全スキル保持者の自由気ままな生活
79話 第五種目 マジックタッグ
 俺は闘技場まで歩いていた。
 マジックタッグ……。
 この魔導演武祭の競技の中で一番何をやるのかよく分からない競技だな。
 「あ、カネヤマ トオル選手ですね」
 ちょうど闘技場へ行くための曲がり角を曲がろうとした瞬間に係の先生に呼び止められた。
 「理事長からハンデの内容が届いています」
 そして手紙を渡された。
 〈まさか脳筋の君がここまでやるとはね……。それで今回のマジックタッグだけど……君には先行で内容を教えておこうか。
 マジックタッグはいわゆる魔法を使った30分間の鬼ごっこだ。
 そこで君には魔法の使用禁止、最初の鬼を命じる!〉
 ……これまたキツイハンデだな。
 何で魔法を使った鬼ごっこなのに俺は使ったらダメなんだよ……。
 「それじゃあ私はこれで」
 そう言って先生は去っていった。
 鬼か……。全力でやればすぐに捕まえられるけど……面倒くさい!
 魔法を使えば身体能力をバリバリ強化するか、透明になって近づくのに……。
 「はぁ……」
 まあこれも強者の定めというわけか……。
 ……とりあえずは向かうか……。
 気分がいいとは言えない状態で俺は闘技場へ向かうのだった。
 「やっと来たね」
 「マジか……」
 いや、予想はしていたんだ。
 彼女がトレジャーハントには出ないだろうし、今までも競技に出てきていなかったことを見てここで来るとは思っていたんだが……。
 「マジか……って何よ!」
 「いや、そのままの意味だ」
 Sクラス現序列二位ルーナ=メルトリリス。
 ここで戦うことになるとはな……。
 ルーナの成長は楓からよく聞いている。
 ……相性が悪そうだな……。
 「私と戦いたくないの?」
 「いや、そういうわけじゃないんだが……ルーナが相手だと面倒くさい……」
 「ちょっ!?それって酷くない?!」
 「すまん……普通にやると一番この中で捕まえにくいのがルーナっていう意味だ」
 「そ、そういうことは先に言ってよ……」
 「悪りぃ。それで、王女殿下は俺に勝ちたいんですか?」
 「やめてよその喋り方……。何かトオルがそう言うと変に感じるから……」
 「まあまあ。別にいいじゃないんですか?私ってこういう喋り方の方がいいかもしれないし……」
 「ごめん、それはない」
 一瞬で否定されてしまった。
 「そうだよな……」
 「いつものトオルに私は惚れたんだから……」
 顔を赤く染め、恥ずかしそうに俺から顔を背ける。
 ……可愛ゆす!!
 「それで、今回は何のハンデをもらったの?」
 すでにお察しのようだ。
 「魔法禁止に最初の鬼だってさ」
 「理事長も酷なことをするよねぇ……」
 「全くだ……。さらに手紙でさりげなくディスってくるし……。マジでやり返してやろうかな?」
 「それは流石にやめといた方がいいんじゃない?お偉いさんに怒られちゃうよ?」
 「ふっ!俺に勝てるものならかかって来いやぁ!」
 「トオル……それは流石にやめといた方がいいよ……」
 「だよな……」
 よくよく考えてみればそうだな……。
 せっかく友好関係なのにわざわざそれをぶち壊すのもどうかと思う……。
 と言うわけで気づかれないように嫌がらせをしよう!
 「……またロクでもないことを考えてる……」
 テヘッ。
 ……それよりマジックタッグについてだが……初回鬼……これについては除外でいいかな?
 そして魔法縛りと言うほぼ舐めプに近いことをしなければならないと言う俺の屈辱。
 この怒り!ルーナとEクラスのみんな以外の連中に晴らしてやるわ!!あと理事長も。
 「そろそろじゃない?」
 「……そうだな」
 そろそろ一年生のやつが始まろうとしていた。
 「一年生は所定の位置に着きましたか?」
 アナウンスが流れ、学園のいたるところから煙玉が上にあげられる。
 ……なるほど。
 これは学園を全体を使った鬼ごっこと言うわけだな。
 ……範囲広いけど大丈夫なのか?
 「それでは、レディー……ゴー!」
 そして一年生のマジックタッグが始まった。
 
