置いて扉をくぐり中に入ると、
日常では味わったことのない威圧感に風が吹いたかと錯覚するほどの、空気に触れながらも少しずつ前に歩いていった。

数分歩いていると、来た道がもうわからなくなるぐらいの森林に覆われており、脳死で歩いていると、遭難しそうなほどだった。

「やばいなこんな状況で秋斗を探し出すのは至難の業だな、とりあえず宝物を探しつつ人と出会ったら対話を測ってみるか」

俺は周りをキョロキョロしながら、怪我をしないように最善の注意を払いながら歩いて1時間。
森林を抜けそこには浜辺に出ていた。

「今回のフィールド森林だけじゃ無くて、ビーチまでもフィールド内なのね」

そう言いつつ海に近づいて、水平線を見ていると一つ違和感に気づいた。
その違和感を気づいたのと同時に別方向から、誰かが叫んでいるのに気がついた。

「おぉーーい!」

そう叫びながら、こっちに向かってくる人影が徐々に近づいてきた。

「なんだあのバカは」

そう呟きながら近づいてくる人影を、よーく見てみると右手で何かを取り出したのがわかった。
それに気づいたその瞬間、先程まで走っていたその人影は、野球のピッチャーが投げるかのように、何かを取り出したそれをこちらに投げた。
だが、ノーコンだったらしく、俺の方向に投げたとは到底思えないほど、海側に飛んでいった。
投げた衝撃で、その人影は砂浜に頭から勢い良く倒れていた。

「本当になんだあのバカは」

ため息を吐きながらもおれは、その人影に近づいていくと、これまた驚き。
倒れていたのは女性だった、俺はその女性をとりあえず座らせて話を聞く事にした。

「お前は何がしたかったんだ、そしてお前も今回のゲームの参加者なのか?」

メソメソ泣いているその女性は服で涙を拭き取ってから、ようやく口を開いた。

「近づくんじゃねぇーー!」

第一声そう叫びながら、立ち上がりその場から逃げようとしたが、また砂に足を取られたのか滑ってまた倒れてしまった。
内心マジでバカだなと思いながらも、座らせた。

「落ち着け、俺はお前に何も危害を加える気は無い、ただ友達を探しているだけの参加者だ。
お前は何に怯えている教えてくれ」

「はっ!そんなの信じられると思うかよ、このゲームの参加者の男なんてみんな一緒だ!どいつもこいつも、みんな下心丸出して気持ち悪いんだよ」

そう言いながら懐にしまっていたナイフを取り出しこっちに向けてきた。

「はいはい、わかったらそのまま俺にナイフを突きつけていていいからさ、話をしないか?俺はついさっき参加したばっかりでさ、何も知らないんだよ、てかそもそもMOALmoney of a lifeに参加して初めてのゲームなんだ、だから教えて」

「嘘だね!この宝探しは途中参加は、おろか途中でリタイアをすることすら許されていないはずだ!」

「本当だよ、俺はイレギュラーでなぜか参加させられたんだよ」

「それが仮に本当ならMG端末を見せてよ端末を」

女性はMG端末を見せろと要求されたが、俺にはそもそも端末と呼べるものは日常で使ってるスマートフォンだけだ、だがこの人の言うMG端末は十中八九スマートフォンじゃないということはすぐにわかったので持ってない事を話した。

「MG端末?そんな物持ってないよ、あるとしたら、日常的に使うスマートフォンだけだ」

女性の顔はキョトンと鳩が豆鉄砲を食らったかのように、驚いておりすぐにそれを否定した。

「そんなはずない!MOALに参加した段階で絶対に渡される端末を持っていないの?それどころかスマートフォンを持ってこれたの?」

驚いたのか立ち上がり近づいてきた瞬間、前に出した足が砂に飲まれたらしく、今回はお尻から倒れてしまった。
倒れる瞬間、ナイフが手から勢いよく上に飛んでいき、そのまま顔目掛けて落ちてきた。

