ブラコンな妹の将来の為に家を出たい。ついでに姉も。

西東 北南(さいとう ぼくなん)

2.

30分程でお風呂を出た俺は喉が渇いから水を飲むためリビングへ足を向けている。途中、陸にお風呂が空いたことを伝えリビングに入る。そこには陸の母の珠美さんと水美ちゃんが2人用ソファーに座りながらテレビ見ていた。

「珠美さん。水貰いますね。」

「どうぞ~、好きに飲んじゃっていいよ~。」

冷蔵庫から500mlのペットボトルを取り出し渇いた喉に水を流し込む。

「っあ~!うめぇー。」

「透兄。私にもちょうだい。」

キンキンに冷えてやがる水を飲んでいると背後から声がかかり、後ろを振り返るといつの間にか水美ちゃんが両手を広げてこちらを見上げていた。

「うん。」

冷蔵庫から新しい水を出そうとすると水美ちゃんは俺の持っている水を俺の手から取るとそのままソファーに戻ってしまった。

冷蔵庫から水を出してという要求ではなく、俺が飲んでいる水をそのままよこせということだったらしい。

俺も陸が部風呂から出るまでテレビを見てようと思い相手いる1人用ソファーに座ると水美ちゃんがニヤニヤした顔でペットボトルを見つめていた。

「水美、あんた何ニヤニヤしてんのよ。そんなに透志の飲みかけが嬉しいの?」

「ッ!? べ、別にそんな事ないし!今までだって何度か透兄から食べかけのアイスとかあーんだってしてもらってるから全然意識してないし!」

図星のようだ。そんなに意識して飲まれたらこっちが恥ずかしくなってくる。これからはアイス上げるのやめとこ。

俺は冷蔵庫から新しい水をだし。水美ちゃんが持っているそれを奪い取り新しい水をさしだし、元々飲んでいた水を一気に飲む。。

すると、水美ちゃんが「あっ!?」と驚きながら取り返そうと俺の前をジャンプする。しかし、高2と中1の男女では身長差があり水美ちゃんには届きそうにない。そうこうするうちに水を飲み干し終わった。

水美ちゃんはゲームが壊れた時くらい暗い顔をし、空になったペットボトルを見つめ続けている。

「ちょっと水美、飲み口をぺろぺろとか、変態みたいなことしないでよ。」

「し、しないよ。」

目が泳いでいる。するつもりだったらしい。

俺は流し台に行くと水道でゆすいでゴミ箱に捨てた。その光景を終始無言で見ていた水美ちゃんはかなり怖い。

『ガチャ』

「何してんの水美?」

陸が風呂から出てきてゴミ箱を目尻に涙をため見つめる水美ちゃんを訝しむ。そっとしておこう。

「陸、風呂から出たなら早くゲームしようぜ。」

「おけ。じゃあジュース持ってくか。お菓子はまだ上にあったよな。」

「あったと思うよ。」

「あ、あたしもしたい!」

俺たちの話声で正気に戻った水美ちゃんが自分もしたいと言うので3人ですることにした。

水美ちゃんは全敗だった。

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