全スキル保持者の自由気ままな生活
36話 分身と注意
 俺たちは75階層を突破した後、あの雪を溶かして、俺がみんなを運ぶという頭のおかしいような戦法でどんどん階層を突破していった。
 結論。なんか俺だけが働いている気分なんだけど……。
 勝てないだろうけど、もうちょっと頑張ってくれよ!
 そして80階層。
 これを突破したらしばらく休めるな。
 「よーし!レッツゴー!」
 なぜか奏音がすごい乗り気だ。
 ……なぜなんだ?俺には意味が分からん。
 だけど、だんだん階層を重ねていくという達成感には共感できるぞ。
 奏音は俺より先に扉を開けた。
 そこには、奏音の分身と思わしきものがいた。
 
 「下がれ!」
 「え?」
 すると分身はいきなり魔法を放ってきた。
 俺は奏音より前に入り、それを一刀両断する。
 「お前らは入ってくるな!」
 俺は助けに入ろうとしている天谷とエルに制止の声をかける。
「多分これは入った分だけ分身が増える系のやつだ!多人数が一気に入ったら面倒になる!」
 「わかった!」
 すんでで踏みとどまってくれたようだ。
 今いる敵は俺と奏音の分身だな。
 ……あいつはトルリオンを抜いてない。
 ていうか、普通の剣は作れているのにトルリオンとにしないのは……。
 なるほど!やりたくても真似することができないんだな。
 さすが神剣だな。
 どっちもこいつには再現不能ということか。
 それなら楽勝だな。
 なぜなら攻撃だけで言えばこいつの4倍、ほかのステータスでも2倍はあるからな。
 地力で負けるはずがない。
 じゃあまずは奏音の分身からやりますか。
 「はあっ!!」
 俺は全力の投球をアイテムボックスに入れてあった普通の剣でした。
 「ありゃ?」
 俺が投げた剣は分身を貫通させることなく、剣の方が耐えきれずに消滅した。
 ……やっば。力込めすぎたかな?それともあいつの体が硬いのかな?
 トルリオンで行くしかないかー。
 「せいっ!」
 今度はトルリオンで投げてみる。
 俺の分身が見えていたのか止めようとしたが、俺の威力が強すぎたのか腕ごと粉砕した。
 それが命中した奏音の分身はどうなっただろうか?
 もちろん。粉々に砕け散った。
 「ダーッシュ!!」
 俺は飛んで行ったトルリオンを拾うため、全力で走った。
 今回はダーインスレイブは使うことはない。
 なぜならこいつらって氷の塊であって、血とか出ないだろうしな。
 それだったらダーインスレイブを鞘にしまえなくなる。
 ……ていうかそれだったら俺はどうなるんだろう?
 やっぱりテンプレだと血が欲しくて暴れる的な展開になると思うんだけど……。
 そんなことを考えているうちに俺はトルリオンのところにたどり着いた。
 「よし!」
 やっぱりトルリオンを装備してると体が軽い。さっきより数段階。
 これもトルリオンの効果だと思うと、すげえものを作り出したよなってなる。
 俺の分身はトルリオンを一部取ろうとしていたが、俺以外が触れたため重くなり、すぐその手を離していた。
 うん。その判断は懸命だぞ。
 それだったらトルリオン無しの俺にだって勝てないからな。
 「はあっ!」
 俺はトルリオンだけで斬りかかる。
 何とか必死に防御しようとしてくるが、俺はその防御が効いてないかのように相手にダメージを与え続ける。
 「ラストぉぉぉぉぉおおお!!!」
 トドメとばかりに俺はトルリオンを投げつけ、顔面を吹き飛ばした。
 「はぁ……はぁ……」
 今回は……流石に疲れたな。
 さすが俺。結構な強敵だったぜ。
 ……ていうかこの後まだエルと天谷の分もやらなくちゃいけないのかー。
 あー気が滅入る。
 「ご主人様!大丈夫!」
 エルが駆け寄ってきた。
 「バカ!今来たら……!」
 案の定、エルの分身が出現した。
 「とりゃああああぁぁああ!!」
 速攻で俺は剣をぶっ放した。
 見事に心臓付近に命中し、粉々になった。
 「自分の分身が粉々になるって……何か来るものがあるよね」
 「そうだね……」
 奏音とエルは二人で通じ合っている。
 「僕はもう入っていい?」
 「ちょっと待ってろ」
 俺はトルリオンを持ってきて、すぐさま現れる場所に投擲できるようにする。
 「よし、いいぞ!」
 そして天谷がここに入ってくる。
 するとさっきと同じ位置に分身が現れる。
 
 「せいっ!!」
 あらかじめ来る方向が分かっていたらあとは簡単だ。
 そっちに向かって投げればいいんだから。
 俺は全力で投げ、何かする暇を与えずに一気に倒した。
 「よし!」
 これで80階層のボス攻略だ!