「きゃー」

女はそう叫ぶのと同時、体が勝手に動いていた。
俺の体は倒れた女の上に覆いかぶさったのと同時に自分の肩にものすごい熱さを感じた。

「バカか!ナイフを手から離すんじゃねぇよ」

肩に刺さったところが熱さが徐々に強くなっていく中そう叫んでいた。
女は今にも泣きそうな目をしながらごめんなさいとずっと繰り返し繰り返し謝っていた。
俺は体を起こし、肩に刺さったナイフを抜いて遠くに投げた。

「ごめんなさい、本当にごめんなさい」

起き上がりながらそう謝っていた。
数分泣き続けて徐々に落ち着いたのか、ウエストポーチから、消毒液と絆創膏など、手当てに必要な物を出して、震えたながら口を開いた。

「上着ぬ、脱いで背中こっちに向けて、せめて手当させてほしい」

しっかりと泣き止んでないのか、言葉が詰まりつつ手当てをする準備をしていた。
俺は、手当してくれると言うのでお言葉に甘えて上着を脱いで背中を見せた。
俺の背中を見た女はすごく驚いたのか、叫ぶのを必死に堪えながら、手当てを始めた。

彼女の手当の手際はよく、ポケットティッシュを器にして、消毒液を直接傷口にかけて垂れてくる液体をテッシュで拭き取りつつ、傷口に乗せて思いっきり押して止血をした、ある程度止血できたら絆創膏を貼り、それで終わりかと思ったら、今度は、包帯を取り出し絆創膏が、体の動きや服の擦れで剥がれないように覆いかぶさり、トンッと
刺さった方とは逆の肩に軽く叩いて口を開いた。

「よし、これで終わりだよ、本当にごめん」

そう言いながら出した道具をウエストポーチにしまいつつ、少し離れた場所に座り込んだ。
俺は、上着をきて女のいる方に体を向けた。

「手当ありがとう、このまま放置してたら、膿ができたり、感染症にかかる恐れがあったから助かったよありがとう」

俺は軽くニコッと笑って、その場から離れようとした。この女からは何も情報や手がかりを得られないと思ったからだ。
俺はとりあえず先程感じた違和感の正体を突き止めるべく、海の方に歩き始めたその瞬間

「まって!」

後ろからさっきまで泣きそうだった女が叫んでいた。
俺は振り返り、何?と言わんばかりに相手の次の言葉を待っていると、女はそれを察したのかこちらに歩き始め、近づいてきた。

「どうした?何かよう?」

近づいて立ち止まった女は、何も喋らずにいるので、こちらから問いかけをした。
女は泣きまくったせいなのか、ほっぺたと目の周りを少し赤くさせながら口を開く。

「貴方の言うこと、信じるは。
MG端末を持っていないこと、そして普通のスマートフォンを持ってこれたこと、この二つだけでも十分イレギュラーな事なの、だから信じるわ、貴方が途中参加したって話もね」

「ありがとう、でさっきの続きなんだが」

俺がそう話を切り出した瞬間、女は俺の言葉を止めた。

「ちょっと待って、お互い名前知らないんだしさ、軽く自己紹介しない?」

女は少しモジモジ体を揺らしながら、そう言っていたので、とりあえず適当に座れる場所を見つけ座った。

「まず俺からね、俺の名前は佐々木優呼び方は自由にしていいから、歳は17歳
目的は、友達の秋斗を見つけ出しこのゲームからさっさと日常に戻ること」

「私の名前は鈴木 美暉すずき みき19歳
このゲームの参加の理由は多大な借金を今回のゲームで返済しようと思って参加をしたのMOAL歴は1ヶ月ぐらいかな、最初に小さいゲームをちょくちょくしてて、今回の大型イベントの告知受けて参加をしたわ」

