マギアルサーガ~うたかたの世に幕を引け~

松之丞

Chapter-03 Prologue【去る日の少女】

貴方は、誰? あたしは、誰? この世界は、何?

意味は、あるの? 価値は、あるの? 真実は、あるの?

愛も憎しみも、喜びも苦しみも、快楽も痛みも、全て、硝子がらす越しに見る景色。

確かなものなんて、この目には映らない。この胸に去来するものは全て、紛い物。

……それさえも、正しいかどうかなんて、分からない。何もかも、確かじゃない。

人は誰もが、洞窟の囚人。不確かな陰影を頼りに、結末の決まった闇路を進む。

立ち止まれば、ちょっとだけ結末が早まるだけ。どのみち、枝葉は収束する。

でも、定めが訪れるまでに、藻掻もがいて、足掻あがいて、生き汚くい回れば?

この脳裏に世界を書き綴る偏見という名の解釈は、花開くかしら?

……まあ期待せず、好き勝手に生きればいっか。



―――去る日の少女 夕暮れに佇(たたず)む、その心中

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