「お疲れー」
 「今回は流石に冷やっとしたよ」
 「ご主人様、大丈夫だった?」
 奏音、天谷、エルと口々に感想を言ってくる。
 
 「はいはい。感想は後で聞くからとりあえず今はさっさと集めて移動するぞー」
 「はーい」
 こいつらのドロップアイテムはっと……。
 これなんだ?何かの水晶っぽいんだけど何か分からない。
 そもそもこんなの持ってて大丈夫なのか?
 多分こいつらの核だったところだぞ。
 ま、アイテムボックスに入るってことは生き物じゃないし、大丈夫だろう。
 「集め終わったよー」
 「おう。サンキューな」
 「私たちはお兄ちゃんより弱いからね。少しでも役に立ちたいんだよ」
 「そうか」
 まあ、今回の70階層代は俺が一番負担大きかったと思うけど……。
 まあ、それは気にすることじゃないな。
 それより休みたい……。
 元引きにこの仕打ちはひどいと思うの!
アイテムを一通り集め終わった俺たちはとうとうセーフティゾーンにたどり着いた。
 セーフティゾーンである事件が起こった。
 それはなんと、未開のはずのこのエリアに看板が立てられており、そこには。
 〈この先セーフティゾーン無し。進むときは十分注意なされよ〉
 と書かれていた。
 これは多分罠じゃなくて本当のことだろうな。
 セーフティゾーンが無いのは結構な痛手だな。
 80階層から本気で駆け上がらなければならないというわけだ。
 俺の予想では100階層までだと思ってるから、実質20階層ほどか……。
 ……結構きついな。
 しかも休憩することはできないときた。
 「しゃあない。やってやるしか無いな」
 「……罠っていう可能性は?」
 「そもそもこんな罠を張る方が不自然だ。張る方にメリットがないからな」
 変わってくるのは一気に駆け上がるという気持ちがあるということだけだ。(俺たちは)
 他の人は食料とか詰め込んでくると思うけど、俺たちはアイテムボックスがあるからな。
 「攻略は明日からにする。そのかわり明日は早く出るぞ」
 「じゃあ透は頑張って起きてね」
 「ぐっ!それを言われると辛い……」
 天谷から早起きしろと言われる。
 もう!俺は朝に弱いんだっつーの!
 「じゃあもうご飯にする?」
 「そうだな。もう昼過ぎだ。エル、頼む」
 「分かった!」
 そしてエルはテキパキと料理を始める。
 「とりあえず明日は全力で行くから覚悟しろよ」
 まあ、極力俺がフォローするけど勇者だったら自分の身ぐらい守ってもらわないと困る。
 「分かってる。透にはお世話になりっぱなしだね」
 「そりゃ俺の方が強いからな」
 「だけどこれは運の問題でもあるよね……」
 「……まあ、そうだな」
 今の俺は神様がくれたあの錠剤のおかげであるようなものだ。
 そうじゃなかったら特に強くなかったからな。
 「でも、この力を透と楓が持ってくれて良かったよ」
 「親友だからか?」
 「それもあるけど、その力を悪い方に使わないのは親友の僕が一番知ってるからね」
 「……おう、ありがとな」
 「どういたしまして」
 ……男に褒められるのは嬉しくないが、天谷に褒められるのは何故か微妙に心地いい。
 あ、もちろんあっち系だからというわけじゃないぞ!特定というわけでもないからな!