 「遅いっ!」
 あれから10分後、未だに捕まった者はいなかった。
 各地を写している観戦用の魔導具を見てみても、出会う様子はさらさらなかった。
 「ここで特殊ルール発動です!」
 何だ?特殊ルールって?
 そんなの聞かされてなかったよな?
 「今から範囲を闘技場を除いた半径500メートルの中で戦ってもらいます!」
 妥当な判断だな……。
 そうじゃなかったらこれほとんど永遠に続くぞ。
 
 「今から五分後までに移動しなかったらその選手は失格となります!」
 その特殊ルールが発動された瞬間、選手が捕まっていた。
 ……これってもしかしてケイドロの1人が鬼のパターンか?
 俺の想像と違ったな……。
 「おっと!早速逮捕者が出てきました!」
 ようやく試合が動くのか……。
 長い!
 ……この校舎なら仕方ないことかもしれないけど!
 「おおっと!特殊ルールを発動した瞬間、あっという間に逮捕者が出てくる!」
 ……あれ?鬼って一人じゃないの?
 これってルールがよく分からないんですが……。
 「ルールがイマイチよく分かっていない人のためにここでルールを説明しましょう!」
 初めからしろ!
 「この試合は鬼が鬼じゃない選手を追いかけるいわゆるケイドロ方式の試合です!復活は無しです!鬼の数はこちらで決めます!今回の一年生の鬼の数は3人です!」
 ……意外と少ないんだな……。
 「この試合の得点形式は鬼が全て捕まえることができたのなら鬼は10点。逃げる人は3分ごとに逃げ切れたら1点ずつ加算されます!」
 なるほど……。3分で1点か。
 30分逃げたら10点ってわけね。
 やっと理解できたわ。
 「それでは引き続きお楽しみください!」
 それから俺はしばらく観察するのだった。
 
 「決着!勝者は鬼チーム!鬼のSクラス、Bクラス2、Cクラス4には10点が加算されます!」
 なるほどね……。
 Sクラス2が今回の勝因だろうな。
 逆にSクラスがいなければ負けていただろうな、鬼は。
 「それでは次に二年生のを行いと思います!」
 「やっと出番だね」
 「そうだな」
 ルーナと俺は係の先生の元へ向かう。
 場所を教えてもらうためだ。
 「君はここからスタートということで」
 「分かりました」
 ここからか……。みんなを捕まえるのは効率がいい場所だな。
 ここってだいたい学園で中央ぐらいの場所だし。
 「それでは二年生の試合を行う前に鬼の人を紹介しましょう!」
 俺以外にも鬼はいるんだろうか?
 一人も譲る気は無いけどな。
 「鬼はカネヤマ トオル選手です!以上!」
 「……は?」
 思わず困惑の声が出てしまう。
 俺ってもしかして一人?
 「それでは選手の皆さんは煙玉を上げてください!」
 そしてたくさんのところから煙玉が上がる。
 
 「レディー……ゴー!」
 その合図で俺はまず、#スキル__・__#〈千里眼〉を発動した。
 フハハハッ!魔法がダメならスキルでやるまで!
 誰にも俺は止められない!
 「ふむふむ」
 全員の位置は把握した。
 今から捕獲モードに入ります。
 そして俺は爆走して、近い人へ向かって進んでいった。
 「おおっと!?最初は動かないと思ったらとんでもない速度で飛び出していった!!これからどうするのか?!」
 標的までの距離4……3……2……1……今っ!
 俺は走り、一人目のターゲットを捉えた。
 「嘘だろっ!?」
 驚愕に満ちた表情をしているが、俺は遠慮なく突っ込んでいく。
 そして肩を叩き、再起不能にする。
 「ふぅ……。まずは一人目!」
 これが後20人くらいもいるのか……。
 ……キツイ……。精神的に。
 「な、な、なんということでしょうっ!?あっという間に一人目を確保しました!彼は魔法を使っていません!それでこの速さ!的確な位置把握!もしかしなくてもコイツは化け物か〜〜っ!!」
 ……酷い言い方だな……。
 「まあいいや。この調子で行くぞ!」
 ……この敷地無駄に広いからな……。
 面倒。
 