「そうだったんだ、じゃみきって呼んでも大丈夫?」

「えぇ大丈夫よ、私も貴方のことゆうくんって呼ばせていただくわ、それよりも一つ質問してもいいかしら?」

そうみきがいうと俺はなんのことなの想像が察して一瞬で顔を黒くしたが、仕方ないと思いひとつだけ質問することを許した。

「その、上半身の傷の跡はなんなの?前も後ろも腕までも、その上半身傷だらけの体はなんなの?
普通の高校生にはつくはずがないよね?」

俺はやっぱりそのことだと思い、少しため息をして答え始めた。

「この古傷は過去に親父と二人キャンプするために森に行ったら、遭難しちゃってその際に野生のクマに襲われちゃってね、そのクマがまた頭いいのか、俺のこと引っ掻いたりするだけじゃ無くて、持ち上げて投げたりして、もう、全身血だらけのボールみたいな扱いだったんだけど、そんな時近くにいた狩猟しゅりょうの、人に助けてくれて、応急処置してくれたおかげでこんな薄くてすんだんだ」

俺は、深刻そうな感じで話してたのだがこのお話は、実は嘘であるが、そのことをこの女に話したところで、もっと余計な詮索されるだけだと判断したからである。
余計な詮索は、この女の身の危険にまで晒してしまう、知らぬが仏ということわざがあるように、この女には知らなくていい話である。
それはさておき、俺の嘘話を聞いた女は、また泣きそうなのを、思いっきり堪えているのがわかった。

「そんな辛い、過去があったなんて、まだ17歳の子供なのに」

この女はなぜか、他人のことで泣いている、このゲーム根本的に他人を気遣って置けるほど余裕のあるゲームではないと思うのだが、この女はそれでも他人、なんなら知り合って30分やそこらなのに、他人のことで涙を流しているこの状況が、俺には本当によくわからなかったが、それを理解しようとは思わず、そう言う人もいるんだなと思いながらも、早速本題に入ることにした。

「さて、さっき聞いた通り俺は、このゲームMOALmoney of a lifeに参加して1回目のゲームなにも分からないんだ」

「私も全部知ってるわけじゃないんだけど、知ってることは話すわね」

女の言う話をまとめるとこうだ。

MOALmoney of a lifeに参加すると運営から端末を渡される、プレイヤー間にはその端末のことをMG端末と呼ぶ。
②MG端末内に、MLp言うポイントがあり、それを端末内に何ポイント存在するか確認可能。1MLpにつき、1円の価値がある。
③MG端末には、今後行われるイベントの告知
クラン作成、クラン入会の手続き。
プレイヤーランキング、クラスランキング、クランランキングの3種類を見れる。
④MLpの使い道は、MG端末内に存在するショップで買い物出来たり、ゲームでそのポイントをかけてゲームをする事も可能。
MLpポイントは日常にも使用可能、コンビニでの会計やファミレスなど、色んなところで使うことが可能
⑤クラスというのが存在しており、プレイヤーの実力に応じて、SクラスAクラスBクラスCクラスDクラスEクラスと6種類に分けられており最高クラスのSクラスはゲーム内や日常生活には常にVVIP超重要人物扱いになり、何しても許される人になる
⑥クランとは、プレイヤー同士がチームを組むこと、クランに所属しておくと、クランで挑むゲームや、プライベートで受けているゲームで助けを呼ぶということが可能。
⑦〇〇ランキングとは、全プレイヤーランキングからプレイヤーの順位、順位が高ければ高いほど、VVIP超重要人物として、扱われる。
クラスランキングとは、各クラスのランキングであり、クラス順位によって受けれるゲーム幅が変わる。
クランランキングとは、各クランをのランキングであり、順位が高ければ高いほど、高待遇を得られるとのこと。
以上がMOALMoney of a lifeのことである

今回のゲーム宝探しとは、全プレイヤーが任意参加可能なゲームであるとのこと
クリア報酬が3億MLpであること
宝物の中身には運営に一つ願いを聞く権利があるという噂があること
参加プレイヤーは自分が身につけられるものなら自由に持ち込むことが可能らしく女は怪我した時用の道具と、少しの飲食を持ち込んだらしい。

以上が女から得られた情報である。





最後まで読んで頂き誠にありがとうございます。
まだ書くのに少し時間かかりますが定期投稿して行きたいと思いますので、ご愛読よろしくお願いします。また、誤字脱字誤変換などあるかもしれませんが何卒温かな目で見守りください!







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