 「ご飯できたよー!」
 「ご飯もできたことだし、さっさと行くか」
 「そうだね」
 俺はエルが作った夕食をさっさと食べて、明日早く起きることができるように寝るのだった。
 結論。なんか俺だけが働いている気分なんだけど……。
 勝てないだろうけど、もうちょっと頑張ってくれよ!
 そして80階層。
 これを突破したらしばらく休めるな。
 「よーし!レッツゴー!」
 なぜか奏音がすごい乗り気だ。
 ……なぜなんだ?俺には意味が分からん。
 だけど、だんだん階層を重ねていくという達成感には共感できるぞ。
 奏音は俺より先に扉を開けた。
 そこには、奏音の分身と思わしきものがいた。
 
 「下がれ!」
 「え?」
 すると分身はいきなり魔法を放ってきた。
 俺は奏音より前に入り、それを一刀両断する。
 「お前らは入ってくるな!」
 俺は助けに入ろうとしている天谷とエルに制止の声をかける。
「多分これは入った分だけ分身が増える系のやつだ!多人数が一気に入ったら面倒になる!」
 「わかった!」
 すんでで踏みとどまってくれたようだ。
 今いる敵は俺と奏音の分身だな。
 ……あいつはトルリオンを抜いてない。
 ていうか、普通の剣は作れているのにトルリオンとにしないのは……。
 なるほど!やりたくても真似することができないんだな。
 さすが神剣だな。
 どっちもこいつには再現不能ということか。
 それなら楽勝だな。
 なぜなら攻撃だけで言えばこいつの4倍、ほかのステータスでも2倍はあるからな。
 地力で負けるはずがない。
 じゃあまずは奏音の分身からやりますか。
 「はあっ!!」
 俺は全力の投球をアイテムボックスに入れてあった普通の剣でした。
 「ありゃ?」
 俺が投げた剣は分身を貫通させることなく、剣の方が耐えきれずに消滅した。
 ……やっば。力込めすぎたかな?それともあいつの体が硬いのかな?
 トルリオンで行くしかないかー。
 「せいっ!」
 今度はトルリオンで投げてみる。
 俺の分身が見えていたのか止めようとしたが、俺の威力が強すぎたのか腕ごと粉砕した。
 それが命中した奏音の分身はどうなっただろうか?
 もちろん。粉々に砕け散った。
 「ダーッシュ!!」
 俺は飛んで行ったトルリオンを拾うため、全力で走った。
 今回はダーインスレイブは使うことはない。
 なぜならこいつらって氷の塊であって、血とか出ないだろうしな。
 それだったらダーインスレイブを鞘にしまえなくなる。
 ……ていうかそれだったら俺はどうなるんだろう?
 やっぱりテンプレだと血が欲しくて暴れる的な展開になると思うんだけど……。
 そんなことを考えているうちに俺はトルリオンのところにたどり着いた。
 「よし!」
 やっぱりトルリオンを装備してると体が軽い。さっきより数段階。
 これもトルリオンの効果だと思うと、すげえものを作り出したよなってなる。
 俺の分身はトルリオンを一部取ろうとしていたが、俺以外が触れたため重くなり、すぐその手を離していた。
 うん。その判断は懸命だぞ。
 それだったらトルリオン無しの俺にだって勝てないからな。
 「はあっ!」
 俺はトルリオンだけで斬りかかる。
 何とか必死に防御しようとしてくるが、俺はその防御が効いてないかのように相手にダメージを与え続ける。
 「ラストぉぉぉぉぉおおお!!!」
 トドメとばかりに俺はトルリオンを投げつけ、顔面を吹き飛ばした。
 「はぁ……はぁ……」
 今回は……流石に疲れたな。
 さすが俺。結構な強敵だったぜ。
 ……ていうかこの後まだエルと天谷の分もやらなくちゃいけないのかー。
 あー気が滅入る。
 「ご主人様!大丈夫!」
 エルが駆け寄ってきた。
 「バカ!今来たら……!」
 案の定、エルの分身が出現した。
 「とりゃああああぁぁああ!!」
 速攻で俺は剣をぶっ放した。
 見事に心臓付近に命中し、粉々になった。
 「自分の分身が粉々になるって……何か来るものがあるよね」
 「そうだね……」
 奏音とエルは二人で通じ合っている。
 「僕はもう入っていい?」
 「ちょっと待ってろ」
 俺はトルリオンを持ってきて、すぐさま現れる場所に投擲できるようにする。
 「よし、いいぞ!」
 そして天谷がここに入ってくる。
 するとさっきと同じ位置に分身が現れる。
 
 「せいっ!!」
 あらかじめ来る方向が分かっていたらあとは簡単だ。
 そっちに向かって投げればいいんだから。
 俺は全力で投げ、何かする暇を与えずに一気に倒した。
 「よし!」
 これで80階層のボス攻略だ!
