全スキル保持者の自由気ままな生活
94話 正々堂々屋敷に入る
 その日タルサ王国に衝撃的な事実が民衆のもとに流れてきた。
 西牢獄の跡形もない破壊。
 中にいた囚人たちの行方不明。
 中からは骨やチリの一つさえも見当たらなかった。
 「……おいおい……これは大丈夫なのか?」
 「そうねぇ……。流石にこれはやりすぎなんじゃないかしら……」
 町民の中にはこのような噂が流れていた。
 この事件は王国が直接関与しているとい
うことだ。
 「……これはそろそろ出向かないとマズイかもしれないかな……」
 俺は屋根上で街の人が話しているところを聞いていた。
 何で転移で一回他の場所に行ったはずなのにまたここにいると言うのは、情報収集をしておこうと思ったからだ。
 情報って思ったよりもずっと大事だからな!
 「それじゃあ帰りますかね……」
 特に気になる話題を見つけたわけじゃないし、戻るか。
 そう思って帰ろうとしたその時、俺はある噂を耳にした。
 「何か貴族っぽいデブのおっさんが美少女四人を連れて何処かへ行っていたんだけど知ってるか?」
 「すまないっ!その話を詳しく聞かせてくれ!」
 俺は噂をしていた青年のところへ駆け寄り、話を聞こうとする。
 「お、おう。別にいいぞ。あっちのでかい屋敷があるだろ?」
 そう言って彼が貴族が主に住んでいるところの、少し悪趣味な装飾を施した建物を指差す。
 「あそこに連れて行ったのをみたよ」
 「ありがとう!情報提供感謝する。これはお礼ということで」
 俺は彼に白金貨一枚渡す。
 「ちょ……」
 俺はすぐさまその屋敷の方へ向かった。
 ……この気配、数名待ち伏せてるな……。
 俺は屋敷へ向かう途中、屋敷付近に何人かの気配があることに気づいた。
 俺は悪いことはしてないんだし、正々堂々正面から行くか。
 楓たちが他の奴に屈しるとは考えないはずだし、たとえあの爆発の噂が耳に届いたとしても、俺なら大丈夫だって思ってるだろうしな。
 俺は走るのをやめ、ゆっくりと進む。
 すでに楓たちの居場所は把握済みだ。
 ……それでもあえて聞いたのは俺がそのことに気づいたのがさっきだからだ。
 
 「そこの者!止まれ!」
 すると、目の前に体を黒い布で纏っている、簡単に言うと忍者のような格好をした者が二人、こちらに話しかけてきた。
 俺は言われた通り止まる。
 「……何ですか?」
 「ここから先は通行止だ。進むと言うのなら命は無いと思え!」
 「あー、はいはい。そうですか」
 俺は塩対応をしてから歩を止めることなく突き進んだ。
 「この……っ!!我らを愚弄するか!」
 「いや、別に愚弄してるわけじゃないんだけど……」
 「だとしたら何だと言うのだ!!」
 「いや、任務お疲れ様だなぁ……って思って」
 
 「だからそれを……グハッ!?」
 俺は彼が言葉を言い終わるのを待つことをせず、顔面に一発入れた。
 「悪い。今急いでるんだ。これでも邪魔するって言うんだったら今度は手加減しないぞ?」
 俺は殺気を振りまき、敵を威嚇する。
 幸いここら辺はあまり人がいない。ちょっとぐらいやっても全然問題ないだろう。
 「ぐっ……!貴様……何をした……!?」
 俺の殺気の影響でうまく喋ることが出来ない忍者。
 そして俺は殺気を解く。
 「……はぁ……はぁ……」
 本能的に恐れていたのか、忍者の顔には汗が浮かんでいるのが見える。
 「どけ。次は命はないぞ」
 俺がそれだけをいうと、すぐさま忍者は身を引いていった。
 そして他の傭兵たちもどこかに行ったようだ。
 これで誰にも邪魔されずに進むことができるな!
 「じゃあ行くか。仲間を取り戻しに」
 
