全スキル保持者の自由気ままな生活
90話 ポニー
ご飯を食べ終わった俺たちはエルたちの部屋へと向かった。
 
 「おーいエル!いるか?」
 「はーい!」
 扉の奥から声がして、扉が開いた。
 「すまん、ちょっといいか?」
 「ご主人様?どうしたの?」
 「しばらく暇を取れるか?」
 「私たちですか?もちろん!特にやることがなかったですし」
 「じゃあ俺たちと共にタルサ王国に来てほしいんだけど……」
 「タルサ王国って!?」
 これに反応したのはエルではなく、まさかのアルスだった。
 ……なんで魔王軍の幹部だったのに、人間の国を知ってるんだよ……。
 「ここって本当に食べ物が新鮮で美味しかったんですよねぇ……!」
 そんな口ぶりだと一回行ったことがあるような感じだな。
 まあ俺もチラッて見かける雑誌とかに、よくタルサ王国のグルメガイドのようなものが載っていることを見たことがある。
 ……やっぱり人気なんだなぁ……。
 あそこ、王様がクソ強いから自然と強国になるんだよな……。
 「そんなに美味かったのか?」
 「それはもう!魔界で食べていた料理がゴミ以下のように感じるほどでしたから!」
 「なるほど……」
 そこまで言わせるとは……。
 ……やばい……。
 想像していただけで腹が減ってきた。もうお腹いっぱいなはずなのに……!
 「いつ行くんですか?」
 「ああ、もう明日には出発することになってる。俺は立場上、馬車で行かないといけないことになってるけど、みんなはどうする?」
 「どうって?」
 「転移で先に向こうまで送っていくこともできるんだけど、どうしたい?」
 みんなで先にあっちで観光してもらっててもいいんだけど、これはもし馬車が乗れない時用の秘策だ。
 そんなに行きたいんだったら先に行ってて楽しんできたらどうかな……って思って、俺はこの案を提案した。
 「どうする?」
 一人で決め兼ねていたみんなは集まって話し合いを始めた。
 
 それからしばらく経った後。
「アルスさんと、私とカエデちゃんで一緒に行くことになったよ!」
 ……つまり、俺とエルだけか。
 「エルは行かなくていいのか?俺に気を使わなくてもいいんだぞ?」
 「私はご主人様と一緒にいたいんです!」
 ……そんなこと普通に言われるとすげぇ恥ずかしいんだけど……。
 「じゃあみんなは先に行く?どうせ3日もあればまた着くから」
 「やっぱり私は透と一緒に行く!」
 「私も!」
 「それでは……私もご一緒させていただきたいです……」
 結局全員かよ!
 ……それだったら馬車はどうするかだよなぁ……。
 「じゃあ馬車を増やしませんか?」
 「「それだ!」」
 突然のルーナからの提案だった。
 そしてその提案に乗る楓とエル。
 アスラは何が起きているのかよくわかっておらずあたふたしていた。
 「どういうことだ?」
 「そのままの意味だよ。馬車を買って二台で向かうんだよ」
 なるほど……その手があったか……。
 だけどそれだったら一部一緒に乗れないメンバーが出来るけど、……ルーナはこのことは承知で言っているんだろうけど。
 「じゃあ馬車に乗るのは誰にするんだ?」
 「え?全員で乗ればいいんじゃない?」
 そんなに馬車は乗れるのか……、いやちょっと待て。これって俺が作れば大きさも自在に出来るんじゃね?
 「じゃあ俺が作るわ」
 
