兎の寝言

渚周

手はその人の人生を表すという

苦労した人は皺の多い手をしていて
そうでもなかった人はふっくらとした手をしている

本当にそうなのだろうか

私は手相を見られる人間ではないから
本当のことは知らない

でも苦労をまったくしていない人なんて
いないのだろうと今は思う

自分の手を見て

物心ついた頃と特に変わったところはないように思う

私の人生は私が生まれた時から決まっていたのか
決められていたものを変えられるほど私は努力していないのか

人に認めてもらえるほど頑張っていないかもしれないけれど
私の精一杯を見せてきた筈だった

いつもいつもというわけにはいかないけれど
私なりに努力してきたつもりだった

そういう思い込みが私のよくないところなのかもしれない
ただのひとりよがりで人を傷つけるのかもしれない

そんな時に励まし合うための手はみんな違っていた方がいい
色々な手の方が色々な傷を癒せる

きっとそうなのだと私は信じる

私しか癒せない人がいて
私を癒してくれる人もきっといる筈

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