 「また走り出した!果たして彼から逃げられる者は果たして存在するのだろうかっ!?」
 そして俺の逮捕劇が続いた。
 マジックタッグ……。
 この魔導演武祭の競技の中で一番何をやるのかよく分からない競技だな。
 「あ、カネヤマ トオル選手ですね」
 ちょうど闘技場へ行くための曲がり角を曲がろうとした瞬間に係の先生に呼び止められた。
 「理事長からハンデの内容が届いています」
 そして手紙を渡された。
 〈まさか脳筋の君がここまでやるとはね……。それで今回のマジックタッグだけど……君には先行で内容を教えておこうか。
 マジックタッグはいわゆる魔法を使った30分間の鬼ごっこだ。
 そこで君には魔法の使用禁止、最初の鬼を命じる!〉
 ……これまたキツイハンデだな。
 何で魔法を使った鬼ごっこなのに俺は使ったらダメなんだよ……。
 「それじゃあ私はこれで」
 そう言って先生は去っていった。
 鬼か……。全力でやればすぐに捕まえられるけど……面倒くさい!
 魔法を使えば身体能力をバリバリ強化するか、透明になって近づくのに……。
 「はぁ……」
 まあこれも強者の定めというわけか……。
 ……とりあえずは向かうか……。
 気分がいいとは言えない状態で俺は闘技場へ向かうのだった。
 「やっと来たね」
 「マジか……」
 いや、予想はしていたんだ。
 彼女がトレジャーハントには出ないだろうし、今までも競技に出てきていなかったことを見てここで来るとは思っていたんだが……。
 「マジか……って何よ!」
 「いや、そのままの意味だ」
 Sクラス現序列二位ルーナ=メルトリリス。
 ここで戦うことになるとはな……。
 ルーナの成長は楓からよく聞いている。
 ……相性が悪そうだな……。
 「私と戦いたくないの?」
 「いや、そういうわけじゃないんだが……ルーナが相手だと面倒くさい……」
 「ちょっ!?それって酷くない?!」
 「すまん……普通にやると一番この中で捕まえにくいのがルーナっていう意味だ」
 「そ、そういうことは先に言ってよ……」
 「悪りぃ。それで、王女殿下は俺に勝ちたいんですか?」
 「やめてよその喋り方……。何かトオルがそう言うと変に感じるから……」
 「まあまあ。別にいいじゃないんですか?私ってこういう喋り方の方がいいかもしれないし……」
 「ごめん、それはない」
 一瞬で否定されてしまった。
 「そうだよな……」
 「いつものトオルに私は惚れたんだから……」
 顔を赤く染め、恥ずかしそうに俺から顔を背ける。
 ……可愛ゆす!!
 「それで、今回は何のハンデをもらったの?」
 すでにお察しのようだ。
 「魔法禁止に最初の鬼だってさ」
 「理事長も酷なことをするよねぇ……」
 「全くだ……。さらに手紙でさりげなくディスってくるし……。マジでやり返してやろうかな?」
 「それは流石にやめといた方がいいんじゃない?お偉いさんに怒られちゃうよ?」
 「ふっ!俺に勝てるものならかかって来いやぁ!」
 「トオル……それは流石にやめといた方がいいよ……」
 「だよな……」
 よくよく考えてみればそうだな……。
 せっかく友好関係なのにわざわざそれをぶち壊すのもどうかと思う……。
 と言うわけで気づかれないように嫌がらせをしよう!
 「……またロクでもないことを考えてる……」
 テヘッ。
 ……それよりマジックタッグについてだが……初回鬼……これについては除外でいいかな?
 そして魔法縛りと言うほぼ舐めプに近いことをしなければならないと言う俺の屈辱。
 この怒り!ルーナとEクラスのみんな以外の連中に晴らしてやるわ!!あと理事長も。
 「そろそろじゃない?」
 「……そうだな」
 そろそろ一年生のやつが始まろうとしていた。
 「一年生は所定の位置に着きましたか?」
 アナウンスが流れ、学園のいたるところから煙玉が上にあげられる。
 ……なるほど。
 これは学園を全体を使った鬼ごっこと言うわけだな。
 ……範囲広いけど大丈夫なのか?
 「それでは、レディー……ゴー!」
 そして一年生のマジックタッグが始まった。
 