 その一言をかけ、俺は作業を始めた。
 なるべく揺れずに、なおかつ五人が乗れる馬車を作成する。
 ……車輪はもう鉄でいいかな?
 木を頑丈に組むっていうのも手なんだと思うけど、単純に硬いものでやればいいんじゃないって思った。
 それだと重くなるから重力魔法の付与を忘れずに。
 「出来た!」
 俺の前には今の文明からしたら考えられないぐらいの馬車ができていた。
 全身が鉄で出来ており、しかもこの鉄は炭素を含んだ鋼だ。
 重いのも重力魔法で解決済みだ。
 これなら大の大人でも軽々引けるぐらいの重さだ。馬のストレス予防にもなる。
 「「「「おおー!!」」」」
 全員感嘆の声が漏れた。
 うまく作れてよかったぜ……。
 「……これ重くないの?」
 「そこら辺はもちろん工夫してる。持って引いてみてみ?」
 ルーナが訝しげの疑問を送ってきたので、実践してもらうことにした。
 これ、ここの部分が一番って言えると思う。
 
 「本当だ!私でも軽々引けるよ!」
 まあルーナは素のステータスが高いから軽々くん引けるんだろうけど、大体の重さは約20キロほどだろうな。
 これぐらいだったら大の大人でも余裕で引ける重さだ。
 
 こだわったところはそこだけじゃない。
 魔法対策と物理攻撃用&揺れ防止用にに魔法反射と耐衝撃吸収の付与をかけておいた。
 もちろん任意で取り外し可能だぞ!
 「じゃあ明日はこれで行くんだね!楽しみだなぁ!」
 すでに旅行モードに入っているみんな。
 ……俺、あそこで一応お金を稼ぎに行くんだけどな……。
 まあ俺も特産品を味わいたいし、ほぼほぼ旅行気分なんだけどな。
 「今日はこのくらいで解散するか?」
 「そうだね」
 というわけで俺たちは今日のところは解散した。
 そして翌日。
 朝から起きることができた俺はひとまず、馬がいる場所へと向かった。
 ……昨日のうちに気付いたんだが、馬がなければたとえいい馬車があったとしても意味ないじゃん!
 「すいません!誰かいますか!」
 俺はここの主が所在しているのか確認する。
 「はいはい!ちょっと待ってね」
 しばらくすると、おばちゃんが出てきた。
 「ここを経営しているメアリーというものだよ。で今日はどんな用だい?」
 「実は馬を探していまして」
 「馬ならあそこの中から好きなものを言いな」
 「分かりました」
 うーん……。
 どんなやつがいいんだろうな?
 俺、こういうのははっきり言って素人だから、よく分からないんだよなぁ。
 まあ、色々と見てみるか。
 しばらく見てみて、俺の目に一頭の白い馬が止まった。
 
 「すいません、この馬は?」
 「ああ、この子はダメだよ。足が昔にやられちゃってねぇ……。私が面倒見てるんだけど、人様に売れるものじゃないよ」
 「じゃあちょっと待っててくださいね」
 俺は白馬へと近づいて、パーフェクトヒールをかける。
 すると、ひどくやられていた足の怪我がみるみるうちに回復していった。
 白馬は治ったことにお礼を言いたげに、頭を俺に擦り付けてきた。
 「ちょ!やめろってくすぐったい……!」
 俺は何とか逃げようとする。
 「これは……どうやったんだい!?私がどれだけ手を尽くしてもダメだったのに……」
 「それは秘密ということで」
 あんまり言いふらすのもアレだしな。
 「……ポニーはお前さんが気に入っているようだね」
 「ではお売りいただけますか?」
 「売るなんてしないよ。ポニーがついて行きたいんって言ってるんだ。そんなやつからお金をとることなんてできないよ」
 「じゃあこれは俺のほんのお礼です」
 俺は余っていた白金貨をレジの上に置く。
 「流石にこんなにはもらえないよ!」
 「いいんです。この子をずっと買ってもらった費用として、ほんの少しですが受け取ってください」
 これは俺の本当の気持ちだ。
 彼女は特になるはずもないのに、この子をずっと育ててきた。
 それは見ればわかる。
 俺は彼女のそんな行動に感動したからお金を払うだけだ。
 クズだったら遠慮なくタダで持っていくわ!
 「よろしくな、ポニー!」
 「ヒヒ〜ン!」
 ポニーも元気よく返してくれた。
 こうして俺たちの仲間にポニーが加わった。
 
