小料理屋『ハレノヒ』の常連客始めます
Part4 オレンジソルベ
学校に着いて辺りを見回した。
なんらいつもと変わりはなかった。
憂鬱だった学校が、今日はなんだか大丈夫な気がした。
「薬学部は1校時目実験だから、第3理科室行けよー」
第3理科室ってどこだっけ…
いつも第2実験室だったから、移動場所が分からない。
「あの、第3理科室ってどこですか…?」
私はクラスの女の子2人に声をかけた。
「は?うるさいな。自分で考えたらぁ〜?」
そう言って笑いながら歩いていってしまった。でも、私はめげずに他の人に声をかけることにした。
でも、誰に聞いてもまともに答えてくれる人はいなかった。
やっぱり私はいつまでたっても、ぼっちのままだった。
「1校時目場所わかんないし、サボっちゃお」
私はいつもお昼ご飯を食べる、屋上へつながる階段の奥の方の段に座った。
でも、考え込むうちにここで諦めたらなんだか格好が悪い気がしてきた。
私は学校中を小走りで回った。
すると、やっとの思いで第3理科室と書かれた教室が視界に入った。
「お…遅れました……」
教室に入った時には息が切れて、足がガクガクしていた。
「白石!!遅すぎる。理由を説明しなさい」
教室から小さく笑う声が聞こえてきた。
私は怒りがこみ上げてきた。
「私は5分前に行動し始めたのですが、教室の場所が分かりませんでした。なのでみんなに場所を聞きました。ですが場所をおしえていただけなかったので遅れました」
先生も流石に納得してくれた。
そのあと、みんなを先生が叱っていたのがスカッとした。
はっきり言って伝えるって、大事だなあ
 
帰りの時間は夜18:00。
私は全速力で走った。
向かう先は「ハレノヒ」だ。
学校からハレノヒに行くと、家から行くより近くて助かった。
私は息を整えて、花柄の暖簾をくぐった。
すると、店内の席は満席。
店内にいるのは仕事終わりのおじさんやお兄さんばかり。
多分、近くの工事業者の人たちだろう。
私は満席だということで、今日は諦めることにした。
私が帰ろうとしたその時、背後から肩をとんと叩かれた。
この時間に小料理屋にいるんだったら、酔っ払いかもしれないと思い、手を振りほどくようにして振り返った。
「うわ!びっくりしたあ。なんだよ、驚かしたつもりじゃないからな?」
「あ、環さん。すいません、なんですか?」
「冷めた反応すんなよ…せっかくお前専用のメニュー用意したってのに」
「え!まじですか!いただきます」
私は環さんについていった。
厨房に入って暖簾をくぐり、環さんが暮らす部屋に入った。
よく考えれば、他人の家に3度も上がるなんて迷惑に思っているのではと、度々不安になる。
「はい、これ」
私が座った途端に、小さいテーブルに音を立てて置かれた。
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