全スキル保持者の自由気ままな生活

ノベルバユーザー255253

130話 交渉

 「よし。タルサ王国に行くぞ」
 
 俺はご飯をしっかり食べた後、奏音と天谷の部屋に乗り込み、そう言い放った。
 部屋の場所はもちろんメイドさんに聞いた。

 「え?今から?」
 
 「当たり前だ。天谷にも話は通してある」

 俺は先に天谷の方に行って了承を取っていた。
 
 「じゃあOK!」

 「行くぞ~」

 そして俺たちは天谷の部屋に移動した。

 「待たせたな」

 「構わない。それよりどうやって行くんだ?」

 「もちろん転移だ」

 「だよな」

 俺は手を繋ぐという動作をせず転移した。
 フハハハッ!万能な俺は手を触れないと周囲の人間も転移できないという欠点を無くすことも可能である!

 そして一行はタルサ王国王城の執務室へとやってきた。

 「すごいな。いつの間に触れなくても転移できる様になったんだ?」

 「最近だな。まあまだ他人だけを他の場所に飛ばす事はできないけど」

 「流石にそれをされたら誰だって勝ち目はないだろ」

 「出会って一瞬でスキル封印とかされなかったらな」

 「何かお兄ちゃんが二人になったみたい……」

 妹よ、それは失礼というものだぞ。主に俺に。
 この丸刈り男と一緒にされたら人生の恥だ。

 「トオルと一緒にしないでもらおうか」

 おうおう。それはコッチのセリフなんだが?
 やるんか?やるんだったらかかって来いや!!

 「いいぞ。やるか」

 そして二人は互いを威圧していく。
 
 「おーい。二人とも。ここが城の中ってこと、分かってる?」

 「……すまん」

 そして一瞬で天谷は威圧を解いた。

 「むっ……あいつの城だったら別に全然問題ないんだけどな」

 「何か言ったかね?」

 俺たちの会話に割り込んできたのは、この城の所有者だった。

 「全力を出してインキャに負けた国王が何しに来た?」

 「いきなり酷いな、君は」

 「俺は事実を言ったまでだ」

 「ふーん……それで何の用?」

 「ああ、その話なんだが……」

 そして俺は事のあらましをギルバートに話した。

 「それは……難しいね。こちらも勇者召喚の儀をするだけの財力は捻り出せるけど、彼らが来たのが一年以上前なら何処かで彼らの話が広まっているかもしれない。それをこの国と偽るのは国民にも被害が及ぶかもしれないな」

 「まあそうだよな」

 帝国が自慢気に話していたらしいから、メルトリリスの何処かに天谷たちが勇者ということが伝わってるかもしれない。
 偽装にこの国が関わっていることがバレたら他国からも反発を受けてしまう。それは良くない。
 ほんっと帝国って余計なことしかしないのか?

 「すまないけど、私では力になれそうにないよ」

 「……分かった。帰るぞ」

 そして俺は転移を使い、三人でメルトリリス城へと戻った。

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