 「おーいエル!いるか?」
 「はーい!」
 扉の奥から声がして、扉が開いた。
 「すまん、ちょっといいか?」
 「ご主人様?どうしたの?」
 「しばらく暇を取れるか?」
 「私たちですか?もちろん!特にやることがなかったですし」
 「じゃあ俺たちと共にタルサ王国に来てほしいんだけど……」
 「タルサ王国って!?」
 これに反応したのはエルではなく、まさかのアルスだった。
 ……なんで魔王軍の幹部だったのに、人間の国を知ってるんだよ……。
 「ここって本当に食べ物が新鮮で美味しかったんですよねぇ……!」
 そんな口ぶりだと一回行ったことがあるような感じだな。
 まあ俺もチラッて見かける雑誌とかに、よくタルサ王国のグルメガイドのようなものが載っていることを見たことがある。
 ……やっぱり人気なんだなぁ……。
 あそこ、王様がクソ強いから自然と強国になるんだよな……。
 「そんなに美味かったのか?」
 「それはもう!魔界で食べていた料理がゴミ以下のように感じるほどでしたから!」
 「なるほど……」
 そこまで言わせるとは……。
 ……やばい……。
 想像していただけで腹が減ってきた。もうお腹いっぱいなはずなのに……!
 「いつ行くんですか?」
 「ああ、もう明日には出発することになってる。俺は立場上、馬車で行かないといけないことになってるけど、みんなはどうする?」
 「どうって?」
 「転移で先に向こうまで送っていくこともできるんだけど、どうしたい?」
 みんなで先にあっちで観光してもらっててもいいんだけど、これはもし馬車が乗れない時用の秘策だ。
 そんなに行きたいんだったら先に行ってて楽しんできたらどうかな……って思って、俺はこの案を提案した。
 「どうする?」
 一人で決め兼ねていたみんなは集まって話し合いを始めた。
 
 それからしばらく経った後。
「アルスさんと、私とカエデちゃんで一緒に行くことになったよ!」
 ……つまり、俺とエルだけか。
 「エルは行かなくていいのか?俺に気を使わなくてもいいんだぞ?」
 「私はご主人様と一緒にいたいんです!」
 ……そんなこと普通に言われるとすげぇ恥ずかしいんだけど……。
 「じゃあみんなは先に行く?どうせ3日もあればまた着くから」
 「やっぱり私は透と一緒に行く!」
 「私も!」
 「それでは……私もご一緒させていただきたいです……」
 結局全員かよ!
 ……それだったら馬車はどうするかだよなぁ……。
 「じゃあ馬車を増やしませんか?」
 「「それだ!」」
 突然のルーナからの提案だった。
 そしてその提案に乗る楓とエル。
 アスラは何が起きているのかよくわかっておらずあたふたしていた。
 「どういうことだ?」
 「そのままの意味だよ。馬車を買って二台で向かうんだよ」
 なるほど……その手があったか……。
 だけどそれだったら一部一緒に乗れないメンバーが出来るけど、……ルーナはこのことは承知で言っているんだろうけど。
 「じゃあ馬車に乗るのは誰にするんだ?」
 「え?全員で乗ればいいんじゃない?」
 そんなに馬車は乗れるのか……、いやちょっと待て。これって俺が作れば大きさも自在に出来るんじゃね?
 「じゃあ俺が作るわ」
 