 今から始まるのは聖戦である!
 何人たりとも我が進軍を止められると思わぬことだ!
 そしてやってきましたお屋敷。
 立派だけど、そこまでだな。
 ……なんか俺の価値観が異世界に来てからよりも大分ずれてると思う……。
 普通こんなでかい家を見てたら昔の俺だったら緊張で心臓バクバクだっただろうなぁ……。
 でも城という常識はずれなものに、俺の常識が壊されちまったからな。
 「そこの者!止まれ!」
 「え?なんて?」
 俺は制止を聞かずに門まで詰め寄って全力で上に蹴り飛ばした。
 折りたたんだようになった門はグングンと空を登っていく。
 「じゃあお邪魔しまーす」
 俺は無くなった門から悠々と入る。
 俺は苛立ってるんだ。
 このぐらいで済むと思うなよ?
 
 「とりあえず焼きますか」
 俺は無詠唱でインフェルノを発動する。
 しっかりここの庭だけ焼けるようにしている。
 炎は燃え盛り、あっという間に綺麗だった庭が破壊されていった。
 目の前に両開きのドアがあったので、俺はそこへ飛び蹴りを放った。
 ドアは根元の金具が一瞬でボロボロになり、面白いように吹っ飛んだ。
 「お邪魔しま〜〜す!!!」
 俺は人生で初めてぐらいの大きさで叫んだ。
 ……喉が痛い……。
 「侵入者を取り押さえよ!」
 至る所から兵士たちが出てきた。
 ちょうどいいや。ここぐらいで勝負決めとくか。
 「“今すぐ外の門前に待機”!!」
 言霊を使い、全員に命じた。
 後は命令された兵士が勝手に外へ行ってくれるだろう。
 外にやったのはこれからのお楽しみということで。
 楓たちの場所は分かっているので俺はそこに向かって一直線に進む。もちろん障害物は跡形もなく消滅させた。
 そして、バタンッ!という音とともに俺は楓たちがいる部屋へと入った。
 「あ、トオルが来た」
 「やっぱり死んでなかったんだねぇ……。まあこの騒ぎは絶対に透だと思ったけど」
 「ご主人様!心配したんですよ!」
 「おかえりなさいませ、ご主人様」
 ……あれ?思ったよりもみんないつも通りなんですけど……。
 今の状況分かってるのかな?
 「貴族は?」
 「ああ、あの人ならあそこに」
 エルが指を指すと、ちょうどここから死角になるところに貴族が気絶していた。
 「カエデちゃんがいやらしいことされたから本能でやり返しちゃったんだって」
 「やっぱりか……」
 「やっぱりって何よ!」
 こうなる予感はしていた。
 まあ多分、行くあてもないからこの屋敷で待ってたら勝手に俺がやってくるだろうと考えたんでしょうね……。
 心配する気ゼロだね、君たち!
 「じゃあそろそろ向かうぞ」
 「ええー!ここいこ心地が地味にいいからここに泊まりたいんだけど!」
 「……コイツは罪人ということで王様に引っ張りださないといけないからダメ」
 「ブーーー!」
 何故か楓からものすごいブーイングをくらった。
 ……アンタがセクハラされようとした人の家でよく生活する気になれるよな?
 特に貧しいわけでもないのに。
 「だからガイドの人のところに行くぞ」
 「もう行くの?」
 「一応な。もしかしたらいないかもしれないけど、色々と早いほうがいいからな」
 「了解〜」
 そして俺は貴族を見つからないように防音と隠密の魔法をかけ、生でグルグルに縛り付けた後、机の下の突っ込んでおいた。
 これなら誰にも見つからないし、しばらく空けたとしても大丈夫だろう。
 そして俺たちは一回外まで転移した。
 ……結局やりたいことできなかったなぁ……。
 本当なら全員を外に出してアトムディストラクションで全て消滅してやろうかと思ってたのに……。
 まあいいか。その内撃つ機会はありそうだし。
 
