運命の女神は二度微笑む!?

奏岬

さよなら親友

 次の日、ほぼ放心状態だった。奏の美しい笑顔もとても冷たく見えた。奏は何も言わない。だけど聞きたかった。だから恐る恐る聞いた。
 「奏ってさ、佐伯先輩と付き合ってるの?」      
 「え? まぁそうだけど。それが? もしかして昨日佐伯先輩に告ったの?もしかして取っちゃった? ごめーん! あ、恨まないでよ? あたしのせいじゃないから! あたしの美貌のせいだから!」              
 奏が憎たらしい顔で笑う。もう、話なんて聞きたくない。私は無言で奏から逃れた。近くのトイレに逃げこんだ。鍵をかけ、個室に閉じこまったとたんに
涙が溢れてきた。悔しい、苦しい、たくさんの感情が溢れて。        
 私のほうがきっと先輩のことが好きなのに。私のほうがたくさん我慢してきたのに。どうして、憎たらしく笑うの?   ?マークが次々と浮かんでくる。     乾くことはない、涙は溢れて止まらない。          




 泣いて、泣き止むまで長く、1時間目の授業を休んでいた。先生には、気分が悪くて休んだ、と伝えた。そうか、気付けなくて悪かったな、先生は謝ってくれた。まぁ、先生は何も悪くないのだが、いえ大丈夫でした、と断っておいた。
 
 中休み。奏は静かに教室を出ていった。私も静かに奏の後をつける。    奏は先輩の教室の前で止まった。しばらくすると先輩が教室から出てきた。
 「ごめん!   待った?」先輩は尋ねた。
「全然!今、来たばっかりですよ!」奏は微笑む。
 完全に これはカップルの会話だ。認めたくはないが私にはすぐに
わかった。それが悔しかった。だから私はすぐに立ち去った。その場にいたら幸せに飲み込まれそうになったから








 

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