 その一言をかけ、俺は作業を始めた。
 なるべく揺れずに、なおかつ五人が乗れる馬車を作成する。
 ……車輪はもう鉄でいいかな?
 木を頑丈に組むっていうのも手なんだと思うけど、単純に硬いものでやればいいんじゃないって思った。
 それだと重くなるから重力魔法の付与を忘れずに。
 「出来た!」
 俺の前には今の文明からしたら考えられないぐらいの馬車ができていた。
 全身が鉄で出来ており、しかもこの鉄は炭素を含んだ鋼だ。
 重いのも重力魔法で解決済みだ。
 これなら大の大人でも軽々引けるぐらいの重さだ。馬のストレス予防にもなる。
 「「「「おおー!!」」」」
 全員感嘆の声が漏れた。
 うまく作れてよかったぜ……。
 「……これ重くないの?」
 「そこら辺はもちろん工夫してる。持って引いてみてみ?」
 ルーナが訝しげの疑問を送ってきたので、実践してもらうことにした。
 これ、ここの部分が一番って言えると思う。
 
 「本当だ!私でも軽々引けるよ!」
 まあルーナは素のステータスが高いから軽々くん引けるんだろうけど、大体の重さは約20キロほどだろうな。
 これぐらいだったら大の大人でも余裕で引ける重さだ。
 
 こだわったところはそこだけじゃない。
 魔法対策と物理攻撃用&揺れ防止用にに魔法反射と耐衝撃吸収の付与をかけておいた。
 もちろん任意で取り外し可能だぞ!
 「じゃあ明日はこれで行くんだね!楽しみだなぁ!」
 すでに旅行モードに入っているみんな。
 ……俺、あそこで一応お金を稼ぎに行くんだけどな……。
 まあ俺も特産品を味わいたいし、ほぼほぼ旅行気分なんだけどな。
 「今日はこのくらいで解散するか?」
 「そうだね」
 というわけで俺たちは今日のところは解散した。
 そして翌日。
 朝から起きることができた俺はひとまず、馬がいる場所へと向かった。
 ……昨日のうちに気付いたんだが、馬がなければたとえいい馬車があったとしても意味ないじゃん!
 「すいません!誰かいますか!」
 俺はここの主が所在しているのか確認する。
 「はいはい!ちょっと待ってね」
 しばらくすると、おばちゃんが出てきた。
 「ここを経営しているメアリーというものだよ。で今日はどんな用だい?」
 「実は馬を探していまして」
 「馬ならあそこの中から好きなものを言いな」
 「分かりました」
 うーん……。
 どんなやつがいいんだろうな?
 俺、こういうのははっきり言って素人だから、よく分からないんだよなぁ。
 まあ、色々と見てみるか。
 しばらく見てみて、俺の目に一頭の白い馬が止まった。
 
 「すいません、この馬は?」
 「ああ、この子はダメだよ。足が昔にやられちゃってねぇ……。私が面倒見てるんだけど、人様に売れるものじゃないよ」
 「じゃあちょっと待っててくださいね」
 俺は白馬へと近づいて、パーフェクトヒールをかける。
 すると、ひどくやられていた足の怪我がみるみるうちに回復していった。
 白馬は治ったことにお礼を言いたげに、頭を俺に擦り付けてきた。
 「ちょ!やめろってくすぐったい……!」
 俺は何とか逃げようとする。
 「これは……どうやったんだい!?私がどれだけ手を尽くしてもダメだったのに……」
 「それは秘密ということで」
 あんまり言いふらすのもアレだしな。
 「……ポニーはお前さんが気に入っているようだね」
 「ではお売りいただけますか?」
 「売るなんてしないよ。ポニーがついて行きたいんって言ってるんだ。そんなやつからお金をとることなんてできないよ」
 「じゃあこれは俺のほんのお礼です」
 俺は余っていた白金貨をレジの上に置く。
 「流石にこんなにはもらえないよ!」
 「いいんです。この子をずっと買ってもらった費用として、ほんの少しですが受け取ってください」
 これは俺の本当の気持ちだ。
 彼女は特になるはずもないのに、この子をずっと育ててきた。
 それは見ればわかる。
 俺は彼女のそんな行動に感動したからお金を払うだけだ。
 クズだったら遠慮なくタダで持っていくわ!
 「よろしくな、ポニー!」
 「ヒヒ〜ン!」
 ポニーも元気よく返してくれた。
 こうして俺たちの仲間にポニーが加わった。
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