 転移したら外に兵士たちが固まっていたが、それも解いておいた。
 あとあと面倒そうだし。
 そして俺たちは自分の足で宿まで歩いていった。
 西牢獄の跡形もない破壊。
 中にいた囚人たちの行方不明。
 中からは骨やチリの一つさえも見当たらなかった。
 「……おいおい……これは大丈夫なのか?」
 「そうねぇ……。流石にこれはやりすぎなんじゃないかしら……」
 町民の中にはこのような噂が流れていた。
 この事件は王国が直接関与しているとい
うことだ。
 「……これはそろそろ出向かないとマズイかもしれないかな……」
 俺は屋根上で街の人が話しているところを聞いていた。
 何で転移で一回他の場所に行ったはずなのにまたここにいると言うのは、情報収集をしておこうと思ったからだ。
 情報って思ったよりもずっと大事だからな!
 「それじゃあ帰りますかね……」
 特に気になる話題を見つけたわけじゃないし、戻るか。
 そう思って帰ろうとしたその時、俺はある噂を耳にした。
 「何か貴族っぽいデブのおっさんが美少女四人を連れて何処かへ行っていたんだけど知ってるか?」
 「すまないっ!その話を詳しく聞かせてくれ!」
 俺は噂をしていた青年のところへ駆け寄り、話を聞こうとする。
 「お、おう。別にいいぞ。あっちのでかい屋敷があるだろ?」
 そう言って彼が貴族が主に住んでいるところの、少し悪趣味な装飾を施した建物を指差す。
 「あそこに連れて行ったのをみたよ」
 「ありがとう!情報提供感謝する。これはお礼ということで」
 俺は彼に白金貨一枚渡す。
 「ちょ……」
 俺はすぐさまその屋敷の方へ向かった。
 ……この気配、数名待ち伏せてるな……。
 俺は屋敷へ向かう途中、屋敷付近に何人かの気配があることに気づいた。
 俺は悪いことはしてないんだし、正々堂々正面から行くか。
 楓たちが他の奴に屈しるとは考えないはずだし、たとえあの爆発の噂が耳に届いたとしても、俺なら大丈夫だって思ってるだろうしな。
 俺は走るのをやめ、ゆっくりと進む。
 すでに楓たちの居場所は把握済みだ。
 ……それでもあえて聞いたのは俺がそのことに気づいたのがさっきだからだ。
 
 「そこの者!止まれ!」
 すると、目の前に体を黒い布で纏っている、簡単に言うと忍者のような格好をした者が二人、こちらに話しかけてきた。
 俺は言われた通り止まる。
 「……何ですか?」
 「ここから先は通行止だ。進むと言うのなら命は無いと思え!」
 「あー、はいはい。そうですか」
 俺は塩対応をしてから歩を止めることなく突き進んだ。
 「この……っ!!我らを愚弄するか!」
 「いや、別に愚弄してるわけじゃないんだけど……」
 「だとしたら何だと言うのだ!!」
 「いや、任務お疲れ様だなぁ……って思って」
 
 「だからそれを……グハッ!?」
 俺は彼が言葉を言い終わるのを待つことをせず、顔面に一発入れた。
 「悪い。今急いでるんだ。これでも邪魔するって言うんだったら今度は手加減しないぞ?」
 俺は殺気を振りまき、敵を威嚇する。
 幸いここら辺はあまり人がいない。ちょっとぐらいやっても全然問題ないだろう。
 「ぐっ……!貴様……何をした……!?」
 俺の殺気の影響でうまく喋ることが出来ない忍者。
 そして俺は殺気を解く。
 「……はぁ……はぁ……」
 本能的に恐れていたのか、忍者の顔には汗が浮かんでいるのが見える。
 「どけ。次は命はないぞ」
 俺がそれだけをいうと、すぐさま忍者は身を引いていった。
 そして他の傭兵たちもどこかに行ったようだ。
 これで誰にも邪魔されずに進むことができるな!
 「じゃあ行くか。仲間を取り戻しに」
 