「お疲れー」
 「今回は流石に冷やっとしたよ」
 「ご主人様、大丈夫だった?」
 奏音、天谷、エルと口々に感想を言ってくる。
 
 「はいはい。感想は後で聞くからとりあえず今はさっさと集めて移動するぞー」
 「はーい」
 こいつらのドロップアイテムはっと……。
 これなんだ?何かの水晶っぽいんだけど何か分からない。
 そもそもこんなの持ってて大丈夫なのか?
 多分こいつらの核だったところだぞ。
 ま、アイテムボックスに入るってことは生き物じゃないし、大丈夫だろう。
 「集め終わったよー」
 「おう。サンキューな」
 「私たちはお兄ちゃんより弱いからね。少しでも役に立ちたいんだよ」
 「そうか」
 まあ、今回の70階層代は俺が一番負担大きかったと思うけど……。
 まあ、それは気にすることじゃないな。
 それより休みたい……。
 元引きにこの仕打ちはひどいと思うの!
アイテムを一通り集め終わった俺たちはとうとうセーフティゾーンにたどり着いた。
 セーフティゾーンである事件が起こった。
 それはなんと、未開のはずのこのエリアに看板が立てられており、そこには。
 〈この先セーフティゾーン無し。進むときは十分注意なされよ〉
 と書かれていた。
 これは多分罠じゃなくて本当のことだろうな。
 セーフティゾーンが無いのは結構な痛手だな。
 80階層から本気で駆け上がらなければならないというわけだ。
 俺の予想では100階層までだと思ってるから、実質20階層ほどか……。
 ……結構きついな。
 しかも休憩することはできないときた。
 「しゃあない。やってやるしか無いな」
 「……罠っていう可能性は?」
 「そもそもこんな罠を張る方が不自然だ。張る方にメリットがないからな」
 変わってくるのは一気に駆け上がるという気持ちがあるということだけだ。(俺たちは)
 他の人は食料とか詰め込んでくると思うけど、俺たちはアイテムボックスがあるからな。
 「攻略は明日からにする。そのかわり明日は早く出るぞ」
 「じゃあ透は頑張って起きてね」
 「ぐっ!それを言われると辛い……」
 天谷から早起きしろと言われる。
 もう!俺は朝に弱いんだっつーの!
 「じゃあもうご飯にする?」
 「そうだな。もう昼過ぎだ。エル、頼む」
 「分かった!」
 そしてエルはテキパキと料理を始める。
 「とりあえず明日は全力で行くから覚悟しろよ」
 まあ、極力俺がフォローするけど勇者だったら自分の身ぐらい守ってもらわないと困る。
 「分かってる。透にはお世話になりっぱなしだね」
 「そりゃ俺の方が強いからな」
 「だけどこれは運の問題でもあるよね……」
 「……まあ、そうだな」
 今の俺は神様がくれたあの錠剤のおかげであるようなものだ。
 そうじゃなかったら特に強くなかったからな。
 「でも、この力を透と楓が持ってくれて良かったよ」
 「親友だからか?」
 「それもあるけど、その力を悪い方に使わないのは親友の僕が一番知ってるからね」
 「……おう、ありがとな」
 「どういたしまして」
 ……男に褒められるのは嬉しくないが、天谷に褒められるのは何故か微妙に心地いい。
 あ、もちろんあっち系だからというわけじゃないぞ!特定というわけでもないからな!
 「ご飯できたよー!」
 「ご飯もできたことだし、さっさと行くか」
 「そうだね」
 俺はエルが作った夕食をさっさと食べて、明日早く起きることができるように寝るのだった。
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