 「遅いっ!」
 あれから10分後、未だに捕まった者はいなかった。
 各地を写している観戦用の魔導具を見てみても、出会う様子はさらさらなかった。
 「ここで特殊ルール発動です!」
 何だ?特殊ルールって?
 そんなの聞かされてなかったよな?
 「今から範囲を闘技場を除いた半径500メートルの中で戦ってもらいます!」
 妥当な判断だな……。
 そうじゃなかったらこれほとんど永遠に続くぞ。
 
 「今から五分後までに移動しなかったらその選手は失格となります!」
 その特殊ルールが発動された瞬間、選手が捕まっていた。
 ……これってもしかしてケイドロの1人が鬼のパターンか?
 俺の想像と違ったな……。
 「おっと!早速逮捕者が出てきました!」
 ようやく試合が動くのか……。
 長い!
 ……この校舎なら仕方ないことかもしれないけど!
 「おおっと!特殊ルールを発動した瞬間、あっという間に逮捕者が出てくる!」
 ……あれ?鬼って一人じゃないの?
 これってルールがよく分からないんですが……。
 「ルールがイマイチよく分かっていない人のためにここでルールを説明しましょう!」
 初めからしろ!
 「この試合は鬼が鬼じゃない選手を追いかけるいわゆるケイドロ方式の試合です!復活は無しです!鬼の数はこちらで決めます!今回の一年生の鬼の数は3人です!」
 ……意外と少ないんだな……。
 「この試合の得点形式は鬼が全て捕まえることができたのなら鬼は10点。逃げる人は3分ごとに逃げ切れたら1点ずつ加算されます!」
 なるほど……。3分で1点か。
 30分逃げたら10点ってわけね。
 やっと理解できたわ。
 「それでは引き続きお楽しみください!」
 それから俺はしばらく観察するのだった。
 
 「決着!勝者は鬼チーム!鬼のSクラス、Bクラス2、Cクラス4には10点が加算されます!」
 なるほどね……。
 Sクラス2が今回の勝因だろうな。
 逆にSクラスがいなければ負けていただろうな、鬼は。
 「それでは次に二年生のを行いと思います!」
 「やっと出番だね」
 「そうだな」
 ルーナと俺は係の先生の元へ向かう。
 場所を教えてもらうためだ。
 「君はここからスタートということで」
 「分かりました」
 ここからか……。みんなを捕まえるのは効率がいい場所だな。
 ここってだいたい学園で中央ぐらいの場所だし。
 「それでは二年生の試合を行う前に鬼の人を紹介しましょう!」
 俺以外にも鬼はいるんだろうか?
 一人も譲る気は無いけどな。
 「鬼はカネヤマ トオル選手です!以上!」
 「……は?」
 思わず困惑の声が出てしまう。
 俺ってもしかして一人?
 「それでは選手の皆さんは煙玉を上げてください!」
 そしてたくさんのところから煙玉が上がる。
 
 「レディー……ゴー!」
 その合図で俺はまず、#スキル__・__#〈千里眼〉を発動した。
 フハハハッ!魔法がダメならスキルでやるまで!
 誰にも俺は止められない!
 「ふむふむ」
 全員の位置は把握した。
 今から捕獲モードに入ります。
 そして俺は爆走して、近い人へ向かって進んでいった。
 「おおっと!?最初は動かないと思ったらとんでもない速度で飛び出していった!!これからどうするのか?!」
 標的までの距離4……3……2……1……今っ!
 俺は走り、一人目のターゲットを捉えた。
 「嘘だろっ!?」
 驚愕に満ちた表情をしているが、俺は遠慮なく突っ込んでいく。
 そして肩を叩き、再起不能にする。
 「ふぅ……。まずは一人目!」
 これが後20人くらいもいるのか……。
 ……キツイ……。精神的に。
 「な、な、なんということでしょうっ!?あっという間に一人目を確保しました!彼は魔法を使っていません!それでこの速さ!的確な位置把握!もしかしなくてもコイツは化け物か〜〜っ!!」
 ……酷い言い方だな……。
 「まあいいや。この調子で行くぞ!」
 ……この敷地無駄に広いからな……。
 面倒。
 
 「また走り出した!果たして彼から逃げられる者は果たして存在するのだろうかっ!?」
 そして俺の逮捕劇が続いた。
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