 今から始まるのは聖戦である!
 何人たりとも我が進軍を止められると思わぬことだ!
 そしてやってきましたお屋敷。
 立派だけど、そこまでだな。
 ……なんか俺の価値観が異世界に来てからよりも大分ずれてると思う……。
 普通こんなでかい家を見てたら昔の俺だったら緊張で心臓バクバクだっただろうなぁ……。
 でも城という常識はずれなものに、俺の常識が壊されちまったからな。
 「そこの者!止まれ!」
 「え?なんて?」
 俺は制止を聞かずに門まで詰め寄って全力で上に蹴り飛ばした。
 折りたたんだようになった門はグングンと空を登っていく。
 「じゃあお邪魔しまーす」
 俺は無くなった門から悠々と入る。
 俺は苛立ってるんだ。
 このぐらいで済むと思うなよ?
 
 「とりあえず焼きますか」
 俺は無詠唱でインフェルノを発動する。
 しっかりここの庭だけ焼けるようにしている。
 炎は燃え盛り、あっという間に綺麗だった庭が破壊されていった。
 目の前に両開きのドアがあったので、俺はそこへ飛び蹴りを放った。
 ドアは根元の金具が一瞬でボロボロになり、面白いように吹っ飛んだ。
 「お邪魔しま〜〜す!!!」
 俺は人生で初めてぐらいの大きさで叫んだ。
 ……喉が痛い……。
 「侵入者を取り押さえよ!」
 至る所から兵士たちが出てきた。
 ちょうどいいや。ここぐらいで勝負決めとくか。
 「“今すぐ外の門前に待機”!!」
 言霊を使い、全員に命じた。
 後は命令された兵士が勝手に外へ行ってくれるだろう。
 外にやったのはこれからのお楽しみということで。
 楓たちの場所は分かっているので俺はそこに向かって一直線に進む。もちろん障害物は跡形もなく消滅させた。
 そして、バタンッ!という音とともに俺は楓たちがいる部屋へと入った。
 「あ、トオルが来た」
 「やっぱり死んでなかったんだねぇ……。まあこの騒ぎは絶対に透だと思ったけど」
 「ご主人様!心配したんですよ!」
 「おかえりなさいませ、ご主人様」
 ……あれ?思ったよりもみんないつも通りなんですけど……。
 今の状況分かってるのかな?
 「貴族は?」
 「ああ、あの人ならあそこに」
 エルが指を指すと、ちょうどここから死角になるところに貴族が気絶していた。
 「カエデちゃんがいやらしいことされたから本能でやり返しちゃったんだって」
 「やっぱりか……」
 「やっぱりって何よ!」
 こうなる予感はしていた。
 まあ多分、行くあてもないからこの屋敷で待ってたら勝手に俺がやってくるだろうと考えたんでしょうね……。
 心配する気ゼロだね、君たち!
 「じゃあそろそろ向かうぞ」
 「ええー!ここいこ心地が地味にいいからここに泊まりたいんだけど!」
 「……コイツは罪人ということで王様に引っ張りださないといけないからダメ」
 「ブーーー!」
 何故か楓からものすごいブーイングをくらった。
 ……アンタがセクハラされようとした人の家でよく生活する気になれるよな?
 特に貧しいわけでもないのに。
 「だからガイドの人のところに行くぞ」
 「もう行くの?」
 「一応な。もしかしたらいないかもしれないけど、色々と早いほうがいいからな」
 「了解〜」
 そして俺は貴族を見つからないように防音と隠密の魔法をかけ、生でグルグルに縛り付けた後、机の下の突っ込んでおいた。
 これなら誰にも見つからないし、しばらく空けたとしても大丈夫だろう。
 そして俺たちは一回外まで転移した。
 ……結局やりたいことできなかったなぁ……。
 本当なら全員を外に出してアトムディストラクションで全て消滅してやろうかと思ってたのに……。
 まあいいか。その内撃つ機会はありそうだし。
 
 転移したら外に兵士たちが固まっていたが、それも解いておいた。
 あとあと面倒そうだし。
 そして俺たちは自分の足で宿まで歩いていった。
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